朋也と一緒に出かけるってだけで、あたしはあんなにも体調を崩すなんて思っても無かったわね……おかげでただ商店街をブラブラと歩いたり、気になったモノを見たりするだけになってしまった……
「(よく考えれば、朋也と二人だけって高校時代もそんなに無かったわよね……)」
あったとしてもせいぜい学校の敷地内、もしくは坂を下る少しの間だけだったはず……それじゃあ緊張しちゃうのも仕方ないのかもしれないわね……
「ねぇねぇ朋也君、これって椋さんに似合うかな?」
「そこに似たようなヤツがいるんだから、そいつに聞いたらどうだ?」
「ちょっと! 双子だからって同じように扱うのは止めてよね!」
「別に同じように扱ってねぇよ。ただ俺に聞くより双子の姉がいるんだから、そっちに聞けって言っただけだろ」
どうしても朋也にはこうやって強く当たってしまう。本当はもっと素直になりたいのに……あたしってばホント恋愛下手なのね……
「う~ん……杏さんだと上手くイメージ出来ないよ」
「じゃあ自分の頭の中で椋に似合うかどうかイメージするんだな」
さっきから朋也は勝平さんに引っ張られて椋へのプレゼント選びに付き合わされている。ぶっちゃけると勝平さんが朋也の相手をしてくれているから、あたしは平常心を取り戻そうと努力出来てるのだ。
「だいたい勝平。お前そんな金持ってるのか?」
「え? ……止めておこう」
値札を見て勝平さんが手に持っていた小物を元あった場所に戻した。気持ちは大事だけども、それ以上に大事なのはお金。つい最近まで入院していた勝平さんにそれだけのお金があるとも思えないものね……仕方ないわよ。
「そうだ。朋也君、さっきは奢らせちゃってごめんね」
「別に構わん。それよりも、杏はさっきから随分と大人しいな」
「へ? ……別に良いでしょ!」
「まぁ構わないが……まだ気分でも悪いのか?」
あたしの顔色を窺うように、朋也がしゃがんで視線を合わせてくる。それだけであたしの心は落ち着きを失い、見るからに動揺してしまうのだ。
「べ、別に問題無いわよ! それよりも早く次の場所に行きましょ!」
「……そうだな」
明らかに疑ってる顔をしている朋也だったけども、深く追求してあたしが逆切れするのを嫌ったのかそれ以上追及はしてこなかった。
「朋也君、何処か安くていいお店知らないかな?」
「何となくニュアンスがおかしいが……別に焦る必要は無いんじゃないか? お前が一人で問題なく出かけられるようになって、仕事先が見つかった後でも遅くないと思うぞ?」
「でも、椋さんには散々迷惑かけちゃったし……」
「椋はお前の面倒をみるのを迷惑だと言ったのか?」
「そんな事言わないよ!」
朋也の質問に勝平さんがムキになって答えた。その答えを聞いて、朋也は軽く笑って言う。
「なら焦る事は無いだろ。好きで面倒みてくれてたんだから、お礼はもう少し自立してからでも」
「朋也君……うん、そうするよ」
ほんとコイツって他人の相談事を聞いて解決する事だけには長けてるわよね……高校時代も周りの問題を自分の問題のように背負って解決してたし……
「さて、勝平の悩みも解決した事だし、そろそろ次に行こうぜ。何時までもここにとどまってたら店の人に迷惑だしな」
「そうね……」
あたしの悩みも、朋也に相談出来れば解決するのかしら? てか、悩みの種である朋也に相談するなんて、どう頑張っても無理よね……
「ねぇ杏さん」
「なに?」
「朋也君に告白はしないんですか?」
「っ!? な、なに言うのよ!」
「痛いっ!?」
つい恥ずかしくなって勝平さんに攻撃してしまった。
「ご、ごめんなさい」
「ううん、僕も悪かったですから」
叩かれた箇所をさすりながら、勝平さんは笑いながら許してくれた。その光景を、朋也が呆れながら見てたのに気づいたあたしは、気恥かしさから視線を逸らしたのだった。
ほのぼのとは程遠い……