私はハンドア派です
紅魔館での朝
窓を開けて外を見る
鳥のさえずり
差し込める朝日
でも気持ちの良い朝ではなかった
「おえっ....」
気持ち悪い
これが二日酔いというものか
吐き気がするし頭が痛い
それに体のだるさ
思わずベッドに座りこむ
今日はあまり動きたくない
紅魔館でゆっくりしていよう....
あの後一通りリクエストに答えた
もう知らない人の癖や口調まで真似ていた
自分の知らない人のモノマネって不安だ
似てるか知らないし
でもウケていたので良しとした
終わった後程々にと思っていたが
抑えられなくなってお酒を飲んだ
なぜなら、周りの雰囲気に飲まれてしまったからだ
俺の芸によって最高にハイッてやつになってしまった
そしてついでにお酒に飲まれてしまった
そしてお約束のそこから記憶なし
調子に乗ってしまった
あぁダメだ、おえっ....気持ち悪い
お酒って恐ろしい
兎も角起きよう
ベッドから立ち上がり
部屋から出た
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
咲夜さんだった
この人も結構飲んだはずなのになぜこうも平気なのだ
きっとお酒に強いのだろう、見た目に反して
羨ましいものだ
日本人の約半分はアルコールに弱い体質と教科書に書いてあったな
あぁ、こんなとき陽気にジョッキで飲むあの外国人が羨ましい
彼らはきっと二日酔いなんて知らないのだろう
「二日酔いでしょうか?ならこの薬などは?」
そう言ってポケットから飲み薬のような液体が入った
ガラスの瓶を差し出した
瓶は手のひらサイズ、透明で中が見える
この大きさなら一気に飲み干せそうだ
「この薬は即効性なので飲んで10分程で効いてくると思います」
すごいなこの薬
どこのメーカーのだろうか?
瓶には一切記載がされていない
薬で記載がされていないのは怖い
しかし二日酔いが治るのなら
「ではお言葉に甘えて頂きます」
その薬を受け取る
透明で真水に見えるが
中をじっくり観察すると妙にドロっとしている
瓶をひっくり返してみると納豆の様に蓋側に液体が落ちる
いい薬の証拠だ....よく効くのだろう....
そう自分に言い聞かせた
瓶の蓋を開けた
オロナ◯ンCのタイプなので簡単に開けられた
匂いを嗅ぐ、あの理科の実験の時の危険物のかぎ方
直接嗅がずに手でこちらに臭いをあおって確かめる
特に臭いはしない
「用心深いですね」
「これくらい用心でなくては生きていけませんよ」
「あなたは世紀末の人間ですか?」
ヒャッハーはいなかったな
それに近いやつはいた
そして、意を決して
一気飲みした
味はお世辞にも美味しくない
漢方薬の味に近い
苦い
「どうも、ありがとうございました」
「いえ」
そう言って瓶をポケットにねじ込む
これ本当に効くのか?
今更疑問に思い始めた
そうだ、これを聞いておかなければ
「この薬って製造元どこなんですか?」
「永遠亭という病院の様な所で製造された物です」
病院なら大丈夫だろう
ん?様な所?
病院ではないのか
では病院に近い何かって何?
ダメだ頭が痛くなってきた
病院の様な所という認識でいいだろう
腹が減った....そんなことより何か食べたい
咲夜さんにもう一度お礼を言って
朝食のある部屋へと足を進めた
紅魔館にはまだ人がいる
地下の魔法使いと門番さん
門番さんとは軽く挨拶している
だから名前とかくらいなら知っているのだが
地下の魔法使いとは一度も会っていない
一度もすれ違わない
一度くらいすれ違ってもおかしくないはずだが
だから挨拶をしに行こう
今更だと思うが.....
異変のとき確か二手に分かれた
魔理沙はあの時別の道を進んだから会えたのだ
地下の魔法使いに
そこから行けばいいのか
というわけで紅魔館入り口付近
で、魔理沙が面白そうだからという理由で選んだ道は
地下へと続くなだらかな角度の階段だった
地下って怖いな
さてと.....迷子にはならないでおこう
地下は思ったように少し薄暗かった
廊下のつくりはたいして変わっていない
壁に吊るされたランプの灯りが雰囲気を醸し出す
どこか魔王の館を探検しているようだった
小さい時近くの工場の廃墟を探検したのに似ている
ドキドキしながら何かすごいお宝があるのではと期待していたが
まぁゴミばっかりで何も見つからなかった
そんな昔の思い出に浸りながら歩いていく
あの廃墟は今は取り壊され更地になっている
一時期の秘密基地だったからな
結構がっかりしたものだ
暫く歩いていると
大きな扉が見えてきた
ところどころ小さな扉があったがこれだけ妙に大きい
ここにいるのだろうか?
まぁここにいそうなのだが
とりあえず扉の前に立ちノックしてみる
この大きな扉にノックで良かったのか?
