それはまだ優希が今より小さい頃の事だった。兄の昴と二人で買い物に出かけた際の話。兄に手を引かれながらショッピングモールを出ようと歩いていると、特設ステージでやっている催し物が目についた。立ち止まって様子を覗き込むと、兄が懐かしそうな声で言う。
「へー、ヒーローショーか。昔はよく見に行ってたなー」
ステージでは不気味な風貌の怪人と赤、青、緑、黄色、ピンクの体をしたヒーローが対峙していた。兄が見ていたものなら自分も見てみたい。その欲求が沸き起こるのに時間はかからなかった。
「にーに、あれー」
くいくいと兄の手を引っ張り、ステージを指さすと兄は不思議そうな顔を見せた。
「ん? 優希も見たいのかい?」
「みるー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねながらニコリと笑うと、兄もつられるように笑う。
「優希は元気な子だからね。気に入るかもよ?」
兄に手を引かれながら、ステージの前までやってきた。とは言っても先客が沢山いるので後ろの方で見ることになるのだが。
「わぁっ……!」
そこで繰り広げられる光景に、優希は視線を奪われた。
どんな窮地に陥っても決して諦めずに悪に立ち向かい、そして打ち破るヒーローの姿に優希は夢中になって声援を送っていた。その様子を兄がにこやかに見ていた事はもちろん知らない。
それから優希は毎週の様にヒーロー番組を見るようになり、現在に至る――。
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「いっくよー、クーくん! ぼくのターン!」
デュエルディスクのライフカウンターに4000の文字が点灯する。小学生が対象となるジュニアルールでは、ライフポイントは4000で始まるためだ。通常ルールと比べてそれ以外の変更点は特に無いのだが。
クリフは優希が手札のカードと睨めっこする様を見つつ、傍で観戦している姉のミラの方をちらりと見る。姉の視線はいつもの優しいものではなく、怖い視線になっている。
普段は優しくて大好きな姉なのだが、デュエルに関する事は厳しい。今日も負けてしまうと大嫌いな野菜のフルコースになってしまうかもしれない。それだけは避けなければならない、とクリフは首をぶんぶん振った。
「みゅ? どーしたのクーくん?」
「え、あ、な、なんでもないよ!」
「そーなの? じゃあ行くよー。ぼくは『
バチバチと優希のフィールドに青白い稲妻が走り抜ける。その中から、青と黄色の体をした勇ましい姿の戦士が現れる。
これがヒーロー大好きな優希が使う、E・HEROだ。
「カードを一枚セットして、ターンエンドなんだよっ」
優希が最初のターンにモンスターを守備表示で召喚する事は殆どない。守備力が高い『E・HEROクレイマン』を出すときくらいだ。
「ボクのターン、ドロー」
クリフはカードをドローして、手札を確認する。初手は悪くない。むしろ、最初から飛ばすことだってできる。クリフは手札のカードを抜き取ってディスクにセットする。
「ボクは『
現れたのは、肩にライオンのレリーフを持つ小さなロボット。
「『ライオ』のこーかを発動するね。手札からSDロボか『オービタル7』を一体特殊召喚できるよ。『オービタル7』を特殊召喚!」
続けて現れたのは、間抜けな顔に見えるロボット。現れると同時にクリフへ向かってビシッと敬礼してみせた。
「魔法カード、『タンホイザーゲート』を発動するよ。このカードは攻撃力1000以下の同じ種族のモンスター二体のレベルを、足した数字にするんだよ。4足す4は8! だからレベル8になるんだよー」
「わ、わ、クーくんのエースがいきなり来るの?」
「いっくよー、優希ちゃん! レベル8になった『SDロボ・ライオ』と『オービタル7』でオーバーレイ!」
