第六天波旬vs永遠の刹那   作:byとろ

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開戦……なのか?

なんだか前座って感じです。すいません。

前回、何気にニートのことうざいって書いたんだけど、馴染みすぎてて怖い。

それと、これから先、こじつけやら渇望の極大解釈が出てくる可能性がございます。

ご承知ください。




開戦

特異点を落下し続けた夜刀は、ついに底を知覚した。

 

最悪の座。

 

あの水銀は、常人が息を止めていられる程度の深度であったはずだが、これはその比ではない。

 

7,8千年もの深度だ。

 

文字どうりに、格が違う。

 

 

――だからどうした。

 

 

そんなものは、とうの昔に知覚した。

 

覇道神すら指ではじくその強度を。

 

見ただけで眼球が罅割れるその質量を。

 

あの日、堕天したあの時から。

 

知覚している。

 

 

――だからどうした。

 

 

勝たねばならん。倒さねばならん。

 

次代の希望を、絶やさせるわけにはいかないのだから。

 

 

「さあ、波旬……ッ!」

 

 

そしてついに――

 

座に到達した。

 

そこは黒、暗、闇。

 

否応なく思い出す、あの外道。

 

そして、来る。

 

あれが来る。

 

泥をまき散らして、腐臭を充満させ、特異点を邪の奔流で埋め尽くしながら。

 

あれが――来た。

 

 

「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」

 

 

それの姿を視認した瞬間、夜刀は吠えた。

 

額にある異形の目。

 

全てを見通す天眼でありながら、その実何も見ていない白濁の眼。

 

徹頭徹尾自分。

 

己以外は認めない。

 

自己愛の醜悪にして最悪。

 

究極の下種。

 

大欲界天狗道を流出させている張本人。

 

第六天――波旬。

 

 

『なんだお前は。お前も俺の糞を食いに来たのか』

 

「波旬……ッ!」

 

 

夜刀の太極は、今この瞬間も流出している。

 

しかしどうだ。

 

この怪物は、停止という太極を知覚してすらいないのだろう。

 

認識もしていない。

 

ただ、なんとなくだるいとか、ともすれば本当に何も感じてはいない。

 

 

『ああ?どっかで聞いた雑音だな――』

 

 

何も変わっていない。

 

全てを邪魔とし、見下し、嘲笑っているその本質。

 

否、こいつは見下すことも、嘲笑うこともないのだろう。

 

己と、その他の邪魔な塵。

 

それだけの宇宙なのだ。

 

そして未だ、完成はしていない。

 

完成させてはならない。

 

故に、

 

 

「お前の宇宙を、跡形もなく消し去ってやるッ!」

 

 

断頭の刃を飛ばす。

 

億を超え、兆に達する刃の嵐。

 

それら一つ一つが星すら裁断し、宇宙を切り裂くだけの神気を有している。

 

当然のごとく時の停止という概念が付属しているそれは、しかし効果をなさない。

 

空間へ圧縮される力の渦は既存の色を消滅せしめ、塗りつぶしうる密度と強度を備えており、直撃すれば原子の域まで分解される。

 

はずなのだが、波旬は関係ないとばかりにことごとくを破壊する。

 

 

『何してんだ塵のくせによぉぉぉぉぉッ!そんなに俺の糞が食いたいのか。なら食わせてやるぞぉぉぉッ!』

 

 

波旬が咆哮した。

 

その瞬間、波旬の質量が爆発的に跳ね上がる。

 

そして、座に記録されている歴代の理を使う。

 

否、使うのではない。

 

おそらく波旬にとって、これに攻撃というつもりはない。

 

ただ、自身にへばりついている糞を投げ捨てるという感覚であろう。

 

 

『アクセス――我がシン

 

まず感じたのは『悲嘆』

 

――求めしものは救世

 

なぜ奪い なぜ殺し なぜ憎む人の子よ ああなぜ 私はこんなに罪深い

 

ならば清めん 原罪浄化せよ

 

――悲想天』

 

 

それは第三天の理。

 

罪深き世を救済したい――

 

罪を憩い、人の原罪を浄化し救済せしめんとした明けの明星の理である。

 

 

『アルファ オメガ エロイ エロエ エロイム ザバホット エリオン サディ……

 

汝が御名によって 我は稲妻となり天から墜落するサタンを見る

 

汝こそが我らに そして汝の足元 ありとあらゆる敵を叩き潰す力を与え給えらんかし

 

いかなるものも 我を傷つけること能わず

 

おおグロオリア 永遠の門を開けよ

 

永遠の王とは誰か 全能の神 神は栄光の王である

 

――ネツィヴ・メラー』

 

 

かくしてここに、第三天――天道悲想天が召喚された。

 

 

 




次回は遅くなると思います。

獣殿<愛が足りんよ。愛が。
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