いよいよお盆になり、朋也君も杏さんも春原君も休みが取れる事になった。ちなみに春原君は今日の午後にはこの街にやってくる事になっているのだ。
「どうでもいいが、アイツは向こうに友達がいないのか?」
「バカねー朋也。陽平に友達なんているわけないでしょ?」
「それもそうだな」
「「………」」
本人がいないところで朋也君と杏さんが酷い事を言っているのを聞いて、僕と椋さんは言葉を失った。これが高校からの付き合いが折りなるコンビネーションなのだろうか。
「ところで朋也、最近全く会わなかったけど、忙しかったの?」
「それはお互い様だろ。そもそも、勝平が退院する前の五年間、全く会わなかったんだから不思議は無いだろ」
「そうかもしれないけど……ここ数ヶ月はちょくちょく会ってたじゃない」
「別に無理して会う必要も無かっただろ。会える時に会えばいいんだし」
朋也君の言ってる事はまったくもってその通りだった。僕が入院してる間、朋也君と杏さん、そして椋さんとの間に交流は無かった。かろうじて椋さんと杏さんの間には交流はあったけども、今みたいに頻繁に会っていたわけでもないのだ。
「それにしても、何で俺たちが春原の出迎えなんてしなきゃいけないんだ?」
「ホントよね。本来ならアイツが私たちを歓迎しなきゃいけないのに」
「でも、春原君はこの街に住んでる訳じゃないんだし……」
「そうですよ。春原君もわざわざこっちに来てくれるんですから、せめて出迎えくらいは……」
「「いや、気に喰わない(わね)」」
僕と椋さんの精一杯フォローも、朋也君と杏さんのコンビネーションの前に撃沈してしまった……やっぱりこの二人は息ピッタリだな……
「やぁ! お出迎え御苦労!」
タイミング良く(悪く?)春原君が改札から現れて偉そうな態度をしてみせた。
「あっ? 誰だお前」
「お巡りさーん! なんか変な人が声掛けて来たんですけどー!」
「ちょっ!? 何言ってるんだよ! 僕だよ! 春原陽平だよ!!」
「「春原陽平?」」
春原君が必死になって言い寄ってるけど、朋也君と杏さんはふざけてる感じをさせない雰囲気を醸し出している。
「なぁ杏、こんなやつ知り合いにいたっけ?」
「あたしは知らないわね」
「そんな事言わないでくださいよー……僕だよ、貴方たちの知り合いの春原陽平だよー」
「……そう言えばそんな知り合いがいたかもしれないな」
「高校の時にそんな名前の男子生徒がいたかもしれないわね」
「思い出してくれた?」
必死に思い出せてもらおうとしている春原君の顔を見て、朋也君と杏さんの顔に悪い笑みが浮かんだ。
「あー思い出した。自称親友の春原君じゃないですか! お久しぶりです、元気でしたか?」
「あー朋也の親友(下僕)の陽平君じゃないですか、思い出したわ!」
「あんたたち、相変わらず酷いですね……」
春原君が棒泣きしている横で、朋也君と杏さんがお腹を抱えて笑いだした。
「相変わらず面白いな、春原は」
「弄り甲斐があるわよね、陽平って」
「思い出してくれたのは嬉しいけど、あんたらヒデェよ! 相変わらず似たもの夫婦!」
「「あぁん?」」
「ヒィ!?」
朋也君と杏さんに睨まれて春原君は竦み上がってしまっている……まぁ僕もあの目で見られたら竦んで何も出来なくなってしまうだろうな……
「とりあえず行こうよ、春原君も久しぶりなんだからさ」
「そうだな。何時までもコイツの相手をしててもつまらないもんな」
「そうね。陽平の相手をして時間を潰すのはもったいないもんね」
「……そうですね」
朋也君と杏さんに冷たい視線を向けられて、春原君はガックリしてしまった。でもまぁ、これがこの三人の付き合い方なんだろうなと、僕と椋さんは苦笑いを浮かべながら三人の後をついていったのだ。
そして彼は相変わらずの扱い……