ある日の鎮守府【短編集】   作:イモリ

9 / 11
もはやャラ崩壊とかのレヴェルじゃねーな(白目


カレーの日

 金曜日はカレーの日らしい。

 

 らしい、というのは、私は金曜日は決まって自室に篭るため、金曜日の夕飯は食べないから分からないのだ。

 何故金曜日は部屋に篭るかはさて置き、金曜日はカレーの日らしい。それは幾度も艦娘達から聞いた。

 そして多くの艦娘達は、私と共にカレーを食べれないことを残念に思ってるとも聞いた。

 しかし、私は金曜日の夜は用事がある。何よりも優先すべき用事が。

 

 そして、ある艦娘がこう提案したーーー

 

 

 

 

 

「お昼にカレー食べればいいんじゃね?」

 

 

 

 

 

 時は20XX年。深海棲艦の核の炎が云々。

 まあ連中は核兵器なんぞ持っていないが。

 

 本日は金曜日である。そう、皆も知ってのとおり、カレーの日だ。

 先日とある重雷装艦が「昼飯はカレー食べようぜ! おまえカレールーな!」と発言したため(脚色あり)昼食は鎮守府内全域にてカレーのみである。

 クソが。

 誰だ昼食をカレーにしようとか言った奴。太ももに引っ付いた魚雷管引っペがしてから瞬間接着剤でくっ付けて再度引っペがしてやる。

 さて、何故こうして私が悪態ついているかと言えば、最重要機密レベルの極めて重い理由が存在する。

 

 私はカレーが嫌いなのだ。

 

 恐らく読者諸兄は「カレー嫌いな奴とかはじめて見た」やら「理由がしょーもない」だの「こいつ頭わいてて草」と思っている事だろう。

 殺すぞ。

 冗談は置いておくとして、誰しも嫌いな食べ物の一つや二つはあるだろう? 私はたまたまカレーがソレだったのだ。何が嫌いかと問われれば、まず色。某艦これ動画でよくネタとして使われる、まあ、なんだ、言ってしまえばくそ的な、そういうのにしか見えんのだ。

 そして次に味。

 素材の味がまったくせんではないか。芋を入れようが、人参を入れようが、肉を入れようが、その全てはひとつの例外としてなくカレー味だ。

 許せん。

 私はなにより素材を重視する。私の実家が料理屋且つ両親の実家がそれぞれ農家および酪農家だったことに起因するかもしれんが、料理とは化学調味料や香辛料に非ず。全ては素材が味を引き出すのだ。

 

 私にとって、カレーとは天敵だ。

 そんな私の天敵を食わせようとしてくる艦娘共。悪気がないだけタチが悪い。

 さて、どうして逃げたものか……

 

 

 

 

 

 

 まいねーむいずすーぱーきたがぁみ(ネイティブ発音)

 今日はカレーの日だ。

 提督は毎週金曜日の夜に引き篭るため、業を煮やした大井っちがついに爆発して「みんな! カレーは持ったな! (執務室へ)いくぞぉぉぉ!」と叫んで(脚色あり)チンジュフ昼のカレー祭りが開催することになった。

 ここだけの話、大井っちってば隠れ提督ラブ勢なんだよね。いつからだろ。

 それは置いといて、第一艦隊、遠征隊が帰ってきて、昼食の時間。

 私達艦娘はほとんど全員が食堂に集まり、みんなでカレーを片手に持った。

 そして……

 

「てーとくぅぅぅうううう!!!」

「うわぁァァァァ!!!」

「ヒャッハーーーーー!!!」

「食べりゅ?」

「とぅいいぃくううぅまああぁぁぁぁぁ!!!」

「キエエエエエエエエエ!!!」

 

 みんなして奇声をあげながら執務室に突撃をかました。

 

 カレー祭りと称したとおり、午前中から既に一部の提督ラブ勢が盛り上げ始め、騒ぎ好きの軽空母が酒を投入し、大淀がその時点で午後の予定を(無断で)キャンセル、オリョールクルージングがなくなった潜水艦が狂喜乱舞して、伝播した駆逐艦が狂いだし、鎮守府のほぼ全域にそれが及んだという次第。

 

 酒の力もあってか鎮守府内は混沌と化し、最早提督にカレーを食べさせる云々を無視して半ば暴動となっている。

 中にはすっ転んで頭からカレーを被る駆逐艦や、走る途中でアルコールリバースをする軽空母、走りながらひたすらにカレーを飲みまくる空母に、挙句の果てには他の艦娘にカレーを投げつける者でいる。

 カレー祭りをトマト祭りの派生系か何かと勘違いしてはなかろうか。

 

 そうして色々ありながらみんなして執務室に雪崩込む。

 

「さあ提督! カレーを食すのだ!」

「アルコールカレーうめー!」

「ごっきゅごっきゅごっきゅごっきゅ」

「カレー洋で夜戦だよ夜戦! カレーガン積み!」

 

 そして、そこにーーー提督の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 私は今、とある場所にいる。

 艦娘共に見つからない私の秘密基地だ。

 今日は一日をここで過ごし、カレーから逃れようと考えている。

 

 秘密基地は艦隊設立当初、まさしくこんな事もあろうかと、と妖精さんに地下深くへ作らせたシェルターだ。

 シェルターとは言ってもそこまで強固なものではないが。

 

 持ち込んであったゲームで暇を潰していると、地上からドドドドドド、と地響きのような地鳴りのような音が響きわたった。

 すわ地震か、と鎮守府内に張り巡らされた監視カメラにアクセスすると、我が鎮守府に軍籍を置くほとんど全員の艦娘がカレー片手に暴動を起こしていた。

 意味がわからん。

 音声もつなげてみると、みな一様に奇声を発している。

 本当に意味がわからん。

 こんな状態では午後の出撃に支障が出る、と考えたところ、もしやと思い、執務室のデスクPCのアカウントにアクセスすると、大淀からメッセージが届いていた。

 予想した通り、午後の予定がオールキャンセルである。

 

 彼奴は何をやっている。

 

 そして艦娘共が私の執務室に乗り込むと、数俊時間が止まった。皆が黙り、本当に時間が止まってしまったかのようだ。

 そして数分が経ちーーー

 

 

 

 執務室が消えた。

 

 

 

 

 

 次の日。

 本日は土曜日である。

 あの地獄のような¡華麗祭り《カレーまつり》 もまるで昨日の事のようだ。まあ昨日なのだが。

 カレー祭りのあと、艦娘達は執務室へ向けて一斉砲火。執務室は跡形もなく消え失せた。

 それと同時に軽空母のアルコールカレーにより、次々と倒れ伏し、ついには全員が着底。ドッグが一時満員状態となった。

 

 そしてアルコールカレーの影響か、ほぼ全員がその時の記憶をなくしており、私は都合よろしく何事もなく今日を迎えたわけだ。

 

 ちなみに執務室は妖精さんが一晩で直してくれた。妖精さんマジ優秀。ジェバンニかよ。

 

「でち、でちでち、でち」

「あぁ。報告書を早急に提出させとけ。ゴーヤとハチはドッグだ」

「でっち」

 

 オリョールから帰ってきた潜水艦を出迎え、ドッグへ向かわせる。

 本日は秘書艦がいない。何故なら昨日のことで殆どが二日酔い状態だからだ。

 現状で無事な連中だけでも出撃させているから、特に問題はないがな。

 

 さて、来週はどう乗り切ろうか……




最近艦これを始めたんですよ(今まで未プレイで書いてた人
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。