第六天波旬vs永遠の刹那   作:byとろ

4 / 9
何とか間に合った!

日が変わる前に投稿できた、やったぜ!

次は気合を入れて書きますので、どうかご期待ください

――って、いつになったら波旬と直接戦い始めるんだろう?


三つ巴

『アクタ・エスト・ファーブラ

まず感じたのは『諦観』――求めしものは未知の祝福

 

飽いている 諦めている 疎ましい 煩わしい

 

ああ何故 総てが既知に見えるのだ

 

輝く女神よ 宝石よ どうかその慈悲をもって 喜劇に幕を引いておくれ

 

あなたに恋をしたマルグリット!

 

その抱擁に辿り着くまで

 

那由多の果てまで繰り返してみせん

 

――永劫回帰』

 

 

夜刀の放った破壊光。

 

それが迫る中、波旬は詠唱を終わらせた。

 

それは第四天の理。

 

既知を繰り返し続けながらも、女神の抱擁を求め続けた男。

 

水銀の王。

 

かつて第五天――黄昏の女神を守るため、夜刀とともに波旬に立ち向かった一人でもある彼が、何の皮肉か今ここで波旬に使われるという事実。

 

波旬もそれを己の糞と断じて、ただ使い捨てる。

 

あまりにも――皮肉だ。

 

黄昏の女神を愛し続けた男が、女神を殺した相手に使われ、投げ捨てられるなど。

 

 

 

『武器も言葉も 傷つける

Et arma et verba vulnerant Et arma

 

順境は友を与え、欠乏は友を試す

Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla

 

運命は、軽薄である 運命は、与えたものをすぐに返すよう求める

Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit

 

恐れは望みの後ろからついてくる

Spem metus sequitur

 

喜んで学べ

Disce libens』

 

 

 

夜刀の一撃を受け止め、消滅させたそれ。

 

――暗黒天体。

 

自身の掌握した既知世界のすべての星を利用して作り上げた天体が、夜刀のすべてを破砕する無情の光を遮ったのだ。

 

 

――……。

 

「メルクリウス……」

 

 

夜刀がその言葉と共に奥歯を噛み締めた。

 

わかってはいた。

 

座に記録されている理を使うということは、当然第四天も、そして第五天すらも扱われるということだ。

 

ふりきれ。

 

これはただの木偶だ。

 

そう思っても、心のどこかで引っかかっている何かがある。

 

だからこそ。

 

ここでそれを断ち切らなくちゃいけない。

 

 

「俺をなめるなぁ――――――ッ!」

 

 

絶叫し、疾走する。

 

背に生やした断頭の刃が、まるで壁のように乱舞し、水銀を切り刻もうと襲いかかった。

 

線でありながらも面という異常。

 

その異常を発生させるほどの刃の群れが舞う。

 

 

『怒りは短い狂気である

Ira furor brevis est

 

自然に従え

Sequere naturam』

 

 

 

迎え撃つは水銀。

 

超新星爆発とよばれるそれは、しかし一般に想像されるようなものとはわけが違う。

 

宇宙規模の大熱波。

 

本来ありえぬエネルギーの爆発が、夜刀を迎え撃つ。

 

乱舞する刃を星の爆発が包み込み、そして周囲を光でうめつくしながら轟音と共に四散した。

 

当然、大熱波が夜刀を襲う。

 

だが――

 

 

「日は古より変わらず星と競い

 

定められた道を雷鳴の如く疾走する

 

そして速く 何より速く

 

永劫の円環を駆け抜けよう

 

光となって破壊しろ

 

その一撃で燃やしつくせ

 

そは誰も知らず 届かぬ 至高の創造

 

我が渇望こそが原初の荘厳」

 

 

 

創造

Briah――

 

美麗刹那・序曲

Eine Faust ouvertüre

 

 

 

夜刀は加速する。

 

時を引き延ばし、超新星爆発を回避した。

 

そのまま水銀のもとへ駆ける。

 

夜刀の停止も合わさって、それこそまさに神速。

 

今度こそ水銀に刃が振り下ろされる。

 

一閃。

 

赤い軌跡が水銀を吹き飛ばした。

 

さらに追い打ちをかけるようにして詠唱。

 

奇しくもそれは、かつて水銀の使用していた攻撃方法。

 

 

「シーク・イートゥル・アド・アストゥラ

 

セクゥェレ・ナートゥーラム」

 

 

 

随神相・流星

 

 

 

蛇神の鱗が剥がれ落ちる。

 

遥か頭上から剥がれ落ちた鱗は、まるで流星。

 

大質量の塊が、群となって落ちてくる。

 