クリフのフィールドにいたモンスター二体が茶色の光となって不可思議な空間に吸収される。空間から光が溢れ出したかと思うと、一つの影が現れた。鋭いフォルムのドラゴンの影だ。
「あれは、ミラの『銀河眼の光子竜』!?」
優希の姉である舞が声を上げる。その隣にいる優希の兄、昴もじっと戦況を見つめている。ミラとメイレンは何故か苦笑いを浮かべていた。
「きらめく銀河よ! きぼーの光となってボクのしもべに宿れ! ガレキの化身、ここに降臨! いくよー、『
鋭利なフォルムの影がどんどん小さくなっていく。いや、横幅は少しずつ膨らんでいるといった方がいいか。そして現れたのは――。
「あ、ら?」
舞が拍子抜けした様な声を漏らす。クリフのフィールドにいたのは、ガラクタで出来た機械の竜だった。
様々な廃品が組み合わさり、お腹の部分にある太鼓が強い自己主張をしている。その双眸はガラクタで出来ており、およそミラの『銀河眼』とは似ても似つかないものだった。
「クーくんの『廃品眼』だー!」
優希がぴょんぴょんと飛び跳ねる。クリフも召喚できた嬉しさで一緒にジャンプするが、姉の視線に気づいてやめた。なんだか怖かった。
「ぼ、ボクは『廃品眼』で『スパークマン』を攻撃するよー!」
『廃品眼』がその口を大きく開けると、ガラクタの山が雪崩のように『スパークマン』に迫る。しかし優希は慌てる様子を見せずに伏せていたカードを発動させる。
「ロボットかいじゅーにぼくのヒーローは負けないんだよっ。罠カード、『ヒーローバリア』を発動! がきーん!」
『スパークマン』の眼前に出現したバリアが『廃品眼』の攻撃を受け止める。クリフの手札ではこれ以上何もできないため、バトルフェイズはおろかターンそのものを終了せざるを得なくなった。
「ぼくのターンだねっ」
優希は『廃品眼』を前にしても臆した様子は無い。これまで何度も対峙している慣れもあるのだろうが、何よりこのデュエルを楽しんでいるのが笑っている表情から窺える。
それが今のクリフには少し羨ましかった。
「よーし、今度はぼくの番なんだよっ。手札から『融合』を発動! 『スパークマン』と手札の『エッジマン』をユナイト! 『E・HEROプラズマヴァイスマン』をユナイテッド召喚するよっ」
二人のヒーローが空に出来た歪みの中に入る。その中から現れたのは、筋骨隆々となった『スパークマン』といえるモンスター。
「『プラズマヴァイスマン』の効果を発動するよ。手札を一枚捨てて相手の攻撃表示モンスターを一体破壊できるんだよっ。『E・HEROネクロダークマン』を捨てて『廃品眼』を破壊するよ! 優希サンダーボルト!」
『プラズマヴァイスマン』が雷の槍を作り出し、『廃品眼』目がけて投擲する。雷の槍は寸分の狂いもなく『廃品眼』の腹部に突き刺さり、電流を流し込む。『廃品眼』はショートを起こしたのかあちらこちらから煙を上げ、崩れ落ちた。
「『廃品眼』は無敵だよー! 『廃品眼』の効果発動! オーバーレイユニットのあるこのカードが破壊された時、墓地のSDロボを除外することで『廃品眼』は何度でも復活できるんだから!」
「えへへっ、知ってるもん」
本当にガラクタの山と化した『廃品眼』のパーツが浮遊し、組み合わさっていく。腹部の太鼓が最後に合わさると、元の姿になった機械の竜がいた。
「一回がダメならもーいっかい! 『プラズマヴァイスマン』の効果発動! 今度は『エレメンタルチャージ』を捨てて『廃品眼』を破壊するよー! 優希電撃波!」
『プラズマヴァイスマン』が再び雷の槍を作り出し、『廃品眼』に投げつける。先程と同じ光景が繰り返され、クリフも負けじと対抗しようとするが。
「あう、『廃品眼』の効果使えないや……」
「えへへっ。オーバーレイユニットが無いもんね。これでクーくんにダイレクトアタックできるっ。『プラズマヴァイスマン』でクーくんにダイレクトアタック! 優希ビクトリウムブレイク!」
