第1話 あの日の記憶といつもの日常
ふと気が付いた時、自分が捕まっている事を理解するのにそう時間は掛からなかった。そして、何か既視感がある事にも気づいていた。自分を取り囲む黒い人影が四人おり、何か話している様に聞こえる。その内容は聞こえないが、自分をこれからどうするかでも話しているのだろう。
そこにドアを蹴破って入ってきた人物の顔を見て、自分は思わず息を呑んだ。その人物は自分の父親なのだから。そして、ここから先の展開がどうなるのか、自分は知っている。
――駄目だ、父さん。来ちゃ駄目だ!
そう叫びたいのに、声が出ない。父も何かを言っているが、やはり聞こえない。そして父はデュエルディスクを展開し、黒い影の人物達とデュエルを始めた。やがてそのうちの三人を倒す事はできたが、その時には手札も尽き、ライフも残り僅かしかなかった。
最後に残った黒い影の人物が笑った様に見え、その人物は自らのモンスターに命令を下す。
――やめろおおおおおおおおお!
自分はあらん限りの力で叫んだはずだった。なのに、やはり声は出なかった。次の瞬間、父の胸を黒影が召喚したモンスターが貫いていた。
ゆっくりとその場に崩れ落ちる父。自分は暴れながら父の許に行こうとしたが、両手足を縛られた状態では叶うはずもなかった。父は無念そうな表情を浮かべながら、こちらをじっと見つめる。そして、最後の力を振り絞る様にデュエルディスクからデッキを外し、その場に置く。
――ごめんな、
父の口元がそう動いた様に見えたが、その直後には父は動かなくなっていた。それから少し遅れてサイレンの音が聞こえてくる。それを聞いた黒影の人物は自分を放置してその場から逃走した――。
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あまりの衝撃に、目が覚める。眼前に広がるのは見慣れた自分の部屋の天井。その事にまずは安堵するが、それと同時に今度は腹部に鈍い痛みが走った。そしてその部分だけが重くなっている事にも気づく。ゆっくりと視線を腹部に向けると――。
「えへへ。おはよー、せっちゃんおにーちゃん!」
太陽の様にまぶしく明るい笑顔を見せる幼い女の子が馬乗りになっていた。こちらが気づいた事を確認すると、ぎゅーっと抱き付いてくる。
「なんでお前がオレの上に乗ってんだよ……
「だってだって、ねーねーがいくら起こしても起きないからね、ねーねーがぼくにやっていいよーって言ったの!」
にぱー、と擬音が付きそうなくらいの笑顔を見せる少女に悪気という言葉は一切無い。彼女はあくまで傍にいる人物に言われた通りにやっただけなのだから。自分はその元凶に向けて口を開く。
「なんでもいいけど早く優希をどけてくれ、
「ほら優希、刹那がいつまでも起きれないでしょ。離れなさい」
「はーい!」
自分、
先程まで刹那に乗っていた少女の名は
一方の観月舞は背中まで伸ばした水色の髪を靡かせ、髪と同じ色の瞳は気の強さを表す様に強い輝きを放っている。学校指定の制服のスカートからは、なめらかで白く瑞々しい太ももが覗く。
二人は血を分けた姉妹で、朝はいつも二人でこちらを起こしにくる。いい加減、高校生になるのだからどうかと思うが、朝に弱い刹那からすると母親が止めてくれるのを待つしかないのだが、その気配は無い。なので、現状では諦めざるを得なかった。
「
「わーったっての……」
目覚めるまで見ていた夢のせいか、頭がかなり重い。また、あの時の夢を見たのか。刹那はそんな事を考えながら、パジャマを脱ごうとする。
「な、ななな……! いきなり脱ぐな、バカー!」
「おぶっ!?」
顔を真っ赤にした舞が枕を顔面に投げつけ、優希を隠す様に部屋から出て行った。枕の直撃を受けた刹那はむくりと起き上がり、うだつの上がらない顔でもう一度パジャマを脱ぐ。
真新しい制服に袖を通し、鞄を手に取ると刹那は部屋から出てリビングに向かう。そこで母、渚の作った朝食を平らげた後、舞と優希を伴ってある場所へ向かう。そこは昔父が使っていた部屋。そこには現在、仏壇が置かれている。刹那と舞は線香をあげると、手を合わせる。優希も二人の真似をして手を合わせる。
