仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
ログアウト出来ない俺達の、ゲームオーバーの末路は、【死】ではなかった。けれど……生きたまま石化してしまう。
これはある意味で、死ぬよりも辛いのではないだろうか?
死ねば痛みや苦しみといった五感すら感じない。けれど生きたまま石化となると、痛みは分からないが、お腹は空くんじゃないのか? 喋る事を出来なければ、眠る事すらも出来ない。死よりも重い苦しみを味わう事になるのかもしれない。
砂紗もエルサもかなり顔色が悪かった。
「はあ。取り敢えず、ここを出よう」
この二人をずっとここに居させておくのは、恐らく、余り誉められた事ではないのかもしれない。
◇◇◇
地下鉄から出て、ステンドグラスのある部屋へ戻って来た訳だけど……。
「君は……ええっと、名前……」
俺は猫なので、かなり低い位置から話している事になる。
そんな俺を気遣ってなのか、このシスターの少女はスカートが汚れるのを気にも止めずにしゃがむ。
「ふふ。私は、マナです」
優しく俺の頭を撫でる。
後ろから、「ズルい!」「触りたい! モフりたい!」等聞こえてくるが、取り敢えず無視する。
「そっか。マナか……。君はこれからどうすんだ?」
マナは、何故かピタリと撫でる手を止める。
「ん?」
とうしたんだろう? ちょっと心配になって、顔を覗いてみると……。
俺は、ギョッとした。
「って、おい! どうしたんたよ!?」
シスターは、かなり震えていた。一体何があったのたろうか?
「ネズミ……が」
ん? ネズミ?? チューチュー鳴くあのネズミ? 俺は心の中で、ネズミという生き物を再確認する。
「この教会を出て行こうとすると、何処からかネズミが現れて、道を塞いでしまうんです。私……そのせいで、この教会から出られなくて……」
ガタガタと震えていたのでエルサを呼び、励ましてくれる様に頼む。
その一方で俺と砂紗は、考えていた。
「ねえ、どう思う? 普段なら……ログアウト出来る状態なら、何かのイベントって考えれば良いんだろうけど」
俺と同じ目線になる様にしゃがみながら話す砂紗の髪は、サラサラと隙間風に煽られていた。
「今の状態から考えると、バグの一瞬って可能性も高いんだよなぁ~」
右前足で喉元をポリポリをかく。そして、ワキワキとしていた砂紗の手を尻尾でピシャリと叩く。
「うー!」なんて、悔しそうにしながら涙目になる砂紗は、もの凄く可愛いかったりもするのだが、今は、ネズミ退治が大切だしな。
「ねえ? あのウサギさんに頼めない?」
「無理だな」
俺は砂紗の提案を、バッサリと切り捨てた。
「え!? 何で!?」
ウサギなら、何とかなるんじゃないの? そう言いたげな顔をしていますね? うん。理由を教えてあげよう。なんて、心の中でふんぞり反ってる俺が居たりするのは、秘密だったりする。
「まず、スピードが足らない。確かにあのウサギは速いかもしれないけど……ネズミは、かなりの数が予想される。大まかな動きが出来ないウサギでは、逆に返り討ちに合うだけだ」
俺の説明で納得したのかは分からないが、少なくともウサギでは駄目。これだけは分かったらしく、
「そっか……じゃあどうするの?」
首をコトリと傾げる様は、まさしく女神というべき美しさだった。
はっ! と、我に返る俺は、ブンブンと首がはち切れんびかりに首を振るう。
「簡単さ。ネズミ退治には、お猫様だろ? 沢山呼べば良いだけの話だよ」
ニヤリと猫らしからぬ不敵な笑みを浮かべる俺を見て、ちょっとだけ引きつき笑いをしていた砂紗。
そんなこんなで、まずはネズミ退治だな。