東方平々凡々録   作:さんま(北海道産)

21 / 32
今回初めて書いてみました
何をって?
僕の口からは言いにくいです


東方平々凡々録 20 「ただそれだけなんだよ」

「なぁ、霊夢....少し相談に乗ってくれ」

 

霧雨 魔理沙は隣に座っている博麗 霊夢に話しかけた

ここは博麗神社

本堂の縁側にすわる少女2人

巫女と魔法使い

東洋の神に仕える者

西洋の様々な術を扱う者

決して交わらないような2人が仲良くお茶を嗜んでいた

 

今口を開いた魔理沙は俯き、いつもより低い声だった

これはすこしおかしい

長年の付き合いである霊夢の直感である

このおてんば娘のこの元気のなさ

確かに魔理沙も人間だし落ち込んだりもしたりする

だが今回のこの落ち込み方はすこし引っかかる

あの霧の異変が終わった時からこんな感じだ

引きずりすぎだ

何があったのかはわからないが3、4日この調子

いつもなら切り替えて明るくなる頃なのに

よっぽど嫌なことがあったのか?

 

霊夢は黙ったまま自分の湯飲みに口をつける

お茶は少し温くなっていてあまり美味しくない

たが今はその味は気にならなかった

隣にいるこの魔法使いの様子だけが今気になっていた

 

「聞いてるのか霊夢?相談があるのだが?」

 

相談

なんてこの魔法使いには似合わない単語

いつも自分で考えて突っ込んでいくタイプなのに

今彼女が求めているのが他人の助言

それほど切羽詰まっているのだろうか?

 

「わかった、聞くわ」

 

「恩にきる」

 

そう言って魔理沙は一気にお茶を飲み干した

そのまま彼女は飲み干した湯飲を両手で抱えながら

膝の上に置き霊夢の方に顔を向かせた

何処と無く苦しそうな顔をしている

まるで大切な何かを失くしてしまったような顔だ

 

「実は最近もやっとした気持ちが渦巻いていてな」

 

もやっとした気持ち?

そんな事で魔理沙が沈んでいるとは思わなかった

大体そんな暗い気持ちくらい

魔理沙はならいつも吹き飛ばしていたはずだろう

なぜ、そのもやっとした気持ちは引きずるのだろうか

霊夢にはわからなかった

今の魔理沙を理解できないでいた

 

「なんか表現しにくいんだけど兎に角もやもやっとしていてな」

 

「あと最近胸が苦しくなるんだ」

 

胸が苦しくなる.....か

何かの病気ではないのか?

そう考えた霊夢だったが今目の前の魔理沙は一見元気そうだし

なによりこの元気の塊みたいな魔理沙が何かの病にかかるのは考えられなかった

風邪をひいている姿すら見た事ないのに

病気ではないとすればなんなのであろうか?

考えても考えても答えは浮かばない

これでは相談相手としていい助言が出来ないな

そう内心思った

 

「それは重症ね、何か思い当たる節は?」

 

「いや、特にないぜ」

 

魔理沙は言いながら自分の湯飲みに急須でお茶を入れる

急須のお茶はまだ熱かったのか湯気が湯飲みから立ち込める

そんな魔理沙は少し顔が赤かった

風邪だろうか?いや、元気そうだ

何故赤いのか?それが霊夢にとって理解できないでいた

 

そんな時一人の男の声が聞こえた

その男はここまでの階段で疲れたのだろう

かなり肩で息をしていた

声が途切れ途切れなので何を言っているのかは聞き取れなかった

でもおはようだのこんにちはだのそこら辺の挨拶なのだろうとはわかった

その男は自分の声に反応がない私達を見てもう一度

大きな声でいった

 

「おはよう、二人とも」

 

「おはよう、成太」

 

可でもなければ不でもない

なんとも表現しづらい顔のこの男

複井 成太

この幻想郷に来てはや2週間

なんの苦労もなくこの幻想郷に適応した外来人

能力を隠し普通の人間として生きていこうとした人間

そして博麗霊夢にとって一応命の恩人なのだ

 

成太はゆっくりとこちらの縁側に歩いてくる

よっほど疲れたのだろう、額に汗が滲んでいる

服も少し濡れていた

今は夏だからか

なんて思いながら横の魔理沙を見た

ボーっと一点を見つめ腑抜けていた

まるで魂を抜かれたようにただ一点を見つめていた

こんな魔理沙を見るのは初めてだ

成太は賽銭箱の近くまで来ると二人の顔を見て笑った

 

「なんか暗くないか?二人とも」

 

「タイミングが悪いのよ、あんた」

 

こんな時に来るとは中々空気の読めない男ね

それにこの空気の中良くそんな笑顔ができるわね

横で魔理沙と重々しい話をしているのに

なんて文句が頭を渦める

成太は一瞬魔理沙の方に顔を向けた

その時に魔理沙の異変を感じ取ったのだろう

気の抜けた顔から少し引き締まった顔になった

 

「どうした?魔理沙?」

 

「な...なんでもないぜ」

 

魔理沙は俯きながら一言一言噛みしめるように言った

魔理沙の顔を覗き込むと俯いていたためわからなかったが

さっきよりもかなり顔が赤くなっていた

ここに来て謎の病のようなものが進行したのか?

