僕は不知火を愛している。
何故、と問われても、きっと答えは出ない。
思考を回せば「かわいいから」や「強い」だの、色々と出てくるだろう。
でも答えは出ない。
愛するっていうのは、そういうものなんだろう。
さてそんな僕の友人はこの間、那珂ちゃんが五百人になったというので、お祝いにペンギンを送っておいたが。
ついに、そうついに、僕の鎮守府でも不知火が五十人になった。
なんと喜ばしいことか、舞い上がらずにはいられない。
とはいえ、僕の鎮守府に金食い虫はいらない。
たとえ愛していようとも、役立たずは躊躇なく捨てる。
しかし不知火は愛しているし沢山欲しい。でも金食い虫はいらない。
なら、どうするべきかーー
「提督、艦娘達から苦情が押し寄せてきています」
「捨てていいよ」
「了解しました」
秘書艦である陽炎型二番艦、ファーストナンバー不知火が大量の苦情書を持って執務室を出る。
その途中、数枚ほど落としてしまったが、不知火はそれに気付かず行ってしまった。
僕はそれをなんとなしに拾って、読んでみる。
『不知火さんが怖いのです』
『睨め殺されそうだったのですが』
『たまに舌打ちしてくる。たすけて』
『この間五人くらいに囲まれたクマ。モデルガンがそんなにダメクマか?』
概ねこんな感じの内容が書かれていた。
さて、僕の閃いた不知火の利用法を教えよう。
この鎮守府のあらゆる箇所に不知火を設置、監視役にしている。
なんと素晴らしい発想だろうと、我ながら自分を褒めた。
どこに行っても不知火がこちらを見てくれ、僕も不知火を見れる。
また同時に鎮守府内を不知火ネットワークで常時監視出来る。
あぁ、世界は不知火に溢れている。
僕は幸せ者だ。
「ただいま戻りました」
「うん、お帰り」
不知火が戻ってきた。
さて、今日も始めようか。
「不知火、任務を与えよう」
「はい」
「本営令第五十八号。指定海域五ノ二に新たに敵深海棲戦を発見、本鎮守府は第一主力艦隊及び第三後衛艦隊、及び『不知火艦隊』により、コレを撃滅せよ」
「了解しました」
不知火はそう返事し、執務室から出ていく。
さあ、今日も不知火のみの艦隊が活躍するぞ。
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【ある戦艦からの苦情】
ヘーイ、てーとくー。この間サー、ワタシが廊下で食べ歩きしてたらサー、ヌイヌイが五、六人で囲んできたんだよネ。
そしたらその戦艦クラスの眼光で睨んできて、ワタシのコロッケひったくってどっか行っちゃったネー。
あれ、どうにかして欲しいのヨ。いくらなんでも怖いネ。
比叡のカレーも問答無用で廃棄しちゃったし、なんというか、もう怖いネ。
早いところヌイヌイについて対処してくだサイ。
【ある軽巡からの苦情】
先日、私が秘蔵していた『スーパー北上写真集』を盗まれました。
それに気付いて探し回ってみれば、なんと焼却炉の中で私の北上さんが……
殺意を覚えます。
しかし、アレに立ち向かおうとすると、必ず数人固まって囲んできます。
この私ですら恐怖するんですけど。
ほんと、もう、写真集くらいは許してください。
提督の許可がないと、私の写真集も枕カバーもポスターも、全部焼かれてしまいます。
もう処分しろとはいいませんから、せめて許可を、所持する許可をください。お願いします。
【ある潜水艦からの苦情】
あれはゴーヤがゴーヤを食べていたときのことでち。
ゴーヤ、実はゴーヤが苦手なんでち。
それでイムヤにゴーヤをあげようとした、その時。
なんと不知火が六人ほど、音もなく現れたんでち。
五人がゴーヤを押さえ付けて、一人がゴーヤを鷲掴み、ゴーヤの口に捩じ込んできたんでち。
そこからはもう、記憶がないでち。
ゴーヤのゲシュタルト崩壊や(白目)