勝平アフター   作:猫林13世

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動きだす準備は出来た……


妹の説得

 昨日の夜、早々に逃げ出した朋也君が、お昼過ぎに再びこの部屋にやって来た。ちゃんと食材の買いだしを済ませてきて……

 

「と、朋也!」

 

「あ? 何だよ」

 

「昨日、あたし変な事言わなかった?」

 

 

 朋也君が来てすぐ、杏さんが昨日の発言について確認を取り始める。

 

「あぁ、俺が好きだとかどうとか言ってたな」

 

「ッ!? じょ、冗談だからね! 本気に取らないでよね!」

 

 

 杏さんもいい加減素直になればいいのに……僕がそんな事を思ってると、僕の横で椋さんが僕と同じ目をして杏さんを眺めていた。おそらく……いや、確実に僕と同じ事を思ってたんだろうな。

 

「別に酔っ払いの言葉を本気に取るような真似はしねぇよ」

 

「いやーあれは杏の……ゲバァ! なにするんですかねぇ!?」

 

 

 春原君が余計な事を言いそうになったので、杏さんが傍にあった辞書で春原君の顔面を振り抜いた。あれは痛そうだな……

 

「陽平、素巻きにされて川に流されるのと、コンクリート詰めにされて海に流されるのと、どっちがいい?」

 

「ステキな選択肢だね……出来ればどっちも遠慮したいかな……」

 

「ダメ。素巻きにしてコンクリート詰めしてあげる。そして川から海まで漂流しなさい」

 

 

 ステキな笑顔を浮かべながら、杏さんが春原君に死の宣告をする。春原君もこうなるって分かってるのに、何で杏さんによけいな事を言うんだろう……

 

「そもそもあたしが朋也を好きになるわけないじゃないの!」

 

「お姉ちゃん、ちょっとコッチ来て」

 

「えっ、椋? なによいったい……」

 

 

 杏さんの腕を、椋さんが引っ張って朋也君の側から移動させる。僕も二人についていく事にした。

 

「お姉ちゃん、いい加減素直になりなって。岡崎君の事好きだって、昨日言っちゃってるんだからさ」

 

「あ、あれは! 酔っ払ったから言った戯言よ! 本気なわけないじゃないのよ!」

 

「私にウソを言っても意味無いって。お姉ちゃんの気持ちは高校の時から知ってるんだから」

 

「僕も何となく知ってましたし、椋さんから聞きましたので」

 

 

 杏さんが朋也君の事が好きだって事は、僕と椋さんだけじゃなく春原君も気が付いている。朋也君も気づいてるけど、あえてそれに気付かないフリをしているのだ。

 

「ちゃんと告白しなよ。岡崎君だって何時までもあんな態度を取るのも大変だと思うよ?」

 

「……どういう意味よ」

 

「気づいてるんでしょ? 岡崎君もお姉ちゃんの気持ちを知ってるって」

 

 

 散々お酒の力を借りて言っているのだ。いい加減朋也君も冗談じゃないって気づいてる。いや……もしかしたらその前から気づいてたかもしれないのだ。

 

「春原君じゃないけど、昨日のアレだって本心から言ったんだよね?」

 

「だからあれは……」

 

「あれは?」

 

 

 言い訳をしようとしたのだろうが、椋さんが真っすぐに杏さんを見詰めていたので、杏さんの言葉は途切れてしまった。

 

「……本心です」

 

「でしょ? だったら今度は酔っ払いの戯言なんかじゃなく、素面のお姉ちゃんで言えばいいだけでしょ」

 

「それが出来れば苦労しないわよ……」

 

「お姉ちゃん……昔から思っても無い事はすんなり言えるのに、どうして本心になるとこんなに言い淀んじゃうのさ?」

 

「分からないわよ、そんなの……」

 

「今日中に岡崎君に告白する事。じゃないと私から岡崎君に言っちゃうからね」

 

「なっ!? ……分かったわよ。今日中に朋也に『好き』って言えばいいんでしょ!」

 

 

 自棄になったのか、杏さんは僕たちの前で、今日朋也君に告白する事を宣言した。これで朋也君と杏さんが付き合う事になって、結婚までいけば、僕は朋也君と家族になれるんだな……何だか不思議な気分だ。




あとはどう展開させていくかですかね……
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