それだけです
「話をしよう....今から数日前、いや一ヶ月前だろうか?
まぁいい、俺にとっては最近の出来事なのだが
今見ている人達もきっと同じだ、時は平等だから
俺には名前が一つしかない、そうですよ
何て呼べばいいのか明白である
だからみんなこう呼ぶのだよ、成太と
突然だが俺はハマってしまったんだ
マイ◯ラに....」
「なにしてるの成太?」
「え?知らないの?エンジェル」
「わからない」
「エルシャ◯イ」
「うそうそ知ってるから....大丈夫だ、問題ない」
「そうだそれだ」
「早く行かないと遅れるよ?」
「そうだな」
複井 成太
至って普通の人間
地味
この言葉がよく似合う
反田 天使
成太一筋の男
ヤンデレ
まさか本当にいるとは
そして彼らの友人も交えた話
昔々のお話
其れほど昔ではないが
彼らにとって昔のお話
彼らの中の罪は消えず
それはいつまでも背負わなくてはいけない十字架
それぞれが別の十字架を背負い
別々の感情を抱く
ただそれだけの話
チャイムの音がする
先生が教卓の前に立つ
それを合図に日直の号令が響いた
「起立!気を付け!礼」
「「ありがとーございやしたー」」
てんでばらばらなので野球部みたいな挨拶になった
そしてそのまま席に着いた
んっー、と体を伸ばす
理科の授業は眠くなる
先生がなに言っているのかさっぱりわからん
伸び終えたところで反田 天使が席の近くに来た
「たくあのやろー俺ばっかり当てやがる」
「成太が授業中ボーっとしてるからだよ....」
「そう見えるだけで集中してるよ」
理科の先生に今日3回当てられた
恨みでもあるが如く不意に当ててきやがった
なにもしてないぞ俺は
そして5分にも渡り質問を繰り出してきた
計15分
50分授業だから4分の一は俺の時間だったわけだ
「あのやろー許さんぞ」
「でも成太ちゃんとこたえられたじゃん...」
「どんなもんだい」
「あれくらいでいい気になったあかんでー」
突如流暢な関西弁が割り込む
その男は典型的な癖毛
ヨレヨレに着こなした制服
「なんだおまえか」
「全く誰やとおもったんや、このクラスで
関西弁喋るのわいだけやのに....忘れたのなら言っておく
わいは益坂 笑気(ますざか しょうき)や」
「いや、しってるよ....」
「何故改めてフルネーム」
二人して総ツッコミ
いつも通りの益坂だ
明るくクラスのムードメーカー
関東人がイメージする
流暢な関西弁とお笑い好き
そして粉物好きの関西人である
こいつの家のたこ焼き機を見た時は少し感動した
関西人はほぼ持っているらしいと
「なんや二人今日は暇かいな?遊ぼう思ったんやけど」
「いいよ別に」
「構わないよビリケン....」
「そうか!なら行こうか!大阪」
「なんでやねん」
思わずつっこむ俺
そのつっこむをうけ大笑いの笑気
二人を見て微笑む天使
いつも通りだ
この3人は仲が良い
でも仲が良い以上に特別な関係なのだ
みんな同じ境遇で出会ったからだ
そして過去を共有し合う様になる仲
お互いがお互いに傷つけあい
そして和解する
全て丸く収まったのか?
それは誰にもわからない
「お好み焼き食べたくなったわ」
「そうか、しらない」
「つれんなーノーマル」
「うるさいビリケン」
「エンジェルはどうや?」
「お好み焼きってなに....?」
「ってそこからかい!」
普通の下校風景
みんな共通して歩きだったのを知ったのはつい最近
2年からだった
そもそも高校で出会った三人組のため
友達の日としても浅かった
俺らにはそれぞれあだ名がある
普通だからノーマル
天使だからエンジェル
大阪だからビリケン
こんな感じだ
それぞれ自然とついたあだ名であり
自然と定着したものでもある
「てかどこでなにするんや?」
「決めてなかったのかよ」
「なんやわいが悪いみたいになってるやん」
「言い出しっぺが....決めるべき」
「エンジェル酷いよー」
そして始まる嘘泣き
良くも悪くも感情豊か
「なにするんや?今日」
「することないなら.....ゲーセン」
「お!それええな」
「決まりだな」
そうして一旦別れた
家に戻りパパッと私服に着替え
適当に金を財布に詰め込み
待ち合わせの公園に急いだ
公園に着くと二人ともいた
「遅いでノーマル」
「悪かったな」
そしてゲーセンへと足を運んだ
このゲーセンは昔からあるゲーセンで小さいときも来ていた
最近の台などはあまりないが昔からある慣れ親しんだ台などが
置いてありお気に入りの場所でもある
「なにするんや?みんな」
「クレーン....」
「格ゲー」
「そうか、ならわいも格ゲーする」
「僕を見捨てるんですか....」
「すまんすまん、そっちも見に行くさかい」
「ならやってくる....」
そう言うと天使はユーフォーキャッチーがある所へ行ってしまった
さてと...