『プラズマヴァイスマン』が今度は雷の剣を作り、クリフに切りかかる。
「あうー!」
攻撃を避ける術を持たないクリフは受けるしかない。これでライフは一気に半分以下になってしまった。
「ターンエンドなんだよっ」
クリフ:LP4000→1400
手札:3枚
優希:LP4000
手札:0枚
ちらりと姉の方を見ると、「何してるのよ?」と言いたげな顔をしていた。このまま負ける事はできない。それに手札の数ではクリフが上だ。反撃するチャンスはある。
「ボクのターン! 『SDロボ・モンキ』を召喚するよー」
ポン、と可愛い音を立てて現れたのは小さなサル型のロボット。
「召喚に成功したから、『モンキ』の効果を発動するね。手札から『SDロボ・エレファン』を特殊召喚!」
続けて現れたのは、二足歩行の巨大なロボット。両腕には武器を装着している。
「『エレファン』の効果を発動するね。一ターンに一度、他のSDロボのレベルを8にできるよ。『モンキ』のレベルを8にして、二体でオーバーレイ!」
レベルアップした『モンキ』とレベルアップに貢献した『エレファン』が時空の渦に吸収されていき、爆発を起こす。
「きらめく銀河よ。もう一回きぼーの光となってボクのしもべに宿って! ガレキの化身、ここに復活! エクシーズ召喚! 『廃品眼の太鼓竜』!」
再度出現する、ずんぐりとしたガラクタの竜。今度はその力を惜しげなく使える。
「『廃品眼』の効果発動だよー! オーバーレイユニットを一つ取り除いて、次の優希ちゃんのターンのターン終了時まで1000ポイントアップさせるよ!」
『廃品眼』が浮遊していた光を吸収すると、その力を増幅させる。これで攻撃力は4000。そう簡単には破られない数値だ。
「『廃品眼』で『プラズマヴァイスマン』に攻撃!」
『廃品眼』がガレキの山を吐き出し、『プラズマヴァイスマン』をあっという間に呑み込んでいく。ガレキに流された『プラズマヴァイスマン』はそのまま押しつぶされたのか、ガレキの山と一緒に消えていた。
「カードを一枚セットして、ターンエンドだよ」
クリフ:LP1400
手札:2枚
優希:LP4000→2600
手札:0枚
「ぼくのターン、ドローだよ! ……やったやった! 手札にこのカードしかないとき、『E・HEROバブルマン』は特殊召喚できるんだよっ。守備表示で特殊召喚するね」
現れたのは、タンクを背負った小太りの戦士。
「『バブルマン』の召喚、特殊召喚、反転召喚に成功したとき、手札とフィールドに他のカードが無ければデッキからカードを二枚ドローできるよっ」
嬉しそうにデッキから手札を補充する優希。これで手札の枚数も並んだ。
「カードを一枚セットして、ターンエンドなんだよっ」
「ボクのターン!」
クリフはドローしたカードを確認すると、『廃品眼』に視線を移す。
「このままバトルいくよー! 『廃品眼』で『バブルマン』に攻撃!」
『廃品眼』が再びガレキの山を吐き出して『バブルマン』を呑み込む。しかし、今度は優希のリバースカードが翻った。
「何度やられても、ヒーローは必ず立ち上がる! 罠カード、『ヒーロー逆襲』を発動するよ!」
「あうっ!?」
「ぼくのE・HEROが戦闘で破壊された時、クー君はランダムにぼくの手札を一枚選んで、それがE・HEROだったら相手のモンスターを破壊して選択されたモンスターを特殊召喚するんだよっ。ぼくの手札は一枚だけ。『E・HEROネオス』なんだよっ」
「あうー!?」
空から白い光が走って、『廃品眼』を貫く。貫かれた『廃品眼』の腹部には大きな穴が開いており、『廃品眼』はそのまま崩れ去る。そして白い光の中から正義のヒーロー、ネオスが優希を守る様に守備表示で出現した。
「でもでも、次は『廃品眼』の効果を使うよー! 墓地の『モンキ』を除外して『廃品眼』を特殊召喚! 特殊召喚した時に墓地のSDロボをオーバーレイユニットにできるから、『エレファン』をオーバーレイユニットにするよ」
