私の体調は平々凡々です
「成太君は本当にそつなくなんでも出来る子です、
友達もよく出来るし、勉強も全教科満遍なく点数を取ります」
高校一年の初めての三者面談のとき
先生が俺の事をこう評していた
これは褒めていると受け取るべきなのだろうか?
逆に言えば特徴がない
抜きん出て出来る物がない
他人にはこれだけは負けないと思える物がない
こんな事一番本人が知っているし何よりよく実感できる
だから色々なスポーツや遊びを試した
野球、サッカー、バスケ、水泳、テニス、卓球、陸上
カードゲーム、アーケードゲーム、ユーフォーキャッチャー
絵、小説、漫画、
やっていて楽しかったし得られる物があった
でもそれ止まりであったのが俺の運命なのだろう
このスポーツに青春を捧げようだの一生通してやっていきたいとか
そこまでのものではなかった
こんな自分が嫌いかと言われれば嫌いではない
最近はあまり特徴がないのが特徴と割り切った
そして俺はとある日自分の座右の銘となる言葉を見つける
座右の銘と言えば大袈裟だが自分にとって常に心に留めておく言葉
平々凡々
普通、平凡と同じ意味の言葉
語呂などからこの言葉が好きになった
いつでも平々凡々に
嫌なことがあればこう自分に言い聞かせた
「成太さん、起きてますか?」
障子の向こうから声が聞こえる
そうか、寝ていたのか
畳の上で大の字になっていた
人の家でこんな感じに寝るのはいかがなものだろうな
戒めるように自分に言った
体を起こしてあぁ、と小さく返事すると障子が横に流れていき
冥界の剣士、妖夢が現れた
こちらを見て一礼するとあぐらをかいて座る俺の前に正座で座った
「そろそろ博麗の巫女達がこちらに来ます」
そう言う彼女は神妙な面持ちだ
彼女はいつも固い顔だ、会ってから一度もその顔を崩さない
公務に真面目なのだろう、西行寺さんにとって部下がしっかりしているのは心強いものだ
「そうですか、なら行きましょうか」
立ち上がりフードをかぶり直す
それを見て妖夢も立ち上がり腰の剣をさし直す
能力は誰のを使おうか
今咲夜さんの能力がまだ使えるがこれで戦うのはあちらにバレてしまう
かといって能力を使わずにたたかうのは論外だ
さて、どうしたものか?
もう一度妖夢を見る
そういえば彼女の能力はなんなのだろう
幻想郷の住人は大半が能力持ちと聞いているが
「妖夢の能力を良ければ教えて欲しい」
一応共同で戦線に向かうのだから教えて頂きたい
今まで知らなかったのもあれだが
「私は剣術を扱う程度の能力です」
剣術を扱うか
要は剣術が上手いのだろう
いいことではないか
剣士はカッコいい
アニメとか見てて思う
クールで仲間思い、いざとなれば仲間のために危険を冒す
こんなイメージが俺にはある
よし、決まった
「俺、その能力で霊夢達と戦いたいと思います」
妖夢は少し驚いた顔をした
そしてそのままこちらを見ながら
「幽々子様の能力の方が強力でいいと思いますが」
そう言ってきた
一理ある、強い力は当たり前だが戦局を有利に運べる
あの能力はかなりチート気味ている、強力だ
しかし
「俺があの能力をしっかり理解しないで使用すれば敵に弱点を与えてしまう羽目になるとおもいます」
妖夢は少し考える素振りを見せた
これが俺の考え方だがどうだろう
「わかりました、それならば」
そう言って手を差し出した
ありがとう、と声をかけその手を握る
ん?妙に暖かい
この人は冥界の住人なのだから死んでいるはずでは?
まさかこの人生きているのでは?
「えっと、もしかして生きてますか?」
こちらの質問に首を傾げる妖夢
だらうね、自分でも変な質問してしまったと思っている
補足しないと変な誤解を受ける
「いや、冥界の住人だからてっきり死んでいると」
妖夢はあぁ、と小さく頷きわかったような顔をする
そして
「私は半霊半人です、霊でもあり人間でもあります」
中々すごい答えが出てきたものだ
霊と人間のハーフなのだろうか?