「今日こそボコボコにしてやるよ」
「それはこっちのセリフや!泣いてもしらんで!」
こうして俺らの戦争が始まった
「5勝5敗かいな」
「やるじゃないか」
「そっちもな」
1000円でこの結果
引き分けかよ、やられた
ハメ技使ってこれは痛い
今は台の近くの椅子に座る
一旦休憩だ
後ろに客も来ていたし譲らないとと思い一度切り上げた
しかし
中々終わらない
その人たちは今もやっている
かれこれ一時間分以上待ち続けている
「なんやえらいぎょーさん金もってるなあ」
「終わりそうにないなあ....並ぶか」
俺らは立ち上がり台でゲームをしている柄の悪そうな人たちの
後ろに並ぶ
そしてひたすら待った
しかし柄が悪いのは見た目だけではない
ゲームしながら飲酒したり叫び散らしたりと好き放題だ
周りも迷惑がっている
これはもう今日は出来ないな....なんて思った
実際ゲームが終わりまたお金を入れようとしている
一体何円使ってるんだよこいつら
なくなりそうにない
だから天使を呼んで帰ろうとした時
「あんたらしつこいで」
迂闊にも笑気はぴしゃりと言い放った
正義感だの義理には三人の仲で一番うるさい奴だ
はぁ、面倒だから止めてくれよ
「あ?なんだお前?調子に乗るなよ?」
高校生だった
よく見たら制服で隣の不良高校の人たちだとわかった
もっと面倒になったよ....
そこに天使が熊のぬいぐるみをもって俺の隣に来た
「なにこの人たち....?」
「察してくれ」
天使はあぁ、と察せたのか頷く
「俺らに喧嘩売る気か?」
「別にそうじゃない、あんたらに代わってほしいんや」
「俺らが気持ちよくやっているのに邪魔するのか?お前」
「わからん奴やな、代われって言ってるんや」
「お前....ちょっとこっちに来い」
そう言って俺らまで取り囲まれてた
五六人はいただろうか?
ともかくズルズルと引きずられた
それは近くのビルの路地裏だった
なるほど、ここなら人から見えないしボコボコに出来るわけか
「謝るなら今のうちだぞ?」
「そんな気毛頭ないわ、まぁお前には髪の毛ないけどな」
一瞬その不良は固まった
その不良はスキンヘッドに近い坊主だった
辺りに緊張が走った
「殺してやる!」
そう不良は言うと右ストレートを繰り出してきた
喧嘩に慣れているのだろう
かなり手馴れていた、だが
笑気はそれを難なく躱す
「なんやたいしたことないのう」
「!?、なんだと」
そう言って次は右足による蹴りを繰り出した
典型的な喧嘩のやり方
威力の高い方に変えたのだ
しかし蹴りは弱手を晒す
バランスが悪くなる
そう、片足立ちになるのだ
笑気は蹴りも難なく躱し
不良の左足に蹴りを入れる
正確には足で薙ぎ払った
どんっ!
バランスを崩し尻餅を着く不良
「なんやどうした?」
「もう頭にきたぞ!本当に殺してやる」
そう言ってナイフを懐からだした
そこまでやるのかよ
なんて軽く呆れた
無駄なのにな
こいつには攻撃が当たらないのに
「武器とは感心せんな、ならわいも武器を使うで」
「はい....これで」
そう言って天使が渡したのは熊のぬいぐるみだ
「サンキューエンジェル!お前の能力でフィニッシュや!」
熊のぬいぐるみを受け取った笑気は不良に向かい合う
不良は気が触れたんじゃないのか?と可哀想な目でこちらを見ていた
「お前ら、熊なめとんのちゃうか?熊は恐ろしいで!
こんな可愛い熊でも襲うさかい」
そう言って熊のぬいぐるみ片手に持ち言い放つ
不良はもう頭に来たようだ
「舐めるのもいい加減にしろぉ!」
そう言うとナイフを突き出した
笑気はあたかも突き出される場所がわかっていたか如く
華麗に躱して熊のぬいぐるみを思いっきり振り上げ
頭にぶつけた
「が!?....」
不良は小さな声を上げて
そのまま地面に倒れた
「へへ!どんなもんやい」
笑気は得意そうに頭を掻く
まったく大したものだ
こいつらは....
「お前ら!はよ伸びてるこいつ連れてどっかいけ!」
「え?あ、はい」
熊のぬいぐるみをに倒された
現状が理解できない不良達は笑気の言うことに大人しく従った
そして伸びてるスキンヘッドの不良を抱えて逃げるように去っていった
「さて、続きをやるかー」
「もう6時半や」
「嘘!門限ギリギリだ!急いで帰る!」
「じゃあ今日は解散で...」
「じゃあな、また明日」
「ほな、とんずらっと」
「バイバイ....」
こうしてそれぞれ家路に着いた
こんな日常が毎日続くと思っていたが
まさかこんなところに来るとはな
スマホの写真を見る
これはゲーセンで撮った写真
三人がただ笑っている写真
なんとなく撮ったのだがな
懐かしいな
「どうしたの成太?」
「思い出していたんだよ、色々」
「そうかい、僕との初デートの思い出をかい?」
全くこうどうして癖のある奴がこう集まるのか
さてと、午後は何しようかな?
これは0話ですので本編は進んでいません
これはちょくちょく挟むと思います