時は成太が神社に行った同時刻
真っ赤な紅魔館のとある一室
今は成太の部屋となっているその部屋で
一人の男がベッドで眠っていた
彼はもう朝だというのにまだ寝息を立て夢の中にいた
このまま起きる気はなく夕方まで眠ってしまいそうなほど深い眠りだった
なぜ彼はこの朝までぐっすりと眠っているのか?
ただの寝坊などではないが何か睡眠薬を飲まされたなんて野暮なことではない
単純に寝不足なのだ
昨日の夜突如成太の顔が見たくなった
部屋にあるソファで横になって寝ていた彼は目を覚ました
そんなふと思いついた考えに体が抑えられなくなった
衝動的に駆られ横でベッドで寝ている彼の元に歩み寄った
掛け布団を胸あたりまでしっかり掛け呼吸により規則正しく上下している
安らかに眠る彼の寝顔に心奪われ見とれていた
まるで全身氷付けにされたように、固まっていた
そうしていると月はだんだんと見えなくなり次第に日が昇り始めた
朝日が地平線から顔を出す時には眠気を覚え始めた
うつらうつらと頭を垂れ始めた
朝日が完全に昇り切り雲ひとつない快晴の空
時間的には午前7時ほどだろう
寝ていた成太が眠そうな眼をこすりながらゆっくりとベッドから起き上がる
起き上がり顔をゆっくりと動かしこちらを見てきた
半目で髪も少し寝癖でところどころ暴れている
「おはよう・・・」
「あぁ、おはよう」
彼は稀に寝起きで機嫌が悪い時もあるのだ
少し怒っているようにも聞こえるが
自分にとってはこれもこれで彼の魅力なのだから
彼はそのまま布団をはがしベッドから立ち上がり
だるそうに部屋のドアに向かって足を進めた
ドアの前で一度止まり顔だけをこちらに向け言った
「じゃあ飯食ってくる」
「いってらっしゃい」
そんな彼を笑顔で送る
彼は僕の返事を聞くと前に向き直り
無表情のままドアノブを握り押して部屋から出て行った
ガチャリ と戸が閉じ一人取り残されてしまった
そんな時に眠気がまた襲った
さっきはなんとか耐えたが今回は無理そうだ
少し仮眠をしよう
そうして彼がさっきまで横になっていたベッドで仰向けに横になる
そうすると目の前がだんだんとぼやけてきた
見えている天井の模様が縦横無尽に動き始める
なんだろうあれ?みたことあるな
なんて考えに走っていたら気づいた頃には眠っていた
少年睡眠中
「・・・て!・・・・の?」
誰かが呼びかけていた
まだ頭がぼーっとするので誰の声なのかもわからない
たぶん成太だろうな
なんて勝手な憶測をした
ぼくは眠いんだ、そっとしておいてほしい、
二度寝をしようと目を閉じようとした
しかし声は止まなかった
「・・きて!・・・なの!?」
さっきよりもかなり大きい声だ
いや、自分の意識がはっきりとしてきただけなのだろう
兎に角声の主にすこしイライラしてきた
なぜこうにも起こそうとしてくるのか?
成太でもこれにはすこしカチンとくる
僕は体を丸めて狸寝入りをした
そんな僕を見かねてか次は体を揺らし始めた
腕を持ち左右に揺らしながら
「おきてよ!あなた誰なの?」
と言ってきた
そして冷静に考えこの状況に冷や汗が出た
まず手だがかなり小さい
高校生ではないのは事実
次に声
声は高く子供の声に聞こえた
発言の内容からして僕のことをしらない人
僕をしっている成太が言うはずはない内容だ
この以下の点から推測するにこの館の人間だ
吸血鬼は朝眠っているはずでは?
