仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
シスターのマナという少女を仲間に加えた俺達は、この世界でも一・二を争う程大きな町【ミリオネリオン】を目指して、川を下っていた。
「これ……バナナボートってやつだろ?」
俺達は、近くにあった木の船をちょっとだけ拝借した。そしてそれに乗って、川を下っている訳なのだが……。
「どうしてバナナ?」
砂紗は片手を水の中に入れて、気持ち良さそうにしている。
そして俺らの乗ってる船は、微妙にバナナの形になっていて、頭の部分も綺麗にバナナの形を再現していた。
「気にしたら、負けだ!」
俺はそんなバナナボートの頭の部分に、二本足で立っていた。
「あの……この船を引っ張ってるあのペンギンさんは?」
マナは恐る恐るペンギンをチラ見する。
「ん? ああ。この川ってさ、流れが凄い遅いだろ? こんなのに身を任せてたら、何時着くのかも分かりゃしない。そこでだ!」
バナナボートを引っ張っていたペンギンは、近くの浅瀬で止まり、身体を縛っていた紐を器用にほどく。そして、ペコリとお辞儀をする。
「泳ぎの速いペンギンさんにご協力願った訳だ」
川の流れがすごく静かなので、俺の声の方が大きく聞こえてしまう。
辺りを見ると、太陽の光りを反射して綺麗なビー玉の様にキラキラと輝いている川の水の中には、沢山の魚が泳いでいた。
ヴァーチャル世界という事もあり、現実世界とは違うとても綺麗で透明な水だった。現実世界にもこういった川や海がない訳ではないのだが、見つける方が難儀な位だった。
それ程までにこのヴァーチャル世界は、夢の世界だった。
もっとも夢の世界なんてのは、ログアウト出来なくなるまで! の話しだけどね。
「でも、何でペンギンなの? イルカでも良いんじゃ……」
エルサはコトリと首を傾げる。銀髪の一本一本がとても細く、大きな瞳に似合っている。
小さな身長と相まって、とても可愛い美少女だ。
そんなエルサを見た俺は、一瞬だけどね。顔を赤くしてしまったよ。でも、気を取り直して、
「コホン! ……イルカの場合、身体大き過ぎてこの川だとキツいだろ? 何より、浅すぎて泳げないと思う」
猫の俺からすれば溺れてしまい兼ねない深さだが、人間のエルサ達からすれば、膝にも付かない程浅かった。
そして俺は……いや。俺達は、ペンギンを見た。
するとそのペンギンは……
何と、ボディービルのポーズを取っているではないか! しかも、何気に腕の筋肉が凄い。
「「「筋肉凄っ!!」」」
砂紗とエルサ、そして召還した俺ですら驚いてしまった。
そして、一番こうゆうのに慣れてなさそうなマナはと言うと……。
「素敵……」
ポッと頬を赤らめていたよ!!
「「「えーー!?」」」
流石に俺達は驚いてしまう。
「いや……趣味は、人それぞれだけどさ……」
引きつってしまう俺の顔。いや。俺だけじゃなくて、砂紗もエルサも、かなり引いていたよ。
ペンギンは、マナに見せると言わんばかりにドヤ顔で、次々とボディービルのポーズを取って行く。
「……世の中、分かんねぇなぁー……」
「……分からないわね」
「……分かりたくないよ」
未だにボディービルをし続けるペンギン。それを見て、頬を赤らめ続けるマナ。
そんな一人と一匹を見ながら夕日が沈んで行くのを、ただ待っている俺達だった。