(行ってくるぜ、父さん)
目を開くと、柔らかく笑っている父、
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通学路の途中、刹那達が通っている学校とは別の方向にある小学校に通っている優希と別れ、二人は肩を並べて学校への道を歩いていく。その道中、舞がふと口を開いた。
「そういえば、今朝うなされてたけど大丈夫なの?」
「なら優希を使うなよな……」
「しょうがないじゃない。幾ら起こしても起きないんだから」
はぁ、とため息を吐くと刹那は重い気持ちになりつつ今朝、自分が見た夢の内容を告げた。舞は複雑そうな表情を見せる。
「そう。また、あの時の夢を見たのね」
「ああ。正直、もう勘弁して欲しいけどな」
あの夢を見たのは今回が初めてではない。父が亡くなってから、一定の周期であの夢を見る。初めの頃は多かったが、最近は見る事が少なくなってきている。それでもあれから四年が経とうとしているのだから、もういいのではないかと思わされるが。
「まだ、気持ちは変わらない訳?」
「ああ。父さんを殺した奴に復讐する。その気持ちは今も揺らいじゃいねぇよ」
しかし、自分にはあの人物が何者なのか、そもそも自分がどうして攫われたのかすら分からないままであった。父とあの黒い影の人物達の間で何かあったのか。それとも――。
「ほら、学校着いたわよ。暗い話はこれで終わりね」
舞に肩を叩かれ、見上げると徐々に見慣れてきた白い校舎が目に飛び込んでくる。
ここが二人で通っている私立奉花学園。ここ数年で増えたデュエルモンスターズの授業に力を入れている学校で、プロのデュエリストも何人か輩出していると聞いている。
二人は校門をくぐり、校舎内に向かう。今日もまた、いつもの一日が始まる。
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眠くなる授業をやり過ごしながら、昼休みを迎え、刹那と舞は屋上に行って一緒に弁当を広げる。その事をクラスメートにからかわれるのは未だに慣れないが、幼い頃からずっとそうしてきた言わば習慣に近いものをからかわれても困ってしまう。
そんな事を考えていると、弁当を食べる手を止めた舞がこちらを見ながら言った。
「そういえば、ミラからメール来てたわ。放課後にいつもの場所に行こうって。チビ二人も連れて」
「あー、そういや新しいパック出たんだっけ。いいぜ、OKって送っといてくれ」
「りょーかい」
舞はスマートフォンを取り出して返事のメールを打つ。送信を終えると、弁当の中身を再び突き始める。刹那も黙々と弁当を食べ進め、弁当の中身を空にする。
「さて、と。弁当も食った事だし、腹ごなしにデュエルでもするか?」
あらかじめ持ってきていたデュエルディスクを見せびらかすと、舞も同じ様にデュエルディスクを手に取る。
「そうね……ただ、時間があまりないからライフは4000ね」
「いいぜ、何だってよ」
二人は立ち上がり、デュエルディスクを装着して電源を入れる。すると、プレートの部分が展開しセットされていたデッキがオートシャッフルされる。そこから五枚の手札を手に取り、舞と距離を取る。彼女も手札を取り、既に準備は万端だ。
二人は視線を合わせると――。
『デュエル!』
綺麗に揃ったタイミングで始まりの言葉を口にした。
刹那:LP4000
舞:LP4000
デュエルディスクのランプが点灯する。つまり先攻になった事を意味する。刹那はそのまま五枚の手札を確認する。
「まずはオレのターンだな。うし、『熟練の黒魔術師』を召喚!」
現れたのは、漆黒の衣類に身を包んだ魔術師のモンスター。無機質な表情はじっと相手である舞を見据えている。
「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」
そして伏せられたカードのビジョンが浮かび上がる。舞はそれを確認すると、自らのデッキに手を掛けた。
「私のターン、ドロー」
