東方平々凡々録   作:さんま(北海道産)

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色々すいません


東方平々凡々録 29「焦るな落ち着け」

「大丈夫だ魔理沙、後から合流する」

 

そう言って敵と向かいあった彼の背中を思い出す

弟殺しと言われていたのも気にならない

ただ彼が心配だった

彼は人を殺すような男ではないし、そう信じている

だけど...そんな成太が...

 

「喰らえ!マスタースパーク!」

 

開始早々得意技を放った

最初は様子見程度に弾幕をばら撒くのだが

今の魔理沙は感情に振り回されていた

その火力に身を任せ撃ち出した

マスタースパークは一直線にローブの男目掛け迫る

今にも飲み込もうとせんばかりに近づいて行く

しかし、迫り来るマスタースパークを目の前に動かない男

その右手には木刀らしき棒状の物が握られている

先ほどにはその様な物は握られていなかったはずだ

この男はよもや剣士ではあるまいか?

魔理沙の頭に疑問がよぎる

 

「おおっと、これは危険だ...」

 

そう言いながら体を翻しマスタースパークを躱す

紙一重だった

いや、わざと一重だったのかもしれない

ならこれならどうだ

 

「ミルキィーウェイ!」

 

私は高らかにスペカを宣言した

 

 

 

「彼が...負けた?」

 

その黒いローブの男の言うことが最初信じられなかった

あの高さから落とした?ということは....

嫌な想像再現が脳内で再生される

彼の能力は中々厄介なものがある

だからあの時あの場面を託したのだ

魔理沙には冷たいと思われたのだろうが私には私なりの彼への信用がある

その彼を打ち倒したあの男は間違いなく強い

気を引き締めなければならない.....

心にそう留めておいた

 

「博麗の巫女!よそ見している場合?」

 

目の前のショートカットの剣士が挑発地味た声で言う

目を細めこちらの動きを伺っているようなのだろうか

しかし博麗の巫女とよく言われる

私には博麗霊夢と言う名前があるのだがよく敵には決まって博麗の巫女だ

通り名みたく連呼して....

 

「早くかかって来なさい」

 

そう言って手で招くような仕草をする

それを見てか剣をガッチリと握り鋭い殺気を放ってくる

亡霊剣士....か、面白そうじゃない!

 

「勝負!」

 

 

 

「成太、気を抜かないこと」

 

わかっているさそんなこと

頭でふと思い出した言葉に咄嗟に返事した

手を抜けば負ける

それは前の異変で身をもって知った

魔理沙も霊夢も咲夜さんも強い

 

「当たれええぇぇぇぇぇ!」

 

相変わらず火力に身を任せる魔理沙

いつも以上に飛ばしてくる

しかし、ここまで感情に身を任せているのは彼女らしくない

いつもと違う、かなり違う

魔理沙はいつも弾幕を楽しんでいた

のに、今は....今は

倒しに来ている

いや、殺しに来ている

 

怖い、ただ怖い

 

 

「力任せだな....精細さに欠ける」

 

「黙れ!うおおお!」

 

速度も早く厄介な弾幕だ

しかし兎に角放っているだけなのでザラだ

間を縫うようにスイスイと躱す

それを見てか魔理沙は歯ぎしりを立てた

手を振り回しまるでおもちゃを買ってもらえない子供のように悔しがっているような無邪気さはない

ただ次は当てるという確固たる意志の強さが感じられた

魔理沙の弾幕ごっこに対する捉え方がまるで違う

俺はただただ困惑していた、別人だ

 

「よそ見してて良いの?」

 

刹那その言葉が聞こえた

振り返り確認しようとした時には眼下にナイフが迫っていた

 

「!?」

 

咲夜さんか!

咄嗟に持っていた木刀で払いのける

金属の音が辺りに響く

今の俺の反応速度は妖夢並み

幽霊と同じなのだ!

....幽霊がどれほど人間と差があるのかわからないが

 

「うまくいったと思ったんだけど」

 

咲夜さんは新しくナイフを取り出しながら言う

ナイフは辺りの明かりに照らされて不気味に光る

そのナイフに鏡のように自分の顔が写った

いや、顔はフードによりわからない

わからないというのがまた怖いのか

普段では出せない強者オーラが出ていた

 

2人を見る、魔理沙は殺気を隠すことなく放ちこちらの様子を伺っている

対する咲夜さんはナイフを構えたまま静かにこちらを見つめる、頭の切れる彼女は冷静に能力や種族を予想しているようにも見えた

 

霊夢と妖夢の方を見たかったがそんな余裕はなさそうだ

ちょっと目を離せば何が飛んでくるかわからない

そうしてにらみ合い出方を双方探り合う

2対1、数でも経験でも不利だ

けど大きなアドバンテージがこちらにはある

相手を知っているということだ、知っている情報を元に作戦や戦術を立てることがてきるのは大きい

攻め方や守り方、隙のつき方

情報から弱点が見え弱点がそのまま敗因へとつながる

そんなことだってある

逆に彼女達はこちらを知らない

無知は対策のしようがない、ゆえに攻めに奥手になる

 

