申し訳ない
「はぁ....はぁ....」
おかしい
博麗霊夢はこの状況に戸惑いを隠せないでいた
弾幕を避けたと思った刹那
あたかも瞬間移動した様に弾幕が目の前に現れる
この不可思議な現象のせいで躱すのにかなり体力を使った
まずい、このままでは....
内心の焦りを落ち付けようと氷の妖精に目をやる
手を腰に当てこちらを見ている
そのドヤ顔には少々の怒りを覚えた
「博麗の巫女!どうだ、参ったか!」
先ほどとおなじようなは台詞を吐いた
それはもう何回も聞いた
そして答えは同じだ
「参った?まさか、このくらいで参るわけないじゃない」
「強がりを」
冬の妖怪が横目でこちらを見ながら言った
早く諦めなと言わんばかりの目だ
「妖怪!お前の相手は私だ!」
魔理沙はそう叫びながら弾幕を放つ
魔理沙らしいパワーで押し通す弾幕だ
弾幕は一直線に妖怪目掛けて飛んでいる
しかし妖怪は弾幕の間をぬう様に避ける
しっかり当てなさいよ
なんて内心毒付いたが、彼女なりの理由があった
「これでどうだ!マスタースパーク!」
魔理沙お得意のスペカ、マスタースパーク
魔理沙愛用の八卦六から繰り出される極太レーザー
弾幕の早さも極まって中々厄介なスペカだ
「なっ!」
これには予想外だろう
なす術もなくマスタースパークに飲まれた
そしてついでに
「嘘!」
直線上にいたチルノも飲まれた
ピチューンピチューン
二つの被弾音があたりに響いた
「へへ、どうだ成太!私のマスタースパーク」
得意げに言う魔理沙は頭をかきながら照れ臭そうに言う
マスタースパーク
まさかあんなスペカを持っていたとは、侮れない
流石魔法使いと言うべきか
「へー、カッコいいな....」
実際魔理沙の必殺技みたいなものだろう
必殺技かぁ、憧れるな
霊夢はこちらのやり取りを遠目に見ている
早く行こうと気配が言っている
魔理沙も察したのかやれやれと言わんばかりに首を横に振った
「お疲れ様、魔理沙に霊夢」
ひとまず労っておいた
霊夢はこちらを一瞥しただけだが
魔理沙は嬉しそうに笑った
蔓延の笑みだ、ひまわりの様だ
今は冬何ですけど
さて、ここらで体力をかなり使ってもらえた
特に霊夢に
いい感じに計画が進み安心している
いや、次だ
次に全てがかかっている
そうだ、気を引き締めていこう
「じゃあ、行こうか」
そう3人に呼びかけた
暫く霊夢の勘を頼りに飛ぶ
顔を裂くように前から流れてくる雪が恨めしい
空を飛ぶのはこんなにも素晴らしい事なのに
そう飛んでいるとまた、四人の真上から
「弾幕来る!避けて」
霊夢が突如言い放つ
咄嗟に上を見ると弾幕が雨あられの様に降ってきた
なんとか躱す3人、俺も出来る限り躱す
弾幕は早いだけで数も少なくなんとか躱しきれた
魔理沙はキョロキョロあたりを見回し弾幕を放った人物を探す
霊夢はその場で動かず一点を見つめていた
咲夜さんはナイフを手に持ち警戒していた
かく言う俺は特に武器もない
故にキョロキョロしていた
「躱すか....あれを」
突然若い男の声が聞こえた
俺は直ぐに見つけられた
四人から少し離れたところにいる
黒のフードで顔を隠している顔はわからない
声から男であろうというのは唯一分かる
黒のローブに身を包み怪しげ雰囲気を醸し出している
ローブの男はこちらに少しずつ歩み寄る
実際浮いているため歩くというより近づくという表現が近い
「あなた...何者!」
咲夜さんはナイフを握りしめ大きな声で言った
男はそれを聞いたのかぴたっと止まり咲夜さんの方を見た
どんな表情をしているのかさえわからない
「倒す....成太」
そう言うと俺に向かって弾幕を放つ
不意打ちに近かったが距離もあったためなんとか躱す
早さ重視の弾幕のため躱すのが一苦労だ
「お前....一体誰だ?俺に何の恨みがある?」
「忘れたか?俺の事を」
一体誰だこいつ
そんな事を言われても覚えがない
男は以前こちらを見てくる
瞳は見えないが起こっているのだろう
「貴様に弟を殺された....弟を殺された!」
「あの時の....お前か!」
こんなところまで追ってくるとは予想外だ
敵討ちなんて江戸時代に既に廃れているんだよ
それをしっかり教えてやらねばならない
「霊夢、魔理沙、咲夜さん!ここは俺が引き受けます!