舞は六枚となった手札をじっくりと注視している。そしてこちらの顔を見てくるが、刹那はあくまでポーカーフェイスを貫く。
お互い、幼い頃からずっとデュエルしてきているので手の内は知り尽くしている。少しでもそれを読まれないためにも、ポーカーフェイスは必須事項だ。
「私は『キラー・ラブカ』を召喚」
現れたのは、体長が二メートル程もある細長い、鮫のモンスター。その攻撃力は700と貧弱だが、墓地に送られてから真価を発揮するモンスターだ。
「『キラー・ラブカ』をリリースして『シャークラーケン』を特殊召喚するわ」
『キラー・ラブカ』が光の粒子となり、続けて現れたのは、鮫とイカが融合した様な不気味なモンスター。うねうねと触手が動いている。
「『シャークラーケン』で『熟練の黒魔術師』を攻撃よ」
舞のモンスターがこちらのモンスター目がけてその触手を伸ばす。刹那はすぐにリバースカードを翻した。
「リバースカード発動! 速攻魔法、『ディメンション・マジック』!『熟練の黒魔術師』をリリースして手札から『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」
『熟練の黒魔術師』は『シャークラーケン』の攻撃が当たる寸前で粒子となって消滅する。すると今度は細い棺が出現し、その中から黒い魔法衣に身を包んだ精悍な顔つきの魔術師が出現する。このモンスターこそ、刹那のデッキを支えるエース。
「『ディメンション・マジック』の効果で『シャークラーケン』を破壊!」
『シャークラーケン』が突如として飛来した雷に射抜かれ、消滅する。舞は表情を変えずに次の手に移った。
「メインフェイズ2。墓地に送られた『シャークラーケン』を除外して『水の精霊アクエリア』を守備表示で特殊召喚」
現れたのは、透明感のある衣類に身を纏った女性の精霊。彼女の出現に、刹那は僅かに眉を顰めた。
「『シャークラーケン』が破壊されるのも、最初から織り込み済みって奴かよ」
「そういう事。私はこれでターンエンドよ」
「オレのターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズ時に『アクエリア』の効果発動。『ブラック・マジシャン』を守備表示に変更するわ。これで次の私のターンまで、表示形式の変更はできない」
「まあ、そうなるよな。『霊滅術師カイクウ』を召喚!」
現れたのは、梵字を身体に刻み込んだ不気味な姿の僧侶。
「『カイクウ』で『アクエリア』を攻撃!」
僧侶が何やら念仏を唱えると、手にしている念誦が鈍い光を放つ。しかし、これは防がれる事を前提とした攻撃だ。何故なら――。
「墓地の『キラー・ラブカ』の効果発動。水族モンスターが攻撃対象になった時墓地のこのカードを除外。攻撃を無効にして攻撃モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせるわ」
こうなるのが分かっているから。舞は二重の防衛線を張って、このターン『アクエリア』を残す事を目的としている。理由は察しが付いているが。
「ターンエンドだ」
「私のターン、ドロー。『ツーヘッド・シャーク』を召喚」
現れたのは、二つの頭を持つ獰猛な鮫。これで舞のフィールドにはレベル4のモンスターが二体揃った。
「来るか……」
「私はレベル4の『アクエリア』と『ツーヘッド・シャーク』でオーバーレイ!」
二体のモンスターが水色の光となり、舞のフィールドに出現した時空の渦に吸い込まれていく。
「吠えろ未知なる轟き! 深淵の闇より姿を現せ! エクシーズ召喚! 来なさい、『バハムート・シャーク』!」
現れたのは、巨体を持つ鮫のモンスター。海の獣と呼んで海獣と呼べそうなその風貌は見る者を圧倒する存在感がある。このモンスターこそが、舞のエースモンスター。
「『バハムート・シャーク』で『ブラック・マジシャン』を攻撃!」
『バハムート・シャーク』が黒魔術師に向けて音波攻撃を飛ばす。黒魔術師はその攻撃にもがき苦しみながらゆっくりと体を倒し消滅する。