死んでいるようで生きている
生きているようで死んでいる
この理解しがたい存在には人間の俺ではついていけなかった
幽々子さんのいる部屋を目指し歩いている
あの大きな庭が左手に見える
まぁ、これで俺も晴れて剣士になった訳だが
肝心の剣がない
素人なので扱いやすい初心者用の剣がいいのだが
しかし技能的には初心者ではない
なんとも言えないわけだ
「剣がないんですが、どうすればいいですか?」
単刀直入に聞いた
俺の質問を察していたのだろうが
こちらに瞬時に振り向き難しい顔で
「真剣はもうないんですよ、練習用の木刀しかなくて.....」
妖夢は申し訳なさそうにつぶやく
あっちゃー、それは仕方ない
木刀でも十分いけそうな気がするがどうだろう
真剣がどこまで木刀より強いのかわからない
そもそも真剣のイメージがあやふやだ
妖夢の腰に刺さっている様な日本の刀のイメージでいいのだろうか?
全くの素人だから正直不安だ
まぁ、大丈夫なんだけどね
「木刀で大丈夫です、良ければ貸して頂きたい」
少し驚いたのだろう
一瞬拍子抜けした彼女は意外と可愛かった
いや、可愛いのは知っていたが結構童顔だったので驚いた
「流石にキツイと思いますよ、真剣なら弾幕等たたき落としたり
斬りつけたりできますが木刀は......」
その点は問題ない
木刀を真剣にすればいいだけだ
「大丈夫ですよ、木刀が真剣になればいいんですよね?」
「え?木刀が真剣に?どういう事ですか?」
まぁ見ていればわかるさ
そう呟き木刀のある部屋に案内してもらった
時を止めた中でナイフを振るう
一直線に飛び出したナイフは数分の狂いもなく被弾する
ピチューン
例の被弾音が辺りに響き、楽器を抱えた三姉妹は呆然とする
「これで私たちの勝ちね、さて先に進ませてもらうわ」
そう言いながら私は手に持っていたナイフを懐にしまう
ちょうどその時魔理沙が肩に手をかけてきた
「お疲れ、さぁ異変の元凶までもう少しだぜ」
そうね、と小さく呟くと黒い禍々しい渦を見る
これが冥界への扉
冥界の主が異変の元凶だったとは、正直驚いている
黒い扉はこちらを飲み込まんとばかりに佇む
「全く、こんなことするなんてよっぽど暇のようね」
「こんな大胆なことするんだ、そうに違いないぜ」
霊夢は呆れ果て、魔理沙は肯定した
確かにこんなことをするのは意図が読めない
単純に春が嫌いというのもどうかと思う
「さて早く終わらせますか」
そう霊夢は呟き禍々しい渦に向かって飛ぶ
魔理沙もそれに続いて箒にまたがり直し飛ぶ
私は意を決して渦に飛び込んだ
延々と続く階段
石でできた階段の終わりが見えないほどだ
一般人なら嫌になる筈だが私たちは空を飛べる
これは足に負担もかけずなにより楽だ
そうして進んでいく
黙ったまま進んでいたが私は声を上げた
「最近魔理沙調子がいいじゃない、どうかしたの?」
そう言いながら並走する魔理沙を見つめる
魔理沙はこちらが見ているのを気づき見返してくる
「調子がいい?それはだな....」
急に顔が赤くなる魔理沙
どうなってるのだか
メイドの方に顔を向ける
メイドも魔理沙を見て顔を傾げている
「私は至って普通だぜ....そうだぜ....」
魔理沙は復唱するがごとく繰り返す
どうやら例の病気が再発したようかもしれない
ここで再発するとは運が悪い
「大丈夫なの?魔理沙」
魔理沙を横目で見ながら言う
魔理沙は先ほどより依然と顔が赤い
どこか落ち着きのない様子でこちらを見る
「大丈夫、そんなことより成太がこないのぜ」
あぁ、確かに
まさかやられたのではないだろうか?
そんな不安が胸をよぎる
あの敵の様子じゃ殺されていてもおかしくないかもしれない
いや、それは考えすぎか
「 彼は来るわ、安心して」
魔理沙は依然と不安をぬぐいきれないのかソワソワしていた
不安なのは分かるが今は現状に目を向けて欲しい
敵が現れてもおかしくないのだから
「そこの三人!止まりなさい!」
大きな声が聞こえた
私は飛ぶのを止め足を階段につけた
階段も終わりかけのその数段に声の主はいた
1人は銀髪に鋭い目でこちらを伺っている
腰には剣が二本帯刀されている
頭のリボン付きカチューシャが少し浮いている
そしてもう1人
見覚えのある格好
黒一色ローブに身を包み佇む男
二人が立っていた
「お前は...成太と戦っていた奴!」
魔理沙声を荒げ行った
この様子だと今にも跳びかかりそうだ
「成太?あぁ、あの男か」
淡々と冷たく言い放つ
言われたくない一言を
「落としてやったよ、今頃どうなっているか」
そう言った瞬間魔理沙は箒に跨り飛び出した
「うおぉぉぉ!許さないぜ!」
次回、戦闘入ります