ある日の鎮守府【短編集】   作:イモリ

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同時進行でガリガリ書いてた「駆逐艦の章」が操作ミスで丸々消えてしまい、意気消沈なう


マジLOVE31720トン

 我が鎮守府には金剛型が一人しかいない。

 

 これは極めて珍しいケースであり、他鎮守府では基本的に四人揃っている。

 しかし、我が鎮守府にはネームシップである金剛しかいないのだ。

 

 大本営から発表された400/100/600/30という金剛型が最も出やすいとされるレシピもあるが、私がそれを回すと狙ってもいないレア艦が出てきてしまうのだ。

 火力の高い戦艦はいいから高速戦艦を出せといいたい。私は質より数を優先する。

 

 とにかく、我が鎮守府には金剛型が一人しかいないのだ。

 

 

 

 

 

「ヘーイ、てーとくー? お茶しようよー!」

 

 いつもの様に執務室で建白書を書きなぐっていると、金剛が扉を蹴破ってきた。

 戦艦パワーにより吹き飛ばされた扉は私の頭上スレスレを光の速さで通り過ぎ、後方の窓ガラスを一片たりとも残さず消し去ってしまう。

 私の頭は血みどろだ。

 

「…………」

「あれ? てーとくー? Doしたのサ? 頭からブラッドが出てるよー?」

「消えろ」

 

 懐から某国の某SとWの会社が開発した「F&C-666」という艦娘懲罰用低威力自動拳銃を光より速く取り出し、眉間に八発全弾撃ち尽くす。

 金剛はゴッ、という頭部に固く鋭い石が深々と突き刺さったかのような音を八度ほど破裂させ、ぶっ倒れた。

 

 これで通算何度目だったか。

 五十を超えてから数えてないが、週に一回はこうして扉を蹴破られて窓が消える。

 一度鋼鉄製の扉にしたことがあったが、その時は扉が砕けずそのまま飛んできて、危うく窓でなく私が消えるところであった。

 そんな事が毎回のように起きているにも関わらず、そのスタンスを曲げることなく続ける金剛には敬意すら浮かばざるを得ないが、それはそれとして危険なのでやめて頂きたい。そろそろ死にかねん。

 

「あー、明石。ああ、頼む。妖精さんを連れてきてくれ」

 

 内線で明石に現状を伝え、溜息を吐く。

 

 金剛の愛が(物理的に)重い。

 

 

 

 

 

「ねーてーとくー? なんで私は営倉に入れられてるんですか?」

「何故? 理由は貴様が一番よく理解しているはずだが?」

「Door? それともWindow? はて、思い当たる節が多すぎて分かりませんネ」

「ルー金剛よ、その全てが理由だ」

 

 重営倉に金剛をブチ込んで一週間。金剛の様子を見に来てみれば、まったくもって反省の色を見せてはいない。

 それどころか何処から持ち込んだのか、アンティーク風のテーブルに椅子、そしてティーカップで紅茶を飲んでいる。

 

「あっ、ねーてーとく、一緒にティータイムしようネ!」

「遠慮させてもらう」

「もーう、てーとくはお固いネー。ワタシ、姉妹もいないし、寂しいんだヨ?」

「……ふむ」

 

 金剛が着任してより三年、金剛は他の姉妹に会ったことすらない。高速戦艦がたった一人では戦線でも役に立つわけもなく、演習の日々であり、それ故に戦闘の経験不足で他鎮守府との合同戦線にすら参加できない始末。

 金剛はどのような感情だったろうか。単純に寂しい、の一言で済ませられるようなものなのだろうか。確かに仲間は沢山いる。なにも演習ばかりで作戦に参加させられない艦娘は金剛だけではない。那珂とか、那珂とか那珂だっている。

 しかし、妹がいない。

 それが、一体どれほど悲しいことなのか。……あいにく、その心を推し量ることは無理だろう。

 

「ダ・カ・ラ、私とお茶しようネー!」

「うわっおい! 無理やり蹴破るな! おおおおおお死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!」

 

 金剛が檻を蹴破り、何十という鉄槍が降り注いだ。

 

 絶対にお茶会なんぞ参加してやらん。そう心に誓った。

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