永遠の刹那――天魔・夜刀は落ちていく。
東征軍の益荒男、坂上覇吐。
主役の座を握ろうとした彼との戦闘により開いた特異点を落下していく。
この大欲界天狗道においての異常。異形。
もしくは、畸形。
「結局、主役を気取れなかったか……」
しかし、もう彼との戦闘に決着はついた。
第六天の畸形嚢腫。
ともすれば、第六天を倒し、次代を託せる男だと思ったのだが。
彼は、自分に敗れたのだ。
主役となれなかった。
ならば、後は――
「……」
夜刀は落下し続けている。
座にいる最悪を、今度こそ殺すために。
大欲界天狗道の主。
第六天波旬。
「……ッ!」
脳裏をよぎるのは、かつての仲間たち。
そして、今なお愛し続けている黄昏の女神。
――ああ、
――ああ、愛しき刹那よ。
太陽のようだった少女はいない。
まさしく炎であった彼女もいない。
自分を支え続けてくれたあの人も。
笑いあえる親友もいなければ、自分を兄弟と呼んだ戦友もいない。
すべてを愛した黄金も、うざくて仕方なかった水銀すらも。
抱きしめてくれる黄昏も――いない。
――すべての元凶。
――波旬。
座に近づくにつれ感じる、極大の下種。
こぶしを握る。
奥歯を噛み締める。
こんなものを許容してはいけない。
存在を許してはいけない。
覇道神の役目は、次代への希望を絶やさぬこと。
波旬にはそれがない。絶無だ。
今までは夜刀が最後の防波堤となって食い止めてきたが、その拮抗も崩れ去った。
夜刀の太極は、氷河のごとき停止。
次代が生まれる可能性は、かぎりなく低い。
故に自らを邪神とし、座をとることを拒み続けた。
だが、そんな夜刀でも、波旬よりはましなのだ。
あの唯我の滅尽滅相に比べれば。
だからこそ。
だからこそ、座をとることに迷いはない。
「感じるぞ波旬……ッ!」
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なんだお前は。
来るな。近づくな。穢れるだろう。
気持ち悪い気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い。
俺を一人にしろ。
すべて、消えてなくなれ。