バラバラになった廃品が再び組み合わさり、竜の機械の姿を象る。何度も復活するロボットと諦めないヒーローの対決になっていた。
「『廃品眼』で『ネオス』を攻撃するよー!」
何度目になるか分からない、『廃品眼』の攻撃。『ネオス』は何とか防ごうとするもガレキの山には勝てずに消滅していく。
「『ネオス』ー!」
優希が手を伸ばすも、ネオスは蘇らない。それでも優希の目は諦めていない。
「カードを一枚セットして、ターンエンドにするね」
「今こそ、ぼくとネオスが一つになるときなんだよっ。待っててねネオス。ぼくのターン!」
優希は勢いよくカードをドローすると、そのカードをすぐに発動させた。
「魔法カード、『ホープ・オブ・フィフス』を発動! 墓地から『ネクロダークマン』、『スパークマン』、『バブルマン』、『エッジマン』、『プラズマヴァイスマン』を選んでエクストラデッキに戻る『プラズマヴァイスマン』以外をデッキに戻してデッキからドローするけど、ぼくのフィールドにカードが無いからドロー枚数は三枚になるよ!」
一気に三枚のカードを手中にする優希。恐らく、その三枚が優希の運命を握ることになるだろう。それらを慎重に確認していく。張りつめた空気が流れる中、それを打ち破ったのは優希だった。
「えへへっ。応えてくれたのかな? ぼくは『N・グランモール』を召喚!」
現れたのは、肩にドリルを装着した小さなモグラのモンスター。そのバウンス効果は今なお強力だ。
「まだだよー! ぼくは『ミラクル・コンタクト』を発動! フィールドから『グランモール』、墓地から『ネオス』をデッキに戻してネオスを進化させるんだよっ」
『ネオス』と『グランモール』が優希のデッキに戻っていくと、優希のデッキが光り輝く。その輝きの中で優希はデュエルディスクでXの文字を描く。
「いっくよー! エクシード、エーックス!」
優希のフィールドに、茶色の体色を持ち、黒ずんだ鎧を身に着けたヒーローが現れる。右腕は巨大なドリルになっており、回転させつつ『廃品眼』に突き付ける。
「エクシード召喚! 『E・HEROグラン・ネオス』!」
これがネオスを進化させる、コンタクト融合だ。扱いこそ難しいが、効果は強力なものが揃っている。
「『グラン・ネオス』の効果発動! 『廃品眼』を手札に戻すよー!」
もちろん、エクシーズモンスターはエクストラデッキから呼び出されるモンスターなので、エクストラデッキに戻る。これでは『廃品眼』の蘇生効果が使えない。クリフは伏せていたカードをリバースさせる。
「罠カード、『地霊術―「鉄」』を発動だよ! 優希ちゃん、チェーンある?」
「みゅ? ないよー!」
「じゃあもう一枚のリバースカードも発動! 『異次元からの埋葬』! この効果で除外されている『モンキ』と『ライオ』を墓地に戻すよ。そして『地霊術―「鉄」』の効果発動!ボクのフィールドの地属性モンスターをリリースすることでリリースしたモンスター以外のレベル4以下の地属性モンスターを墓地から特殊召喚するよ! ボクは『ライオ』を守備表示で特殊召喚!」
狙われていた『廃品眼』がリリースされ、墓地から小型のライオンロボが復活し、クリフを守る。エースは失ってしまったが、これで攻撃は凌げるはず。
「よーし、ヒーローの怒涛の反撃なんだよっ。『グラン・ネオス』で『ライオ』を攻撃! 優希セイバー(ドリル)!」
『グラン・ネオス』がドリルを地面に突き刺すと、床が爆発したかのような衝撃が起こり、衝撃波が発生する。衝撃波は『ライオ』をあっという間に捉えて破壊していく。
「ううー、でもこれで――」
「これで決める! なんだよっ。速攻魔法『コンタクト・アウト』発動! 『グラン・ネオス』をエクストラデッキに戻して、デッキから『ネオス』と『グランモール』を特殊召喚!」