いや、メイドかもしれない・・・いやいや
これがあのメイドなはずがない、彼女の気配ではない
見られている以上狸寝入りの意味もない
そう考えおきることにした
ベッドから跳ね起きると声を掛けてきた方を見る
その姿、館の主の吸血鬼の妹 フランだった
本能が警報を鳴らした
頭が現状を突破する最善策を模索し始めた
彼女は突如動き始めた僕を見て戸惑っているように見える
「誰・・なの・・?」
吸血鬼は警戒の気を緩めず真っ直ぐこちらを見つめる
その目から畏敬の念が伝わってくる
「もう一度聞くよ・・・誰?」
ただこちらだけを見て冷たい声で言い放つ
その顔はだんだんと険しくなってくる
ここは刺激しないほうがいい
逃げてもいい しかし今の彼女が何をしでかすかわからない
ありとあらゆるものを破壊する程度の能力 危険だ、危険過ぎる
ここは穏便にかつ粛々とお話を進めなければならない
「僕は天使、反田 天使だ」
「反田・・・天使?」
いっそうに警戒心を解かない
まぁそれもそうだよね
正体不明の男が目の前にいるからね
「僕は複井 成太の友達なんだよ」
「成太の・・・友達」
幾分か張り詰めた空気がマシになった気がする
成太には感謝しないといけないね
でもこんな状況になったのも成太のせいだから
「何故ここにいるの?」
ようやく本題に入ったようだ
これから安易にこちらの情報を漏らすわけにはいかない
かといって変に怪しまれてはいけない
このバランスを大事にせねば
「成太と遊ぼうと思ってここにきたんだよ」
「天使ってあの・・・へ~、貴方が天使かぁ」
知っているような口ぶり
確かに一度見られているが顔ではなく
名前を知っている様な口ぶりだ
「意外と普通の人だね」
一体どんな人間をイメージしていたのか
彼女はこちらを覗き込むようにして見てくる
あの新聞にも名前は言っていないはずだ
なぜ名前を知っているのか
僕の頭にはその疑問しかなかった
僕は意を決しておそるおそる聞いてみることにした
「君は僕の名前を知っているように見えたけど、そうかい?」
「うん、成太お兄様から聞いたの」
なるほど、だから知っているのか
実際この人たちには一度見られているので致し方ないか
彼があのまま説明せずに黙っていられた・・・なんてことはないだろう
別に名前くらいなら知られてもなんら問題はない
しかし能力や僕の秘密まで喋ったわけはないだろう
と信じたい、まぁ彼はそうゆうとこはしっかりしているし大丈夫か
「ねぇ、成太お兄様の友達ならお兄様の事を教えてよ」
「え?彼の事か?・・・しっているはずじゃぁ」
「私はもっと知りたいの!だから」
さっきまでの警戒ムードはどこえやら
ある程度自己紹介はしたとはいえここまで気を許されるとは
彼の事を詳しく教えてほしいか・・・。
どういえばいいのだろうか
実際彼とは高校からの友達なので付き合いとしては約2年
長いのか短いのかわからないかなり中途半端な間柄だ
でも僕にはその時間は関係ない
彼と僕と・・・それはどれだけ長い時間かけても絶対できない
特別な関係になったからだ
まぁ、ここら辺は話さずに適当に話しておけばいいか
「何が聞きたい?」
「お兄様の好きな物とかかな」
彼の好きなもの
はてはてなんだろうな
そういえばあいつが好きなものってなんだ?
マイ○ラか?多分これが近いか
彼はかなり趣味が多い
自分の趣味を遊ぶ人に合わせている
こんな器用な生き方ができるのはすごいことだ
しかし逆に彼は周りを巻き込もうとしない
自分の考えや主張を押し付けずによくいる
周りに流されて、溶け込んでいる
そんな彼の大好きなものを今一度思い出してみる
いや、あるはずがないか、そうだな
ともかく僕らとはよくゲームをしていた印象があったので
「ゲームが好きだよ、彼は」
そう答えた
彼女は少し考える様に下を向いた
何を考えているのだろうか?
無垢で無邪気なその顔の裏で何を考えているのか
まったく見当もつかなかった
「じゃあ弾幕ごっこも好きかな」
「さぁ?どうかな」
あれはどうなんだろう
僕が思うに彼はあのゲームをやるべきではないように思う
彼がまた昔のように戻るのが怖い自分がいる
・・・いや考えすぎだ、所詮ごっこだ
本人が好きなら思いっきりやらせてもいいと思う
彼の幸せは僕の幸せだから
そう自分に言い聞かせた
「ところで君は何故彼の部屋に?吸血鬼は朝は寝るんじゃなかったっけ?」
これは少々疑問に思っていた
本来ならば寝ている時間だろうに
この部屋を訪れるっということは少なからず用があったわけだ
彼女は少々頬を赤くさせ照れくさそうにしていた
やっぱり中身は子供だなと感じた
照れくさそうにしているっということはここにくることに
すこしの恥じらいを感じているわけだ
理由は多分 会いたかった、とか 一緒にいたい、とか単純かつ複雑な
理由と言えないような理由だ
勝手な憶測だが結構自信がある
「ところでお兄様は?」
「いないよ、どこに行ったのかもわからない」
えーっと残念な声を漏らす吸血鬼
知らないよ僕にも、彼がどこに行ったかなど
寝ていたからね
彼女はがっくり肩を落としドアに向かって歩き出した
どうやら部屋にもどるようだ
ドアの前まで来たときふと立ち止まった
ドアノブを握ろうとする様子もない
なぜかドアの前で固まっていた
「ねぇ天使」
彼女は急に声を発した
先ほどまでと違い落着いた声だ
その変わりように少し違和感を覚えた
なんだ急に・・・、
「何かな?」
表面上は冷静に返す
だが内心すこし恐怖していた
次、彼女は一体何を言うのか
ありとあらゆる物を破壊する程度の能力
殺すなどといわれればお終いだ
だが以外にもシンプルかつ普通のことだった
「ゲーム好き?好きなら弾幕ごっこやろ?」
彼女は笑顔でこちらに体を向け言った
その笑顔は純粋でありながら何か恐怖を沸き起こさせるような
そんな笑顔だった
かなりの手慣れだ、苦戦は必須
だがまだ試していないスペカもある
ここで存分に発揮してみるか
「好きですよゲームは・・・特に弾幕ごっこはね」
お気に入りありがとうございます
今後も精進していく所存でございますのでよろしくお願いします