明久が救急車で運ばれてしばらくした頃に雄二達がやってきた。
「どうしたのよコレ…」
島田の目の前には頭を包帯で巻かれた明久がいる。
患者服の中も包帯で巻かれているだろう。
「トラックに轢かれたんだそうだ。今は治療も済んで眠っているらしいが」
「トラックって…自殺願望でもあるの?吉井…吉井ッ…」
あんな事故があって治療で済むのもおかしな話だがな…
「本当に大丈夫なのよね?」
「ああ…ただ秀吉の姉が居なかったら多分死んでたんだとよ…」
「そう…ウゥッ…グスッ」
ちょっとはその辺に反応すると思ったんだがな。
「アンタらそろそろ帰りな!」
妖怪のようなババアの声が聞こえてきた。
まあ明久も無事みたいだしそろそろ帰るか…
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雄二が家に帰りテレビを見ていると
『これは、ニューヨークの路地裏にある監視カメラの映像…右側の覆面の男性と左下の女性に注目して欲しい。………お分かり頂けただろうか?右側の男性が突然灰色の怪物に変身して左下の女性に何かを伸ばした!更にこの後に起きる出来事にも注目して欲しい。伸びた何かを受けた女性が突然倒れた…なんと…起き上がった?そして何事もなかったかのように歩きだした!
この映像は本物orCG?』
ここ最近、幽霊や宇宙人、妖怪やUMAのように扱われている灰色の化物
世界共通でこの化物のような者をグレイモンスターと呼んでいた。
「……雄二はどう思う?」
紫色の綺麗な顔をした女性が雄二に話しかけてきた。
その声が聞こえてきた瞬間、雄二は眉間を押さえて怒りを堪えていた。
「とりあえず勝手に家に入んなって思ったな」
「……それはいいからどう思ったの?」
「全くよくねぇよ!帰れ。」
「……雄二は私の事嫌い?」
「好きじゃねえよ!帰れ!」
そう言って彼女を部屋から追い出す。
「いい加減諦めろ!」
そう言って雄二は乱暴にドアを閉めた。
数分後…
さすがにやりすぎたか…
「……雄二…」
トボトボと悲しそうに歩く彼女の目の前に…
いかにもチャラチャラした男が現れた。
「ねぇ…君、俺と遊ばない?悲しいこととか全部忘れてさ!楽しもうぜ?」
私には雄二しかいない。雄二以外いらない。そう思って彼女は断ったが男は諦めずに話しかけてくる。彼女の肩に手を伸ばし
「そんな事言わずにさぁ…いいじゃん」
とても不快だった。雄二以外の男にこんなに気安く触れられるのが
「いやっ」
彼女はその男の手を乱暴に振り払った。その時…
「何すんだよテメェ!人が優しくしてれば調子乗りやがって!」
男の顔に変な模様が浮かぶ。それを見た彼女は、さっき雄二の家で見ていた番組の事を思い出した。
グレイモンスターだ…そう思っている内に男はあの映像のように灰色の化物へと姿を変えた。
頭部はクラゲのようにも見える。それを見た彼女は手が震える。
逃げようとしても震えて上手く足が動かず後ろへ倒れてしまった。
怖かった…助けを呼びたいのに…周りには誰も居なかった。
声が上手く出ない…叫べばすぐに届くぐらい周りには明かりのついた建物がたくさんあるのに…
グレイモンスターが触手のような物を彼女に向けて伸ばしてきた。
もう終わった…そう思いながらも彼女は精一杯に呟くように彼に助けを求めた。
「……助けて…雄二」
グレイモンスターが出した触手のような物が彼女の心臓辺りをあの映像のように貫く
はずだった…
『ウオォオォオーン』
突然、狼の吠え声のような声が聞こえた気がした。
聞こえた気がしただけのはずだったのだが…
クラゲのようなグレイモンスターの触手はその声に反応したかのように彼女から外れて壁に激突した。
「うおおおぉおお!」
助けを求めた時、彼女は目を閉じていて見えなかったが何かがグレイモンスターにぶつかる音が聞こえた。
目を開けてみると…
「逃げろぉ!」
彼女が助けを求めた彼がいた。
『ゴオオォオー』
そして何者かが彼と彼女の頭上にいた。
「アレは、なんだ?」