『グラン・ネオス』がエクストラデッキに戻ると、優希のデッキが再び輝いて『ネオス』と『グランモール』の二体が出現する。それが意味するものは――。
「あう? ボク、負けちゃったの?」
「えへへっ。こんかいはぼくの勝ちだね! 『グランモール』で『ライオ』を攻撃して効果発動、互いに手札に戻すよ。そして『ネオス』で攻撃! 優希ビクトリウムシュート!」
『グランモール』が『ライオ』に飛びかかり、その力でお互いに消滅する。そして『ネオス』が地を蹴って大きくジャンプし、必殺の拳をクリフに炸裂させる。
「あうーーーーーーー!?」
負けてしまった。それすなわち、野菜のフルコースが確定した瞬間でもあった。
クリフ:LP1400→0
「わーい! 勝ったー! しょーりのぶいっ」
嬉しそうにジャンプし、ブイサインを見せる優希。
「優希ー! やっぱり優希は強い子だよー!」
「にーにー!」
「全く……」
優希の兄、昴が優希を思い切り抱きしめていた。優希も嬉しそうにそれを受け入れている。優希の姉である舞は呆れながらも、二人を見守っている。
そんな中、クリフは姉のミラの方を見る。その表情は変わらず怖いままで、何処からどう考えても野菜のフルコースだ。そう思うと、我慢できなかった。
「う……うあーーーーーーん! 野菜のフルコースやだよー!」
「うええ!? クーくん!?」
優希がびっくりした表情で駆け寄り、クリフの頭を撫でてくれる。舞や昴も何が起きたのかという感じで呆然としている。
「く、クリフ様。落ち着いてくださいっ」
メイレンがたまらずクリフを宥めるが、それでも一度決壊した感情は収まらない。そんな中、舞がミラに近づくのが見えた。
「ミラ、あんたクリフ君負けたら野菜のフルコース食べさせる気だったの?」
「ち、違うわよ!?」
「じゃあなんでクリフ君があんなに泣いてるのよ? 一度負けたくらいで、ねぇ」
「だ、だから……」
舞の詰問にミラはしどろもどろになっている。やっぱり、野菜のフルコースだったんだとクリフは更に泣く。すると、メイレンがふわりと抱きしめてくれた。
「大丈夫ですよクリフ様。今日のお夕飯を作るのは私です。野菜のフルコースにはしませんよ」
「……ほんとう?」
「はい。今日はがんばったので、クリフ様の好きなステーキですよ」
ステーキ。その一言でクリフの気持ちは一気に晴れた。
「やったー!」
「ですけど、ちゃんと野菜も食べないとだめですよ? 野菜を食べないと大きくなれませんから」
「……あいっ!」
くしゅくしゅしながらも、クリフはしっかりと頷く。メイレンはちらりとミラの方を見る。
「お嬢様、よろしいですよね?」
「……それでいいわよ。それに言っておくけど、本当に野菜のフルコースにする気は無かったからね。そこだけは誤解しないでよ」
「分かってますよ。さ、クリフ様。残りの授業も頑張ってくださいね」
「あいっ! ……ミラおねえちゃん」
「ん?」
クリフはミラと正面に向き合う。姉を困らせてしまったのは自分なのだから、謝らないといけない。それに負けてしまったのは事実なのだから。
「……ごめんなさいっ」
「……お家に帰ったらどこがダメだったか教えてあげるから」
「えへー」
どんなにデュエルの事で厳しくても、やっぱり姉は優しくて大好きだ。
「クーくん、早く早くー!」
優希がぶんぶん手を振っている。どうやらまだ終わっていないクラスメートのデュエルを一緒に見ようと言っているようだ。
「今行くよー、優希ちゃん!」
クリフは走り出す。次に授業参観がある時は絶対に優希に勝って、お腹いっぱいのステーキを食べさせてもらおう。そう、心に誓いながら。
またしても時間が開いてしまいましたがお久しぶりです。
これで番外編はひとまず終了となりますが、本編の補完的な意味でこれからちょくちょく書いていく事になると思うので、その際はまたお付き合いください。
次回から本編再開です。年内には更新したいですが……どうなるやら