相手に感づかれる前に決めたい、けど

この2人だとイマイチ押し切れる気がしない

咲夜さんの能力、時を止める能力

強力な分連発はできない

ナイフも正確だが避けられないわけではない

魔理沙の能力、魔法を扱う能力

魔理沙の魔法は火力重視、故に一発一発に隙ができるはずだ

マスタースパークは何か六角形の様なものから出していた

あれを持っている時は後ろががら空きだ

そして火力重視ということもありこちらも連発できない

 

よし、付け入る隙はある

 

地面を蹴り2人に接近する

2人は唐突に接近してきてややおろついたがすぐに応戦してきた

目の前に弾幕とナイフが視界一杯とんできた

それを反復運動を基本にその場で躱して見せた

進むことなく右に左に、こちらからは一切弾幕を放たず

今日の魔理沙の焦り様なら、ジリ貧は嫌うはずだ

 

「墜ちろ!」

 

きたか!

魔理沙が放った火力重視の太いレーザーの様な弾幕

これを次々と放ち威力と速さで落としにきた

耐えろ....耐えるんだ

心の中で唱え続け、レーザーを躱していく

こちらも体力がいつまでもつかどうか

半霊は半霊だ、一応人間でもあるから疲労する

自分の体力も頭の片隅に入れながら彼女達の隙を突く

持久戦なら....いける

 

「これなら躱せない!」

 

頭上、右肩辺り左足辺りにナイフが唐突に表れる

レーザーも飛んできている、まずい、避けきれない

被弾を覚悟した時に

 

「気をつけるんだ成太、ほら反撃だよ」

 

こいつのお陰で当たることはなかった

俺が立っていたところに魔理沙がいた

チルノの時と同じ様に、魔理沙が被弾した

 

ピチューン

 

「え?なんで....」

 

困惑し、その場で立ち尽くす魔理沙

まぁそうでしょうね、強いよねこいつの能力

俺は被弾しそうになったが被弾せず代わりに後ろで撃っていた魔理沙が咲夜さんのナイフにより被弾した

咲夜さん....能力をさぐっているなら、こいつの能力を見破れますか?

分かれば大したものですよ、いやすごい人だ

 

「なっ......これがあなたの能力?」

 

「だったら?」

 

あえて挑発的な言動をしてみる

なるべく高圧的に出る

強キャラの雰囲気を忘れない、出来るぞオーラを常に張る

咲夜さんはこちらを睨みながら負けじと高圧的に言い返す

 

「しかしあなた、人間でもない妖怪でもないとなるとあの剣士と同じ半霊ということね」

 

「種族がわかったところで....今更何になる」

 

「これは大きな情報よ?ないよりはマシよ」

 

一つずつ彼女たちのピースが埋まっていく

まずい、少しずつバレ始めている

早期に決着をつけたい、俺はそう思い始めた

このときに焦っていたのはこちらだったのかもしれない

バレないようにバレないようにとそればかりに頭が行っていた

 

「うおおおおお!」

 

不意をついて一気に弾幕を放つ

魔理沙が怯んだ、チャンスだ

火力を集中させる、だが甘かった

意識が個人にへと向き過ぎていた

横から飛んできたナイフを知る由もなく被弾した

 

ピチューン

 

「サンキュー咲夜」

 

「気をつけるのね魔理沙」

 

咲夜さんはハイタッチを求めた魔理沙を軽く流しながらしれっと魔理沙に喚起する

魔理沙はそれがやや不服そうな顔をした

 

「かなりの焦りようだけど....?」

 

「はは、まだ一回被弾しただけだ」

 

だめだ落ち着け自分

このままじゃ相手に主導権を握らせてしまう

魔理沙もさきほどとは顔つきが変わり真剣に、冷静な目つきでこちらを見る

 

「成太の仇...とらせてもらう!」

 

人差し指をこちらに突きつけビシッと言い放った

おいおい勝手に殺すなよ、しかしこの事実を彼女は知る由もない

振り返れば魔理沙には今回迷惑をかけたな、終われば謝っておこう

 

「く!まだ!まだ!」

 

「残念ながら、ね....夢想封印!」

 

妖夢と霊夢の声だ

妖夢が追い詰められているのが分かる

そして霊夢のスペカ、夢想封印

これ....トドメに使うやつだったような

ということは妖夢は!

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!」

 

絶叫が響き渡る

決着がついたようだ

初めて妖夢の方に目をやる

地面に腰を深く落とし頭を下げている、そのため表情が見えない

刀から手を離している

 

霊夢がこちらを見ている

次はお前だと言わんばかりに

ということは

 

「3対...1」

 

絶望的だ




自分のペースで頑張ります
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