仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました)   作:猫つまみ

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美少女エルフ登場

 取り敢えず二人だけでの初戦を負えた訳なのだが、俺は思う。

「……ところ構わず触るな!!」

 気が付けば、そっと俺の尻尾とかを触るこの女(アマ)は、どうにかならないのだろうか?

「えー? 可愛いから良いじゃない。ね? ちょっとだけ! 駄目?」

 上目遣いで俺を見てくるとか……。

 

 

 

「それで? これからどうするんだ? たった百マリンで、何が出来る?」

 首をコトリと傾げる俺を見た砂紗は、両手をワキワキと動かしていた。

 頬も赤らめていて、明らかに首を傾げた俺に対して、【触りたい】衝動が起きているのだろう。

「お前……真面目に考えろよ!」

 この姿になって、何度目の「シャーー!」だろうか? もう数えるのも飽きた。

 

 ◇◇◇

 

 

「町へ行けば何か分かる気がするんだよなぁ―」

「そう……ね」

 そんなこんなで近くの町に来た俺と砂紗だったが、

 どうにも砂紗の様子がおかしい。

「人が怖いのか?」

 俺は誰かを気遣うなんて芸当出来ないから、率直に聞いてみた。

「う!!」

 一気に顔が青ざめて行く。やはりいじめられていた事が原因で、ちょっとした他人恐怖症になっているのかもしれない。

 

 

 ネットゲームにのめり込んだりする人全てが、そうではないのだろう。けれど、中には砂紗の様にネットの世界に逃げ込む……ネットの世界でしか居場所がない。なんて人は、多々ある。

 現実世界でいじめを受けていた砂紗にとって、このバーチャル世界は、どう映っているのだろ?

 

 けれども!

 

「なあ砂紗? お前、何の為にこのゲームやってるんだ?」

 ここで甘い顔……もとい、優しい言葉を掛けては、恐らく砂紗は何も変わらないのだろう。今まで通りネットの中にいても、ずっとあんな場所でNPCの娘と暮らしていたかもしれない。

 何も踏み出すに、一人で殻に閉じこもっているだけなのだろう。

 

 しかしそれでは、俺が困る。

 

 

 こんなログアウト出来ないという酷い状態な上に、自分の能力すらも把握出来ていない。オマケに、猫。

 

 ログアウト出来ないと知った時に初めて知り合ったのが砂紗。行き倒れてた俺を助けたのは砂紗。だからこそ、このまま止まったままでは困るのだ。

 

 

 

「ログアウト出来ない以上は、ここが現実世界の役割を果たす。それは分かるだろ?」

 無言でコクリと頷く砂紗。

「だったら、踏み出してみたらどうだ? ここにはお前をいじめるやつが居るのか? 居ないだろ? 何時までも逃げててちゃ、駄目なんだ。現実を見ろ!!」

 かなりキツイ事を言ってしまった感はある。でも……それでも俺は一緒に行動する以上、ジメジメとしてもらっては困る。

 

 

 ごめんな砂紗。

 

 心の中で謝り続ける。

 

 

 

 

 

「酒場かぁ……未成年だも飲める美味しいお酒あるみたいよ」

 砂紗は少し元気になったらしく、お酒の話しで盛り上がっていた。

 

 よし行くか。そう思って、四歩足の右前足だけを階段の一段目に置いたその時、何やら騒がしい声が聞こえて来た。

 

 

 

 

 

「……を……しろって……冗談……よ!」

 俺と砂砂はちょっと気になって、声のする方角――酒場の裏に行ってみた。

 すると――

 

「あんた達が手伝って欲しい。って言ったから、魔物退治手伝ったんでしょ!? それなのに、その後も付き合えって……下心見え見えなんですけど!?」

 叫び声の主は、太陽の光りが当たって少し黄色く見えてしまうが、おそらく銀髪なのだろうと思わせる程の銀。そんな銀髪は肩までに綺麗に揃えられている。そして大きな銀の瞳。

 何よりも、耳があれだった。

 尖っていて横に長い耳。あれは――

「エルフ?」

 この世界でのエルフは、ちょっとだけ癖が高いらしく、中々扱うのに難しいらしい。どんな癖なのかは、今は説明の仕様がない。

 

 癖が高いのは、戦闘の時なのだから。

 

 

 そんな理由からエルフを選ぶ者は余りおらず、ああいったエルフ自体、非常に珍しい分類なのかもしれない。

 あのエルフの女の子にちょっかい出してる人達は、エルフが珍しいからなのかもしれないが、顔が可愛いから!! これが一番の原因なのだろう。

 

「ねえ、クリス。どうする?」

 砂紗が俺の顔を覗き込む。

「……勿論、助けるさ。仲間が欲しいとかじゃなくて、困ってるんだから助けないと、猫のプライドが許さないよ」

 猫のプライド……かなり独りよがりな言い方になってしまったが、今は猫の姿。プライドがあるのかは分からない。それでも、猫だからこそ出来る事がある。

 

 そう思ったら、自然と足が動いた。

 

「おい。その子は、これから俺とパーティーを組む予定になってるんだ。邪魔しないでくれるか?」

 俺の後ろに、何時の間にかあのウサギが立っていた。それを見た砂紗は、ちょっとギョッとした様な顔をするが、このウサギが味方である事を知っているので、ホッとした様な顔を見せる。

 

「あ? 猫が何で喋って……」

 喋り切る前に、俺とウサギは悪どい顔でニヤリと笑う。

「ウサギさーん。出番ですよぉ~♪」

 ちょっと楽しそうに言う俺の言葉を合図に、ウサギは棍棒をブンブンと振り回し、男達の元へダイビング。

「「「えーー!?」」」

 女の子を取り囲んでいた男達が、一斉にすっとんきょうな声を上げるが、時既に遅し。

 

 ウサギの棍棒は、男達のお腹と足(正確には、弁慶の泣き所)を次々と叩いて行く。

 痛覚がある以上頭を叩くのは、ちょっとまずいかな? そう思ったから、頭だけは叩かなかった。

 

 

 ズタボロにされた男達は情けない声を出しながら、その場を去って行った。

 

 

 

 

 そんな俺達を見ていたエルフの美少女は……

「……凄いね?」

 ちょっとだけ笑う。

 

 太陽の光りがその顔に当たって、眩しく輝く。美少女だから、尚更綺麗に見えてしまう。

 

「うん? ああ。まあ……色々とな」

 ウサギはお辞儀をして、スゥと消えた。

 

「……っと、そうだ。勝手に仲間なんて言っちゃってごめんな? 君を助ける為に仕方なく……」

「仲間、良いよ?」

 俺と砂砂は、この子の言葉にちょっと驚く。

「貴方……可愛いし。私を裏切らない感じするもの」

 

 俺と砂砂はちょっとだけお互いの顔を見た後、ぷっと、小さく笑う。

「何?」

 何故笑われたのか、それが分からないエルフの美少女は、首を傾げた。

 

「いいや。……うん。宜しくな」

 俺は肉球を差し出す形で、握手を求める。

 銀髪の美少女はそんな俺の手を優しく握りながら、肉球の感触を堪能していた。

 

 

 握手だけなのに……そう思ったが、取り敢えずは仲間が出来た事だけを喜ぼう。

 

 

 

「私の名前は、エルサよ。宜しくね」

 満面の笑顔で自己紹介する彼女の髪には、何時の間にか夕陽になっていたオレンジ色の太陽が当たり、銀の髪を、より一層輝かせていた。

 

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