東方平々凡々録   作:さんま(北海道産)

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動き出す陰謀
異変側から書いてみたいと思いこうなりました......


第2章 サクラサクラ
東方平々凡々録 25 「異変の一角として敵となる」


ひんやりとした空気が張り詰める

延々と続く先の見えない階段を上り続ける

辺りは薄暗く白い何かがその中を飛び回る

ここが冥界

思っていた通りでもあり、ある意味予想を裏切られた

階段は予想外だよちくしょう

冥界にも階段があるのかよ

文句をブツブツ垂れながら一段一段登っていく

 

 

 

「早速挨拶に行ってもらいましょうか」

 

そう言って紫さんは空間を割った

本当に自分でもこうゆう表現しかできない

紙がはさみに切られたようにばっさりと

割れた中を凝視するとなにか目のようなものがぎょろぎょろと動いている

正直見ていて気持ちのいいものではない

 

「これが私の能力・・・この先は冥界に繋がっているわ」

 

「この中に入れと・・・」

 

そうよっと言わんばかりに力強く頷く

・・・仕方ない、覚悟を決めよう

そのスキマへと足を進める

近くで見ると目はかなりある

一つの目と目が合う、う・・気まずい

あわてて目を背ける

 

「真っ直ぐ進むだけでいいから道には迷わない、安心して」

 

その心配はしてないんですが・・・・

あの目玉はなんですか?本当に何?

目玉におびえながらそのスキマに入った

びっしり一面の目玉に見られるのはいいものではない

 

しかしこう着くといきなり階段ですか

先の見えない階段に自然と顔が強張った

 

 

 

そうして今に至る

こう上っているわけだがそろそろ足が限界だぞ

これが足が棒になるというやつか

博麗神社の階段に鍛えられているはずだが・・・。

そんな時うっすらと人の気配を感じた

まさか・・・そう思い階段を早足に上る

気配はそうして人影になった

だんだんとくっきりとしてくる

ショートカットであろう

腰の横には刀のような長い物が着いていた

あちらもこちらに気づいているようだ

いや、最初から気づいているみたいだ、始終こちらに顔を向けている

鋭い眼差しは明らかに良い感情を抱いていない

張り詰める空気

彼女の頭に着いているリボンが彼女の雰囲気とマッチしていなかった

 

「ここは冥界です、生者は早々に引き取りを.....

警告を無視するならば斬ります」

 

彼女はこちらを見て冷たく言い放つ

駄目だ、敵に見られている

これは誤解を解かなければ

彼女に少しずつ近づく様に階段を登った

刺激しない様に撫でる様な声で言った

 

「まぁ落ち着いて、俺は侵入者とか「問答無用!」

 

刹那抜刀して斬りつけてきた

彼女の腰には二本の刀があり短い短刀と日本刀であろう長刀

その内の短刀を抜いてこちらに襲いかかった

どうやら俺は良く刀で斬りつけられる星に生まれた様だ

まさか17年生きて刀で斬りつけられる経験を持つのも俺くらいだろう

彼女の抜刀からのスピードは極めて早く素人ではないのは明白だ

そしてこの距離の短さも相まり一般人なら躱すことは不可能だろう

その早さには感嘆の声を出さずにはいられないだろう

 

「よっと」

 

そんな振り下ろされた刀を紙一重で躱す

刀は石の階段にそのまま振り下ろされ小気味のいい音を響かせた

危ない危ない、殺される所だった

紫さんのこの妖怪としての身体能力がなければ死んでいたな

彼女の方に目をやるとかなり驚いている様に見える

目を見開いてこちらを見ている

今の攻撃に反応できた事に驚愕しているのだろうか?

 

「なんていう妖力....貴方は何者?」

 

どうやら別の何かに驚いている様だ

妖力?初めて聞く単語だ

聞けば大体把握できそうな感じであるが....

推測だが妖怪の何かしらの力であるのが個人的な見解だが

となると紫さんはかなりの妖怪という事になる

それは以前から知っている事だけど

 

「俺は複井 成太と言います、今回異変を起こす西行寺さんへの

加勢として紫さんから派遣されました」

 

そういうないなや彼女は顔を赤くし始めた

その顔のまま自然体となり刀を鞘に収めた

うつむき申し訳なさそうに

 

「えっと....その...すいません」

 

そう言った

そして彼女は無言のまま案内をしてくれた

 

 

階段をひたすら上り着いた先は大きなお屋敷だった

どこぞの武家屋敷を彷彿とさせる様な造りの屋敷である

玄関の圧倒的な広さには驚いた

これ元の俺の家の居間より広いのではないか

この屋敷に住む人は一体どんな人なのか?

怖い様である意味楽しみだった

そのまま剣士さんの後ろについていく

さっきから黙ったままで何も話さない

この屋敷の人間ならば今後を共にする仲でもある

知らない人と動くのは御免だ

ここらでしっかりこちらの自己紹介でもしておくか

相変わらずこちらを振り向きもせず歩く彼女に

 

「えっと、改めて自己紹介しますね、 俺は複井 成太といいます

妖力とか言ってましだが俺は人間です、」

 

そう言った途端彼女は振り返りこちらに詰め寄った

その形相と勢いに少し後ずさりした

顔が近いですよ、落ち着いてと言いながら少し離れる

 

「あれだけの妖力がありながら人間じゃない?並みの妖力ではないはず......一体何者?」

 

まるで未知の生物を見ている様に興味深そうに

そして畏敬の念に駆られながら凝視される

やれやれ、同じ人間という生き物の筈だが....