「メインフェイズ2。『バハムート・シャーク』の効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてエクストラデッキからランク3以下の水属性エクシーズモンスターを特殊召喚する。私は『ツーヘッド・シャーク』を取り除いてエクストラデッキから『No.47ナイトメア・シャーク』を特殊召喚!」
現れたのは、今にも獲物を食いちぎろうと荒い動きを見せる興奮状態の鮫。しかし現在はバトルフェイズを終えているので攻撃される心配は無い。
「『ナイトメア・シャーク』を特殊召喚した時、手札からレベル3の水属性モンスターをこのモンスターのオーバーレイ・ユニットにできる。私は『ハリマンボウ』を選ぶわ」
手札からカードを一枚抜き取り、『ナイトメア・シャーク』のカードの下にセットする。すると、『ナイトメア・シャーク』の周りに光の輪が一つ浮かび上がる。
「カードを一枚セットして、ターンエンドよ」
「オレのターン、ドロー」
刹那はドローしたカードを確認しながら、舞の方を見る。先のターンの攻撃で『カイクウ』に攻撃してダメージを与える事ができたにも関わらず、舞は『ブラック・マジシャン』を破壊しに来た。刹那のフィールドに『ブラック・マジシャン』を残すと厄介なのを知っているからだろう。目先の僅かなダメージに囚われず、冷静に状況を見渡せる。それが観月舞というデュエリストだ。
「なら、『カイクウ』をリリースして『ブラック・マジシャン・ガール』をアドバンス召喚!」
『カイクウ』が光となり、変わりに現れたのは露出度の高い魔法衣に身を纏った愛らしい女の子の魔術師。先程までフィールドにいた『ブラック・マジシャン』の唯一の弟子であり、師の力を受け継ぐ資格を持つ者である。
「墓地に『ブラック・マジシャン』がいるから攻撃力300ポイントアップ! 更に装備魔法、『魔術の呪文書』を発動。これで攻撃力を700ポイントアップさせ、攻撃力3000だ!」
『ブラック・マジシャン・ガール』が手元に出現した呪文書を読み、新たな魔術を会得する。それによって攻撃力が上昇し、師を超える攻撃力を備える事となる。
「まだ行くぜ。魔法カード『賢者の宝石』発動! 『ブラック・マジシャン・ガール』がいる時、デッキから『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」
「っ……」
舞の表情が苦いものに変わる。刹那のフィールドに揃う、マジシャンの師弟。『ブラック・マジシャン・ガール』は師匠の出現に、嬉しそうな表情を見せる。
「行くぜ。『ブラック・マジシャン』で『ナイトメア・シャーク』を攻撃!」
『ブラック・マジシャン』が杖を掲げ、呪文を唱える。杖先に魔力が溜まっていくが、突如として巻き起こった津波にその攻撃は中断される。
「罠カード、『ポセイドン・ウェーブ』! 攻撃を無効にして私のフィールドに海竜族モンスターが二体いるから、1600のダメージよ」
津波の余波が刹那を飲み込み、そのライフを削っていく。それでも刹那は怯むことなく続ける。
「『ブラック・マジシャン・ガール』で『バハムート・シャーク』を攻撃だ!」
墓地に眠る師の力、そして独学で得た新たな魔力を使役して、魔術師の少女は獰猛な鮫の怪物に自らの力をぶつけていく。鮫の怪物は僅かな抵抗を見せるも、あっさりと破壊される。
「うし、カードを一枚セットして、ターンエンドだ」
刹那:LP4000→2400
手札:0枚
舞:LP4000→3600
手札:1枚
「私のターン。……これで決める」
「っ……!」
その台詞が出た時、それは舞が勝利を確信した時だという事を刹那は良く知っている。
「あんたのフィールドにモンスターが二体以上いる時、『パンサー・シャーク』をリリース無しで召喚。そして『パンサー・シャーク』がフィールドに存在する時、『イーグル・シャーク』を特殊召喚できるわ」
続けざまに現れたのは、黄色の鮫と頭部に嘴の様な部分を持つ茶色の鮫。この二体のレベルは5。つまり……。
「レベル5の『パンサー・シャーク』と『イーグル・シャーク』でオーバーレイ!」
