リンモモイロハ   作:モンです

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その3

 職員室への道は幽霊さんが知っているみたいで、案内してもらうことに。

 とは言っても階段を上がってすぐ右にあったけども。近くて良かった。

 

「鍵を開けてっと」

 

 渋谷さんから渡された鍵で扉を開けると、先生用の机だろう、灰色の机と椅子がズラリと並んでいる。かなり広いし、探索に時間がかかりそうだ。

 

「それで工藤さん、どうします?」

 

 如月さんが問いかける。何故俺に言うんだろう。

 

「とりあえず欲しいのは鍵と懐中電灯、バック、後地図かな。地図はパンフレットに載ってると思うから、それを探そう」

「分かりました」

 

 パッと思いつく物を言うと、四人は文句も言わずに動き出した。何これ、なんか俺リーダーみたいなんですけど。違うよね。そんな責任のある立場じゃないよね。

 

「センパーイ、ぼーっとしてないで手伝ってくださいよー」

「いや、君たち行動が迅速過ぎだよね。先輩びっくりしちゃったよ」

「先輩には速さが足りませんね。ほら、早く早く」

 

 一色さんに袖を引っ張られ、俺も捜索を開始した。棚の中や机をごそごそと探す。

 

「あ、パンフ見っけ」

 

 二分くらいかけて、教科書の間に栞のように挟んであった物を発見。

 パンフレットを机の上に広げると、隣で一緒にごそごそしてた一色さんが覗き込んできた。

 

「学校名がない、周辺地図がない。あるのは学校の案内図だけか」

「パンフレットにしてはやる気がなさ過ぎません?」

「だが表紙にはちゃんとパンフと書かれている」

 

 まるで学校を紹介できていない。ダメダメじゃないか。でも一番重要なものがあっただけマシか。

 

 ざっと学校を確認する。北校舎と南校舎と体育館とプールとグラウンドがあると。そして北校舎と南校舎は四階まであって、二つの校舎を繋ぐ渡り廊下が四階以外に二つずつ、計六つある。真上から見ると「立」という漢字の上のちょんがない、みたいな形に見えるのかな。

 

 で、最初に目が覚めた保健室が南校舎一階、今いる職員室が南校舎二階だ。ちなみに音楽室は南校舎の四階にある。行きたくねぇ。

 

「結構広いですねー。購買があるし、高校なんですかね?」

「かもね。あと一色さん、近いんですけど」

 

 肩が触れる距離で話すのはやめてください。

 

「…………ええっ!」

「なんでそんなに驚いてるん?」

「先輩ってそんな事考えられたんだ……」

「君の中の俺はホント一体どうなってるのかね」

 

 たぶん謎の物体Xとかそういう感じなのだろう。詳しくは聞かないほうが身のためだな。

 

「ふーん、でもそっか、先輩も意識したりするんですねー。表情がまったく変わらないので分かりませんでした」

「男子高校生は基本むっつりスケベだから」

「いえ、スケベという点では先輩はオープンですよ?」

 

 ついさっきセクハラしてましたし、と一色さん。イッタイナンノコトカナ。ボクワカンナイナー。

 

 都合が悪くなったので、パンフレットをたたんで再び家探しに戻ろうとする。

 が、一色さんは当然のように付いて来た。こっちくんない。

 

「ちなみにスケベ先輩は私と凛先輩と桃先輩だったら誰がタイプですか?」

「ニヤニヤしないで。しかも答えにくい質問を……。ノーコメントという選択肢は?」

「別にいいですよ。ただ、スケベ先輩のスケベが取れなくなるだけです」

 

 やめてくださいお願いします。というか一色さんってこういう時すごく良い笑顔を見せるよね。全然嬉しくないんだけど。

 

「そうだなー。正直三人ともテレビに出てても違和感無いほど可愛いしね。タイプって言ってもちょっとねぇ」

「え、もしかして口説いてますか? ごめんなさいこんな状況だし三人同時とかあり得ないんで無理です」

「待って、待って下さい。ちょっと考えてただけだから。話を戻すけど、タイプとか考えた事ないし分かんないよ」

「えー、先輩つまんなーい」

 

 口を突き出してぶーたれても分からないものは分かんないです。

 