なんて思いながら頭を掻く

彼女は依然こちらから目を離さない

能力やらそこらの説明は後でいいか

ここの主、西行寺 幽々子にも話さなくてはならないから.....

 

「それはこの屋敷の主に会ってから話します、案内をお願いします」

 

彼女は小さく頷くと踵を返して歩き続ける

一定の距離を保ちながらついて行く

左手に大きな中庭があり白い石の様で辺りが覆われていた

京都の竜安寺の石庭の様な人の心を落ち着かせる美しさだ

庭を見ながら歩いていたので彼女が止まったことに気づかなかった

そのままぶつかった、ぶつかったといっても軽く接触した程度だ

すまない、と言いつつ止まった所を見回す

障子で仕切られた一つの部屋

どうやらここが西行寺さんのいる部屋の様だ

 

 

 

「私がこの白玉楼の主の西行寺幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)」

 

扇子を自分に仰ぎながら涼しい声で言う

これが冥界を統べる者であり紫さんと対等に話せる友

なんて言うか類は共を呼ぶというか

確かに紫さんとは気が合いそうなゆるい感じの人だ

こちらを見て微笑む彼女の顔は紫さんに似ている

そして何を考えているのか分からないのも似ている

敵になれば厄介だが味方になれば心強いのも確かだ

正確にはこちらが味方しているのだが

 

「俺が派遣された複井 成太です」

 

派遣を連呼するのも止めるか

自分(?)の意思で来たからな

こうして面と向き合っている訳だが落ち着かない

会った時から気になっていたのだが剣士の後ろに何かがいる

雲の様にフワフワ浮いている半透明の、生物とも言えないその何か

あれがさっきから気になって仕方ない

 

「そんなに堅くならずに、リラックスしていいから」

 

「ありがとう....ございます」

 

剣士さんは固まった様に2人から少し離れて立っている

下手な真似をすれば斬るぞと言わんばかりにこちらを見る

その威圧を尻目に飄々とした顔で扇子の風に当たる

本当に雰囲気がそっくりだ

 

「今回の異変ですが.....何をされるのですか?」

 

「春を集めるの、そして桜を咲かせる」

 

「すいません、わかりやすくお願いします」

 

今の説明ではまだ外の常識が抜けきっていない俺には理解ができなかった

春を集める?春の何を集めるのだろうか?

それか春そのものを集めるのか?

そして桜を咲かせる?確かに幻想郷にも桜の木があった

冬が過ぎれば桜が咲くのだろうが......今は冬だ

最近まで蝉の声が聞こえていたと思ったが気づけば鈴虫

そうして何も聞こえなくなった、本当に時間が過ぎるのが早いな

 

「簡単に言えば春を奪ってしまうの、春は来なくなる」

 

「その準備はこちらでしておくけど、貴方にも手伝ってもらうわ」

 

「そうですか....」

 

どうやら今は俺も頑張らなければいけない様だ

春そのものを奪う

春が来なくなる

そんなことが俺にできるか

想像がつかないがいずれわかるか.....

そう思いながら立ち上がる

そろそろお暇しなければいけないな

最後に自分の能力や計画について話し合った

 

 

「お邪魔しました、では異変の日は宜しくお願いします」

 

「紫を通じてそちらに情報は送るからその通りにお願いね

こちらこそ期待しているわよ」

 

「妖夢、お見送りをお願い」

 

かしこまりましたと小さく合点し俺を階段まで案内してくれた

帰りは俺が複製した能力で帰れるが.....

先ほど彼女の名前を初めて聞いた

妖夢か、なるほど

 

「では宜しくお願いしますね、魂魄妖夢さん」

 

「はい、こちらこそお願いします」

 

律儀にお辞儀をしてもらった、いい人だ

後ろを向き能力を発動させその場から立ち去った

 

 

 

 

 

「しかしもう5月だぜ?冬が長すぎではないか?」

 

「そうね、これは異変ね」

 

季節は5月

本来なら青々と生い茂る草木が目に入るはずが

一面雪景色だ、木もまだ雪化粧をしている

確かに冬を奪ってしまった

博麗神社で魔法使いと巫女が話し合っている

一応前の異変に関わったので今回も来るだろう

それを逆手に取る

 

「予定通り行くよ、天使」

 

「わかっているよ」

 

 

あちらの2人に聞こえないよう言う

暫く話し合っていた2人は会話を止め

霊夢が鳥居にもたれていた俺の方へと歩いてきた

 

「成太、今日来てもらった理由はわかっているわよね」

 

「わかっているよ、異変解決に協力して欲しいのだろう?」

 

「話が早くて助かる」

 

「無論同行させてもらうぜ」

 

同行はするが協力はしないぜ

俺の目的は異変解決の妨害

お二人には悪いがこちらのシナリオ通り

 

 

異変の一角として......敵となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から霊夢や魔理沙sideも挟みます
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