二体のモンスターが光となって渦に吸い込まれていく。
「海よ切り裂け! 雄々しき鮫の巣よ! 来なさい、『シャーク・フォートレス』!」
現れたのは、もはや鮫ではなく巨大な要塞と言った方がいいであろうモンスター。空中に浮遊するその姿は威風堂々としている。
「『シャーク・フォートレス』の効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使い、私のモンスター一体に二回攻撃を可能にさせる。『パンサー・シャーク』を取り除いて『ナイトメア・シャーク』を選択するわ」
「げっ……」
「更に『ナイトメア・シャーク』の効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、私のモンスター一体を選択。そのモンスター以外の攻撃権を放棄する代わりに選択したモンスターはダイレクトアタックが可能になるわ。私は『ナイトメア・シャーク』自身を選択。更に墓地に送った『ハリマンボウ』の効果で『ブラック・マジシャン』の攻撃力を500ポイントダウンさせる」
『ハリマンボウ』から放たれた針が『ブラック・マジシャン』に突き刺さり、毒が回ったのか力を失っていく。しかし、今の舞からすればそれは関係無い。
「これで決める! 『ナイトメア・シャーク』でダイレクトアタック!」
主の命に従い、『ナイトメア・シャーク』が刹那の魔術師師弟を無視して刹那本人に攻撃を仕掛ける。その攻撃が直撃する前に、刹那はリバースカードを翻した。
「罠カード、『魔法の筒』発動! 攻撃を無効にしてその攻撃力分のダメージを相手に与えるぜ!」
「っ!」
『ナイトメア・シャーク』の攻撃が吸収され、逆に跳ね返される。これで舞のライフは大きく削られた。それでも攻撃権は残っている。
「……『ナイトメア・シャーク』でもう一回ダイレクトアタックよ」
今度はこの攻撃を防ぐ手立ては無い。刹那は大人しくその攻撃を受け入れた。これでライフは残り500を切った。
「仕留め損ねたわね……ターンエンドよ」
苦虫を噛み潰した様な顔で、舞がエンド宣言をする。刹那がデッキに手を伸ばしたその時、鐘の音が辺りに響き渡った。その音に、刹那と舞は我に返る。
「……おいおい、せっかくいい所だったのにもう昼休み終わりかよ」
「仕方ないわね。放課後のショップで仕切り直しましょ。出来れば、だけど」
舞も苦笑しながらデュエルディスクの電源を落とす。刹那は名残惜しそうにデッキの一番上のカードを確認する。そのカードは『ワンショット・ワンド』。
装備した魔法使い族モンスターの攻撃力を800ポイントアップさせ、更に戦闘を行ったダメージ計算後にこのカードを破壊する事でカードを一枚ドローできる装備魔法だ。
そこで刹那は更にデッキからカードをドローする。そのカードを見た刹那は、一気に残念な気分になった。
「……あのまま続けてれば、勝ってたのかよ……」
ラストドローは『光と闇の洗礼』。『ブラック・マジシャン』をリリースして『混沌の黒魔術師』を特殊召喚する速攻魔法。
『ワンショット・ワンド』で『ブラック・マジシャン』か『ブラック・マジシャン・ガール』どちらかを強化して攻撃させ、効果で『ワンショット・ワンド』を破壊してドロー。そして最後は『光と闇の洗礼』で特殊召喚した『混沌の黒魔術師』でとどめ、という流れになっていたはずだった。
時間が憎いと思いつつ、刹那はディスクの電源を落として先に教室に向かう舞の後を追うのだった。
初めまして。yun1と申します。今回、初めてこちらの方で小説を投稿させていただきます。
既にタグの方でも明記していますが、この作品では原作キャラは一切登場しない、オリジナルの世界となっております。オリカも登場しますが、基本的にはOCGのカード中心となります。
まだまだ未熟もいいところですが、一人でも多くの方に読んでいただければ幸いです。
それではまた次回にてお会いしましょう。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。