勝平アフター   作:猫林13世

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正規ルートではチャーハンくらいしか作れませんけどね……


朋也の料理の腕

 腕によりをかけて料理を作ろうとしたら、廊下に出ていた勝平さんと岡崎君が戻ってきた。

 

「なぁ椋」

 

「はい? 何でしょうか、岡崎君」

 

「何時も邪魔してばっかだし、今日は俺が作ってやるよ」

 

「えっ、朋也君料理出来たんだ」

 

「一応一人暮らしだしな。コンビニや弁当屋のもんばっかじゃ飽きるから覚えた」

 

「そう、なんですか。じゃあ今日はお願いしても良いでしょうか?」

 

 

 本当は私が作りたかったんですけど、せっかくの岡崎君の好意ですし、勝平さんも興味津々な顔をしてましたのでお願いする事にしました。

 

「それじゃ、冷蔵庫の中を見せてもらうぞ」

 

「あるものはお好きに使ってください」

 

「そうか」

 

 

 岡崎君が冷蔵庫の中身を確認している間、勝平さんは岡崎君と私を交互に見て頷きました。

 

「勝平さん、如何かしたんですか?」

 

「ううん、僕の奥さんと友達は料理が出来るのに、僕は出来ないってのがちょっとね……」

 

「仕方ありませんよ。勝平さんは長い間病院生活でしたし、その前は放浪の旅をしてたんですから」

 

 

 私たちが出会ったのもその放浪の旅で勝平さんがこの街を訪れたから。そのおかげでこうして結婚までたどり着いたんですから、家事が出来ないなんて事て些細な事ですよね。

 

「やっほー! 遊びに来たわよー!」

 

「お姉ちゃん……」

 

「あれ? キッチンから料理をしてる音がしたけど、椋も勝平さんもいるじゃない? 誰が料理してるの?」

 

「朋也君ですけど」

 

「えっ!? アイツ、料理出来たんだ!?」

 

 

 やっぱりお姉ちゃんも驚いてる……まぁ岡崎君のイメージから考えると、キッチンに立って料理をするなんて想像も出来ないですけどね。

 

「うっせーな、聞こえてるぞ」

 

「あっそ。それじゃあ、アンタの料理の腕がどんなものか確かめてあげるわよ」

 

「偉そうに言ってるけど、ただ飯を食いに来ただけだろ」

 

「あったりー! まぁ、せいぜい期待しないで待ってるわよ」

 

「この女……」

 

 

 岡崎君はお姉ちゃんを一睨みしてからキッチンに戻っていきました。多分、お姉ちゃんに何を言っても駄目だと悟ったのでしょうね……

 

「本当はあたしが作ろうかと思ってたけど、朋也が作ってるならそれでもいいわね」

 

「お姉ちゃん、私が作ろうとすると全力で止めるのに岡崎君の時は止めないんだね」

 

「それは……だって……」

 

 

 お姉ちゃんがしどろもどろになる。本当は私だって分かっているのだけども、勝平さんやお姉ちゃんが我慢しながらも食べてくれるので「次こそは!」と意気込んで作るのだ。まぁ、意気込みと結果は必ずしも比例しないのだけども……

 

「でも、朋也が料理してるなんてなんだか新鮮……というか違和感が半端無いんだけど」

 

「まぁ朋也君も一人暮らしが長いって言ってたから大丈夫じゃないですか?」

 

「如何かしらね……少なくとも陽平よりはマシだとは思うけど」

 

「お姉ちゃん、春原君の料理を食べた事あるの?」

 

「えっ? あるわけないでしょ」

 

 

 想像でけなされる春原君っていったい……まぁ彼は高校時代からそんな扱いだったような気もするけど……

 

「出来たぞ」

 

「じゃあ審査してあげようじゃないの」

 

「何で家主でも無いお前が偉そうにしてんだよ……」

 

「あーもう! 細かい事を気にしてんじゃないわよ! それでも男なの!?」

 

「全然細かくないだろ! 何でお前はそんな大雑把なんだよ! それでも女なのか!?」

 

 

 この二人も高校時代とさほど変わってないな……お姉ちゃんがああ言えば岡崎君がこう言う。岡崎君は高校時代不良って言われてたけども、その岡崎君と普通に話してたのはお姉ちゃんが初めてだった気がする。まぁ春原君は同性だという事でカウントしてないけど。

 そしてお姉ちゃんの本性……というか素の性格を知ってもそのままお姉ちゃんと付き合ってくれてたのは岡崎君くらいだった。同性からはカッコイイという事で好評だったけども、異性からは気が強い、って思われて少し敬遠されてたんだよね……

 

「とりあえず食べさせなさい! アタシを満足させられたら黙ってあげるわよ!」

 

「ホント偉そうだよな、お前って……」

 

 

 最終的には岡崎君が折れるので、お姉ちゃんも気にせず強気でいられるんだろう。この二人が本気で喧嘩……というか言い争うのは見た事が無い。なんだかんだで岡崎君は優しいから……

 

「僕も食べたいな」

 

「ほら。椋の分もあるぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 お姉ちゃんが手をつけようとしてるのを抑えて、岡崎君は私と勝平さんにも料理を渡してくれた。

 

「うん……美味しい」

 

「凄いです、岡崎君!」

 

「……まぁ、悪くないわね」

 

「素直じゃ無いやつ……」

 

 

 お姉ちゃんに視線を向けながらため息を吐く岡崎君。やっぱりこの二人はお似合いだと思うんですよね……まぁお姉ちゃんに怒られるから口には出しませんが。

 

「じゃあこれからは朋也がこの家の料理を担当する事ね!」

 

「俺はここの住人じゃねぇ!」

 

「細かい事は気にしないの。それじゃ、楽しみにしてるわよ」

 

「だから、全然細かくないだろ……」

 

 

 岡崎君、お姉ちゃんは物事の捉え方が大雑把なんですよ……諦めてください……




一人暮らしをすれば、上達するか全くしないかの二択でしょうね。
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