と思ったが数秒後扉が内へ開いた
若干ピンクがかった髪
腰まであるロングヘアー
黒を基調としたワンピースのような服
そして尻尾
尻尾の先がスペード型の悪魔の尻尾
ゲームで下級悪魔系モンスターについてそうな感じ
いや、人に下級悪魔だの失礼だな
「どうもこんにちは、僕は複井 成太と言います
この紅魔館に今お世話になっている者です」
「あ、あなたが成太さんですか?」
しげしげと見つめる彼女
良かった、存在は認識されているようだ
それなら話は早いだろう
「今日は魔法使いのノーレッジさんにご挨拶をと思い伺いました」
「そうですか、私は小悪魔といいます
パチュリー様なら奥にいますので案内しますよ」
「お願いします」
レミリア曰くの親友
パチュリー・ノーレッジ
種族は魔法使い
厳密には人間ではないらしい
魔女という表現が近いと思う
彼女は異変の時に霧発生に携わった一人
そんじゃそこらの魔法使いではないようだ
しかしそれを倒した魔理沙は何者なんだよ
魔理沙は実はすごい魔法使いなのではと疑ってしまう
部屋の中に入ると
視界に入るのは本、本、本
大量の本だった
自分の背丈の何倍はあろうかと思う本棚に
びっちりと隙間なく入れられている本
近くの本棚に目を通す
何語かさえわからないような本がずらりと並ぶ
これが魔法使いか、こんなの読めるのか
魔法使いはグローバルなのだな
語学が堪能なのだなと
一人どうでもいいことを考えていた
奥に進んでも同じような光景が広がっている
こんなに読みきれないだろう
一体どんな人なのか興味がわいてきた
きっとインドア派なのだろう
「私がパチュリー・ノーレッジよ」
予想通りのスーパーインドア派でした
なんて重そうな服だ
そんな服で運動なんて死んでしまう
これはあれだ
私のインドア愛を舐めるなよ…みたいな
そんなやつだきっと
「僕が例の外来人の複井 成太といいます
変な事をお聞きしますがインドア派ですか?」
「無論インドアよ、アウトドアはよくわからない」
まぁそうでしょうね
自己紹介の時例の外来人を最近よく言う
こう広まっているからこの自己紹介で結構わかってもらえる
しかし例の....と言うのはあれを思い出す
例のあの人
主人公の両親を殺し赤ん坊の主人公を殺そうとしたが
殺せず結局逃げられてしまいその後幾度となく攻撃した魔法使い
いや、もう止めよう
そんな悪くないし
普通の人間だし
なにより幻想郷でこのネタ通じないから
「まずお礼を言わないといけないわね、ありがとう」
「何かしました?」
初対面だし何もしていないはずだが
お使いや頼まれごとをされた記憶もない
勘違いしていると思う
「フランいえフランドールの狂気を止めてくれた事よ」
「あぁ、その事ですか」
全て壊してしまう狂気の妹
その妹をなんとか正気にしようとした姉
しかしこれは姉妹の問題ではなく
この館の問題だったのだろう
その問題を解決させたわけだけど
そんな大層な事をしたわけではないと思っている
普通に能力で戦って
普通に弾幕ごっこして
普通に能力で狂気をかき消した
それだけだ
なによりあの時は自分の身を守るほうが大事だと思っていた
多分勝てないとわかっていたら逃げていたと思う
運が良かったというのか周りの人達の能力が良かったというのか
それだけの話なのだ
「自分にできる事をした、ただそれだけです」
「あの子はずっと幽閉されていた、地下で495年間もの間
一人だった....でもレミィも鬼じゃないの、いつもフランを
気にかけていた。何もできない自分が恨めしくもあり
妹が地下で一人なのに何もできない自分が嫌いだったようね」
「ただそんな問題を解決した?これは紅魔館の抱えていた
もっとも大きな問題でもあったの
あなたはフランだけを救ったと思っていると思うけど
私も、咲夜も、美鈴も、そしてなにより
当主であるレミリア・スカーレットが一番救われたの」
「だから捻くれ者の当主の代わりに改めてお礼を言わせてもらうわ、ありがとう」
パチュリーは言い終わると軽く咳をし始めた
慌てて駆け込む小悪魔さん
背中をさすりながらこちらを見て
「パチュリー様は喘息もちなので」
それは大変だな
喘息なんて外で遊べないではないか
あでもインドア派の人か
でもこれは結構きついぞ
外で遊べないのではもやしになってしまう
部屋の中で日の光だけで育つのがもやし
それだけは避けましょう
軽い室内運動をお勧めします
そうか....そうは考えなかったな
俺はフランを救ったと思っていた
だけど違ったのか
フラン達紅魔館を救ったのか
そう言われると感慨深いな
自分のやった事がどれだけ人のためになっていたか
改めて思い知った
でも.....
「いえ、普通にしたまでです」
「あくまでもそう言い張るつもりね」
「では救ってやりましたと言って欲しんですか」
「一と十しかないようね、間の五っていう数字を知らないの?」
「ならこう言っておきましょう、当然の事をしたまでです」
「3くらいね」
どう言って欲しいのかわからないぜ
全くあなたも相当捻くれ者だよ
さてと有意義な時間が過ごせたな
いつの間にか二日酔いも治っているし
今日は午後からなにをしようかな
「ではパチュリーさん、軽い運動をお勧めしますよ」
「運動きらいなの」
インドアの暗いイメージ
アウトドアのテンション
これは分かり合えないのだろう
感想の件については大変申し訳ないと思っています
今後はしっかり方法を覚えていきたい所存です