「あ、ただ、三人が並んで立ってたとすると、一番目を引くのは如月さんかな」

「……あー。それは分かります。なんか桃先輩って目立ちますよね」

 

 さっぱり理由は分からないのだけど、気がつけば注目してしまう。そんな不思議な力が如月さんにはあるのだ。

 

「想像したらすっごく大変そうです。外に出たらいつも人目があるって事ですよ、ヤバイです」

「如月さんも苦労してるね……」

 

 二人でチラッと苦労人を見て、頷く。

 

「優しくしてあげよう」

「はい」

 

 一色さんと心が一つになった瞬間だった。

 

 

 

「収穫はリュックサックが一つ、非常用の懐中電灯が二つ、パンフレット一冊に教室の鍵。冷蔵庫にあったポカリ二本とコンビニ弁当四個でした」

「おおー」

 

 ぱちぱちぱちとみんなで拍手する。

 今は職員室を一通り探し終えて、椅子に座って休憩中である。

 

「これで最低限必要な物は揃ったかなー。あ、弁当もう食べちゃう?」

「そうだね。目が覚めてからまだ何も食べてないし」

 

 そう言うと渋谷さんはのり弁を手に取る。一色さんは高菜弁当、如月さんはシャケ弁、俺は唐揚げ弁当をそれぞれもらった。

 

「幽霊さんは食べないの?」

 

 ムリムリと手を振る幽霊さん。ですよねー。

 

 四人でいただきますをして食べ始める。意識してなかったけど、かなりお腹が減っていたみたいでお箸が進む進む。唐揚げうめぇ。

 味わって唐揚げを食べていると、渋谷さんがふと思い浮かんだように言った。

 

「最初から思ってたんだけど、桃って変わったパーカー着てるよね」

「そうかな?」

 

 如月さんは自分の胸元を引っ張って首を傾げた。確かに阿吽の文字が入ったピンクのパーカーは珍しいかもしれない。

 

「もしかして未来ってそういうのが流行ってるの?」

「いや、私の他に着てる人は見たことないよ。結構イケてると思うんだけどなー、なんでだろう」

「「「えっ」」」

 

 思わず三人で声が揃った。幽霊さんもびっくりしていらっしゃる。

 

「な、何なのかなその反応。え、良い感じでしょ?」

「……まぁ、うん。うん…………」

「凛ちゃん悩みすぎだよ!? そんなにキツイのこれ!」

「キツイというか、ないかな」

「ない!? そこまでなの!? ……じゃ、じゃあいろはちゃんはどう思う?」

「大丈夫ですよ。ただ、桃先輩ってちょっと変わってますよね」

「それ全然大丈夫じゃないよね! 優しく言っても誤魔化されないからねっ! 工藤さんなら分かってくれますよね、この服の良さ!」

「ぶっちゃけ如月さんだったら何着ても似合うと思うし、好きな服を着れば良いと思うよ」

「へっ? あ、ありがとうございます……」

 

 思わぬ不意打ちに頬を赤く染め、俯いてしまった。かわいい。

 

 そんな照れた様子の如月さんに、みんなは優しい目を向ける。結局誤魔化されてるのに気付いてないのかな。5W1Hが分かんなかった事といい、もしかして如月さんって……。

 

 しかしながら先程言った事は嘘ではないのだ。現に彼女は阿吽パーカーを着こなしているし。青いミニスカートに黒のレギンスを組み合わせたその姿は見事に様になっていた。美少女って得だな。

 

 因みに他の二人のセンスはというと、とても良い。渋谷さんは着崩した制服にピアスをつけてて大人っぽいし、一色さんはベージュの服にパールラベンダーのミニスカ、黒のレギンスでゆるふわ感のあるかわいい服装だ。

 

 ん? あれ、俺たちって自宅で寝て起きたらここにいたんだよね。じゃあなぜパジャマじゃなくて私服? 助かりましたけども。どうせそういう疑問もSFやらオカルトやらで解決するんだし考えても無駄かなぁ。

 

 如月さんのおかげで和やかな雰囲気が部屋に広がる中。気が抜けていた俺はゆったり物思いにふけっていると。

 

 突然横から右腕を強く引っ張られた。

 

 

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