後で合流しますので先に行ってください!」
「でも.....そんな」
「これは俺の事なんだ!いいから早く」
霊夢はわかったのか小さく頷き踵を返す
咲夜さんも同じ様にこちらを見て頷いた
ただ魔理沙は心配そうに見ている
「でも、成太」
「任せろ魔理沙!負けないよ」
右の拳を魔理沙に突き出す
魔理沙はなお心配そうに見てくる
「魔理沙、成太が負けると思っているの?」
咲夜さんが後ろから諭す様に言う
魔理沙は咲夜さんの方に向き直り頷いた
「成太を信じているから私は勝つと思う、だからここは任せるの」
「......けど」
「私は成太を信じている、信頼している、だから託すの」
「......わかった、成太!負けるなよ!」
魔理沙は笑顔でこちらに向き手を振り大声で言った
咲夜さんも笑顔でこちらを見る
少し離れている霊夢も笑ってはいないが負けるなよっと言わんばかりの目をしていた
「任せろ.....必ず勝つ!」
ローブ男に突撃した
「中々いい演技だったろ?」
「いい感じに中二病臭かったよ.....でもそこもいい魅力」
ローブの男....いや、天使はそう言った
中二臭かったか.....やや恥ずかしかったが
そう言いながら俯く
「はい、これでしょ?」
天使はそう言いながら着ていた黒いローブを脱いで差し出した
俺は黒いローブを両手で受け取ると、その場で広げた
全く近くで見れば本当に真っ黒だ、紅一点ならぬ黒一点だ
そんなセンスの欠片もないローブに身を包んだ
動きにくくはないが動きやすくもない
フードをしっかり深く被る
やや視界の上あたりが塞がれるがまぁ勝負には差し支えはないだろう
「サンキュー、ありがとう.....これで大丈夫か?」
着たローブを満遍なく見てもらうためその場で回る
一周したところで
「大丈夫だよ、カッコイイ」
そう言って天使は笑顔になった
良かった、これでバレないか
「気をつけてね成太、そしていつも心に留めておいてね
君の後ろには僕がいる、安心して頼ってきてね」
「それは心に留めておこう、ピンチの時は宜しく」
軽くハイタッチする、乾いた音が辺りに響いた
フードをもう一度かぶり直し、辺りを見回す
もう天使は消えていた、一瞬だった
さてとじゃあ行くか
冥界へ、霊夢達より早く着くよう近道を使った
「成太、大丈夫かな........?」
先ほどからあの調子だ
魔法使いの何度目かわからない小さな呟きを聞き流す
前を飛ぶ博麗の巫女は相変わらず前を向いて何事もなかった様な顔をしていた
かくいう私、十六夜咲夜も少し不安だ
彼の能力は強力だ
No. 1にはなれないがNo. 1に並ぶ事が出来る能力
彼は自分の能力をこう評していた
確かにこの世で一番強い能力を複製すれば対等に戦う事が出来る
しかし、No. 1にはなれない
彼は彼らしく「ちょうどいい力」と言っていたが
彼の能力にはまだ可能性があるのではと思う
状態や性質を複製する程度の能力
状態、性質
この二つは曖昧だ
そもそも彼に説明をしてもらっていない
何か他に複製出来る箇所がまだあるのだろうか?
その疑問が頭を駆け巡る
「メイド、聞いてる?」
気づけば巫女が横に並んで飛んでいた
少し怒った様な顔つきから考え事に夢中になっていた様だ
申し訳ない、と言いながらそちらに振り向く
博麗の巫女は小さくため息をつきながら乱暴な口調で
「そろそろ目的地だけど邪魔者が何人かいるの」
邪魔者?先ほどと同じく敵なのだろう
わざわざ知らせたという事はどうせ
さっき私達が戦ったのだから貴方がやりなさいという事だろう
彼女の意図を察し小さく頷く
それは彼女にしっかり伝わったのだろう、それ以上話さなかった
この巫女は成太に対し一番冷たい
冷たいというのは少し語弊が生むだろう
クールというのが近いであろう
先ほどの時も止めもしないばかりか先に進みたいと言った
「成太が心配じゃないの?」
「まさか、彼がそう簡単にやられるわけないじゃない」
そう言って口元をおさえクスクス笑う
この自信もとい信頼は何処から出てくるのだろう
彼には負けない何かがある、それを知っているとでもいうのだろうか
「随分な自信ね、何か根拠があるの?」
「別に根拠はない、彼の能力ならそうそう負けないわよ」
そう言って彼女は私から離れ前へ出た
巫女の彼に対する信頼、自信
なぜ巫女に彼をそこまで信頼する事ができるのか?
能力だけではないだろう
私も彼は信頼している
妹様を救い、なおかつ紅魔館の住人とも仲良くしてもらった
彼は面白い人でもあり隣にいれば安心する
「成太、貴方には何か人を惹きつける力があるのね」
今の私には彼への気持ちが分からなかった
頑張って早く更新したいです