成太もいつもの魔理沙と違う事に戸惑いを感じているようだ

魔理沙を心配目で見つめる

 

「霊夢、魔理沙はどうしたんだ?」

 

「事情を話せば長くなるけどいい?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

そうして魔理沙の事情を説明した

モヤっとした気持ちとか

胸が苦しいとか

ありのままに話していた内容をすべて話した

そして自分の勝手な憶測も挟み、全て説明し終えた後

成太の返事を待った

成太は少し考える素振りを見せながら黙った

本人なりに考えているようだ

横の魔理沙は依然と固まっている

さっきよりは顔の火照りは幾分かマシではあるが

ガチガチのため妙に挙動不振だ

 

「すまん、わからない」

 

成太は申し訳なさそうに呟いた

期待はしていなかった為別にそこまでガッカリはしなかった

もし....という少しの期待はしていたが

そもそも病気とかに詳しそうでもないし

 

さて、じゃあこの病気の様なものはなんなのか?

成太と今一度頭を捻ってみる

しかし結果は変わらず

5分という時間を無駄にしただけであった

押し黙る三人

どうすればいいのかわからなかった

 

しかし少し引っかかる事がある

先ほどから魔理沙が少し成太を意識している

意識しているなんていい方は伝わりにくいが

よく成太を数秒見てはまた俯く

それを何回か繰り返している

明らかに挙動不振だ

何か成太についているのだろうか?

自分で確認する

頭から足まで見てみるが特に何もついてない

では何故見ているのか?

その疑問が霊夢の中で湧き出た

 

「さっきから成太をチラ見するけどどうしたの?」

 

魔理沙に向かって言う

魔理沙は押し黙ったまま顔を更に赤くする

これは聞いてはいけない質問だったのだろうか?

そう思いながら急須を手に取り湯飲みに傾けた

....お茶が出ない、なくなったのか

仕方ない、入れてくるか...

急須を手に取りゆっくりと立ち上がる

二人は立ち上がる霊夢を見ずに黙っている

 

「私、お茶入れてくる」

 

そう言って本堂の和室に足を進めた

 

 

水を沸騰させ茶っぱを入れる

そして暫く待ちそれを急須に入れた

熱々の急須を危なっかしげに持ちながら

二人のいる縁側に足を進めた

 

 

「お待たせ....?」

 

そこに二人はいたが先ほどとは違う光景があった

成太まで顔が赤かったのだ

賽銭箱に体重を乗せ浅く座っている様な姿勢で

顔を少し下に向け頬あたりがピンクがかっていた

魔理沙の病の様なものがうつったのか?

そう思ってしまった

肝心の魔理沙は上機嫌であった

先ほどのあの暗い雰囲気はどこえやら

ニコニコしながら湯飲みを膝の上で回転させている

うってかわって対照的である

一体お茶を入れている短い間に何があったのだろう

霊夢は困惑した

すると成太が立ち上がりいつもより高い声で

 

「今日は帰るよ、じゃあ」

 

と急に帰宅宣言だった

ここに来て30分も経っていないであろう

何もしてないしそもそも何故来たのかさえわからなかった

 

「そうか、じゃあな成太....また明日な」

 

上機嫌の魔理沙は縁側から立ち上がり大きな声で言った

その希望に満ち溢れた眼はどこか眩しささえも覚えた

全くこのおてんば娘は.....他人を心配させて

これだけ元気なら大丈夫だろう

そう霊夢は確信した

実際今も笑顔で成太に手を振っている

成太は逃げる様に離れていった

そしてそのまますぐに見えなくなった

 

「元気じゃない.....全く人を心配させて」

 

「へへ、すまない霊夢。でも私はもう大丈夫だ」

 

そう言って縁側から立ち上がりこちらに向き直り

自分の胸をどんと叩いた

知ってるわよそんなの、元気な事くらい見ていれば分かる

しかし一体何が原因だったのであろう?

深まる謎が霊夢の頭で飛び交う

でも何はともあれ元気になって良かったか

そう今の親友の姿に安堵した

 

「私にチャンスがあるっていう事がわかったんだよ霊夢」

 

「このチャンスは必ず掴んで見せる、そう思っていたら急に楽になってきて、元気になったんだよ」

 

「ただそれだけなんだよ」

 

何を言っているのかさっぱりだったが

今の魔理沙の笑顔は輝いていた

本人が満足なら何だっていいか

そう割り切りお茶を飲む霊夢

 

「成太...」

 

そう小さく呟く魔理沙は一段と笑顔であった

 

 




......以上です
初めてなのですいません難くなりましたごめんなさい

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。