吹き飛ばされた水銀は、それを見て少し口元を綻ばせた。

 

そして、まるで指揮者のように腕を掲げる。

 

 

――あぁ、それでは今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めようか。

 

 

瞬間、幾つもの流星が落ちる鱗と衝突し、もろともに砕け散った。

 

夜刀の落とした鱗がすべて粉砕され、さらに多い流星が夜刀を襲う。

 

 

「……クッ!」

 

 

断頭の刃が飛ぶ。

 

刃は流星をまるでバターのようにやすやすと両断し、その密度で押しつぶした。

 

 

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」

 

『ああ、そうだ――』

 

 

夜刀が駆けだすその瞬間、波旬が何かに気づいたように声を漏らした。

 

そして、そのまま――笑う。

 

 

『ハハハハハハハッ!なんだお前、そういうことか。どこかで聞いたことのある雑音だと思ったら――あの時の雑魚か。なぜ生きているんだ?消し飛んだと思っていたんだがなぁ……』

 

『しかし、俺もよくお前のような塵を覚えていたな。ハハハハハハハッ!笑いが止まらん。

――ああ、そうだ。こんなのはどうだ?三人で食い合って消えてなくなれよ!ハハハハハハハッ!』

 

 

嘲笑もそのままに、波旬はさらに神格を召喚する。

 

その神の咒は――

 

 

『我が愛は破壊の情』

 

 

――黄金の獣。

 

愛すべからざる光(メフィスト・フィレス)の魔名を持つ至高天。

 

 

『まず感じたのは『礼賛』

 

――求めしものは全霊の境地

 

ああ なぜだ なぜ耐えられぬ 抱擁どころか 柔肌を撫でただけでなぜ砕ける

 

なんたる無情――

 

森羅万象 この世は総じて繊細にすぎるから

 

愛でるためにまずは壊そう 死を想え 断崖の果てを飛翔しろ

 

私は総てを愛している

 

――修羅道至高天』

 

 

顕現、同時に攻撃。

 

駆けようとした瞬間に横から放たれた黄金の一撃を、夜刀は間一髪、後方に飛ぶことでかわした。

 

顔を上げれば、黄金と水銀が隣り合わせで並んでいる。

 

遥か以前、まだ黄昏が存在していた時から面識のある二柱。

 

共に黄昏を守護していたというのに、今は敵として戦う。

 

最初こそ敵として出会ったが故に、なおさら感じるところがある。

 

だが、ならばこそ。

 

この天狗道から解放させねばならない。

 

彼らへの冒涜を許してはならない。

 

それが――彼らの救い。

 

 

 

「海は幅広く 無限に広がって流れ出すもの

 

水底の輝きこそが永久不変

 

永劫たる星の速さと共に 今こそ疾走して駆け抜けよう

 

どうか聞き届けて欲しい

 

世界は穏やかに安らげる日々を願っている

 

自由な民と自由な世界で どうかこの瞬間に言わせてほしい

 

時よ止まれ 君は誰よりも美しいから

 

永遠の君に願う

 

俺を高みへと導いてくれ――」

 

 

 

『武器も言葉も 傷つける

Et arma et verba vulnerant Et arma

 

順境は友を与え、欠乏は友を試す

Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla

 

運命は、軽薄である 運命は、与えたものをすぐに返すよう求める

Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit

 

運命は、それ自身が盲目であるだけでなく、常に助ける者たちを盲目にする

Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat

 

僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい

Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc

 

食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし――

Ede bibe lude post mortem nulla voluptas』

 

 

 

『怒りの日 終末の時 天地万物は灰燼と化し

ダビデとシビラの予言のごとくに砕け散る

たとえどれほどの戦慄が待ちうけようとも 審判者が来たり

厳しく糾され 一つ余さず燃え去り消える

我が総軍に響き渡れ 妙なる調べ 開戦の号砲よ

皆すべからく 玉座の下に集うべし

彼の日 涙と罪の裁きを 卿ら 灰より 蘇らん

されば天主よ その時彼らを許したまえ

慈悲深き者よ 今永遠の死を与える エィメン――』

 

 

流出

Atziluth――

 

 

 

新世界へ語れ超越の物語

Res novae――Also sprach Zarathustra

 

生と死の刹那に未知の結末を見る

Vive memor mortis――Acta est fabula

 

混沌より溢れよ怒りの日

Du-sollst――Dies irae

 

 

 

無間大紅蓮地獄。

 

永劫回帰。

 

修羅道至高天。

 

三柱の神。

 

黄昏の守護者が、三つ巴の食い合いを始める。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。