世紀末わらびもち伝説 はくちー伝   作:たこ焼きうどん

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2015年、世界はわらびもちの炎に包まれた…!!
艦これにはアニメから入りました。泊地棲姫お姉さんへのほとばしる熱い想いをどうしても抑えきれず、またつまらないものを書いてしまいました。泊地棲姫さんの外観や雰囲気は、アニメ版の泊地棲姫さんをイメージしております。ちょっとボインな方のはくちーお姉さまです。


ナイツ・オブ・ちゃぶ台 

暑い夏の昼下がり。海の見える2階建ての民家。

ちりんちりんと風鈴の鳴る音。扇風機から流れる温かい風。

民家の1室、床には冷たい畳、部屋の中央には丸いちゃぶ台。

壁には「漢は海」との掛軸がかざってある。

意味はよく分からない。

俺、海野家成、うみのいえなりは今、自分の別荘にいる。和式の別荘である。

テレビに出てくる軽井沢の洋式の別荘ではない。

だが、一応は別荘である。実家じゃない家というのが、その理由である。

ちなみにトイレはウォシュレットである。

なお、決して海の家などではない。

そこで俺は丸いちゃぶ台を囲んで、いわゆる円卓の会議に出席していた。

 

「学園祭でお好み焼きを出したい」

 

俺が渾身の力を振り絞って言う。

うおおって感じで自らの魂を雑巾のように絞り上げる。

握った両手の内側に汗がにじむ。

おでこに生ぬるい冷や汗が流れるのが感じられる。

学園祭で何とかお好み焼きを出したい。

俺が通っている学校は、鎮守府中心部に位置するアドミラル学園。

今はそこの2年生。9月で17歳になる。

目の前には、冷たい目をした女の子が座っている。

 

「認められぬ。たこ焼き以外の選択はあり得ない」

 

女の子がきりりとした目で俺の目を見る。

この視線には弱い。ルビーのような赤い瞳。

薄紫色の長いさらさらと流れるような美しい髪。

赤茶色と白のセーラー服。

スレンダーな身体ではあるが、胸の部分にははみ出しそうな大きな隆起が2つ。

どこを見ればいいのだろうか。視線が宙を舞う。俺は悠久なる時の流れの中で、

恋というものは決して叶わぬ物であるという悟りの境地へと至り、

ついに超越者として生まれ変わった。

草食系をはるかに超越した絶食系の最終形態である。

もはや色欲などという下劣なものは、今の俺には通用しない。はずである。

目の前にいるのは、超越をさらに超越する存在なのであろうか。

そんな事があり得るはずなど無いのだ。

何者だ、何者なんだ貴様は…!

 

「なあ、はくちー。このままだと、お互い廃部だぞ?

ここは1つ手を組もうではないか」

 

はくちー。フルネームは泊地棲姫。アドミラル学園の2年生。

5月で17歳。スイーツ部の部長である。

スイーツと言っても、「かっこ笑い」がくっつく低俗なスイーツ()ではなく、

より硬派なスイーツ道である。

 

「私は、今回の文化祭において、たこ焼きの全能性にかけておる。

たこ焼きの布教こそが我が喜び。そのため日々の鍛練を欠かしておらぬ」

 

彼女は毎朝2kmのプチマラソンを欠かさない。

その姿、まさに求道者である。

この特殊部隊のような日々の鍛錬が、はくちーの細くしなやかな、

いかそうめんのような肉体を形作っているのだ。

日焼けクリームを塗りたくっているのか、

身体は白く日焼けの「ひ」の字も見られない。

負けてはいられない。俺だって、この俺だって、由緒正しき、お菓子部の部長である。

まつたけしいたけ戦争というチョコ菓子最終戦争を自分の脳内で終わらせた、

お菓子界のリーサルウェポンである。

まつたけの里は美味しいけど、やっぱしいたけの山だよな…

今回は全権大使同士の交渉である。と言っても、お互いに部員は1人である。

議題は、何を隠そう、学園祭に出店する露天に関する交渉だった。

使用されていない大きな部屋があって、

そこに目玉となるお店を入れてみようかという話になった。

しかし、はくちーの18番は、たこ焼きの調理である。

金だこも真っ青になって裸足でおしっこちびりながら逃げ出すほどの腕前である。

彼女の実力は認める。確かに彼女のたこ焼きはうまい。

俺もまた食べてみたい。

 

「そのたこ焼きの余ったプレート部分で、お好み焼きを焼けないものか」

 

食い下がる俺。お菓子部の未来はこの俺にかかっている。

はくちーがズズズっとお茶を飲む。

こんな事もあろうかと、冷たいお茶を用意しておいた。

 

「うむ…」

 

何か感じたものがあるのか、はくちー。

 

「お姫さまには、このようなお茶では満足して頂けないかもしれないが…」

 

はくちーは、お姫さまである。確かに、雰囲気は高貴な感じもする。ような気がする。

俺もはくちーも、深海棲艦と呼ばれる種族である。

彼女はその中でも深海棲姫と呼ばれる、姫クラスの人物なのである。

俺は普通の深海棲艦、つまりパンピーである。

学園には色んな奴が通っている。

色んな奴とは言うけど、学業スポーツともにそこそこ優秀な連中が集まっている。

この俺が入れたんだから、たいした学校ではない。

ただ、学費は国費から支給されている。

学食もタダである。ここの学食はあんみつがうまい。

深海棲艦からはお姫様クラスの連中がよく通っている。

俺は力試しに受けたらたまたま運よく受かってしまった。それでここに通ってる。

ちなみにここには艦娘学科という特進コースもあって、

ここには将来艦娘と呼ばれる海軍特殊部隊に配属されるエリートが通っている。

所属しているのはみんな女の子である。俺も入ってみたかった。

 

「では、今日の交渉はここまでにしよう、海野」

 

はくちーはお茶をぐいと飲んでから、ふうっと息をつき、

この円卓から立ち上がった。

俺も大きく伸びをする。

 

「ああ、それでも実りある交渉ではあった。また会おう、はくちー」

 

ほとんどお茶を飲みながら雑談しただけであったが、

彼女の氷のような表情を少し溶かしただけでも、いくらか実りのある交渉ではあった。

しかし、実にグラマーなお姉さんである。

真珠のような肌、というとどこかの化粧品のCMのようではあるが、

彼女の肌は本当に白い。ちゃんと飯食っているのだろうか。

あちこちの男子から告白されているとは聞いている。

そう、はくちーはモテるのだ。

しかし彼女には夢がある。鎮守府と深海棲艦との間の橋渡しをしたい、

そのためにはたくさん勉強して、いつかは外交官になりたい、

だから俗世間の色恋沙汰などにかまけている暇など…という事である。

俺ははくちーと互いに握手し、この日の交渉は終わりとなった。

玄関でこんこんと靴を履いて、がらがらと戸を開けるはくちー。

 

「じゃあな、また学校で」

 

右手を挙げる俺。

 

「うむ」

 

堅苦しい顔で、前を見ながら軽くうなづくはくちー。

そう、俺らはどうせまた学園で顔を合わせる事になるのだ。

わざわざうちの海の家、もとい、別荘で話しあう必要などなかったのだ。

別荘でやる方が、なんとなく雰囲気が出るから、別荘でやった。

ただ、それだけが理由である。

 

「授業終わったぜ、ひゃっほう~!」

ようやくお菓子だ、部室でお菓子が食える!

今日はまつたけの里にしようか、しいたけの山にしようか、

それともポ・ポ・ロ…?

高鳴る鼓動と共に、お菓子部の部室に走って行く。

部室の戸に一枚の紙が貼ってあった。

 

「今日にてお菓子部は廃部となる」

 

…?どうしてこうなった。

いきなり廃部である、聞いてねぇよ!

あぜんとして立ち尽くす俺。

こつこつと誰かがこちらに歩いてくる。

「お、おう…どうした、はくちー」

はくちーが戸に貼ってあるお菓子部廃部の紙をじーっと見てから、俺の顔を見る。

 

「うむ。スイーツ部が廃部になった」

「マジでー!?」

 

そうやらはくちー率いるスイーツ部も同じ憂き目に遭っていたようである。

 

「ぴーんぽーんぱーんぽーん」

 

呼び出しコールの音が鳴る。

 

「海野、泊地、今すぐ職員室に来なさい。繰り返します。海野、泊地、今すぐ…」

 

おいおい、呼び出しである。何か悪い事をしたのか?

部室でお菓子を食べていたのがいけなかったのか?

はくちー、お前だって部室でショートケーキを食べていただろう、

俺は目撃してるぜ!

しかし、お菓子部員、スイーツ部員が、

学校の部室でお菓子スイーツを食べていて何が悪い!

 

俺とはくちーはすぐさま職員室に行った。

 

「はくちー、お前、何かしただろう?」

「失礼な。私は…朝ちょっと寝坊をしただけだ」

 

職員室のドアの前に到着する。

つばをごくりと飲み込む。

 

「失礼します」

 

職員室のドアをガラガラと開ける。

大勢の教員。みな机に向かってもくもくと何かしている。

テストの採点か?いやだなぁ、もう。

そのうちの1人が手招きする。

 

「あ、まっちょ先生」

 

呼び出しの主は、どうやら先生のようである。

まっちょな肉体をしたまっちょな先生。

その外見から、学生は彼の事をまっちょ先生と親しみをこめて呼ぶ。

鎮守府肉体改造研究所からアドミラル学園に出向してきた先生である。

この学園は、色んな分野のトップ実務家を教員として招聘しているのだ。

まっちょ先生の前に行く俺とはくちー。

 

「いや、君達を呼んだのは、ほかでもない。お菓子部とスイーツ部を廃部とする。

その代り…」

 

その代り…?なんだ?けいおん部にでも移れというのだろうか?声楽部とか?

何とかSOS団とか?

しかし、やっぱ廃部なのか…。もうお菓子を食べれないじゃないか…。

 

「君達2人で、わらびもち部を作って欲しい」

 

な、なんだ、何かものものしい部活名である。

 

「任務は、わらびもちを食べること」

 

「?」

 

ぽかーんとする俺。

隣を見ると、少し落ち着いた様子のはくちーがいる。

 

「それは、将来外交官になる上で…その、何か有利になるとか、

そういうのはあるんでしょうか?」

 

そうか、はくちーは将来、外交官になりたいんだっけ。

 

「うむ」

 

まっちょ先生がきりりとした表情で言う。本当かよ!わらびもち外交かよ!

ちらりとはくちーの顔を見てみる。

ルビーの瞳が少し輝いている。ちょっと待ってくれ。

そんなよく分からない世界に俺を巻き込まないでくれ。

 

「はい、よろしくお願いします」

 

頭を下げるはくちー。ちょっ、ちょっと待ってくれ。

いきなりOK出さないでくれ。

 

「一応、今日は廃部の話しだけしておいた。細かい話はまた今度行う。

今日はもういいぞ」

 

こうして俺とはくちーは、職員室を後にした。

ぽかんとしている俺。ちょっと嬉しそうなはくちー。

こうして俺たちは、わらびもち部という何だか訳の分からない部活に配属される事になってしまった。

 

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