仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
【ミリオネリオン】という町を目指して川下りしていたのに、まさか……
「滝とか聞いてねぇーー!」
バナナボートを引っ張ってるペンギンさんは慌てて滝に抗うかの様に、流れとは反対方向へと泳いでいてくれるのだが……段々その力がなくなっていってしまいには、俺達の方を見て『うん。無理。テヘ♪』って感じでウィンクしてた。
分かってはいたよ? 滝の力の方が強くて、やっぱり逆らえないって事位はね。だから、攻めたりはしないさ。
そんでもって俺達は、結局諦めた。
「落ちるね?」
「……私、落ちる前に貴方の肉球触りたかったわ」
どさくさに紛れて砂紗が言うけど、そんな手に引っ掛かる俺ではない。
「滝から落ちても無事なら、一回だけ触って良いよ」
こんな大きな滝に突っ込むんだ。下手するとゲームオーバーだろうさ。そんな事考えてたら遂に……
「「「「「あっ……」」」」
ボートに乗っていた誰もが、そんな一言を放った。
そのまま滝の下に、ダイビーーング!
その後の記憶は、俺にはなかった。
薄れ行く記憶の中……覚えているのは、マナのスカートの中の純白の何かが見えちやったり、落ちる瞬間に砂紗とエルサの二人の柔らかい何かが俺を挟んだ事だけだった。
◇◇◇
チュンチュン……。
ん? 何の声だ?
「にゃ~……」
眠い目をこすりながら、んーー! と、前身を少しだけ床に近づけて背伸びの様な事をした。
「ここは?」
ぴょんと、眠っていたであろうバスケットの様な籠ッポイ何かから飛び降りた。
「あれ? 皆は?」
俺はキョロキョロと部屋を見た。現実世界(リアル)では一般的な家の中って感じだよな? あちこちにぬいぐるみが置いてあって、古ぼけたタンスの上には何故か、マトリョーシカが置いてあった。
「お?」
窓が開いていたから、そこからひょいと飛び降りた――先には――
「げっ!」
俺の声に気づいた小さな女の子が上を向くが、時既に遅し。
「きゃっ!!」
俺は、その女の子の顔に全身をくっ付けてしまう。
「……」
「……」
少しの間だけ、間があったよ。
「えっと……」
女の子は、手探りで俺の身体を触る。
「……ごめん。今降りるよ」
「うん」
何とも言えない微妙な空気の中、取り敢えず女の子から降りた訳だけど。
黒髪のおかっぱ頭に、白を強調したエプロンを着ていた。子供らしく大きな瞳。髪と同じ漆黒だった。
「ごめんな? 大丈夫だったか?」
チリンと尻尾の鈴を鳴らしながら、少女の足元へ行って普通の猫みたいにスリスリしてみる。もっとも、喋ってる時点で普通という言葉が当てはまるのかは疑問だが……。
「ううん。大丈夫だよ。猫ちゃんは?」
少女は、俺の目線と同じになる様にしゃがむ。
「いや……大丈夫だ。悪いな。まさか人が居たなんて思わなくてさ」
ふるふると笑顔のまま首を左右に振る少女の髪は、漆黒なのに以外と明るく見えてしまう。
多分、太陽の光が当たっているせいだろう。
「あっ! そうだ。俺の連れ見なかったか? 三人なんだけど……」
そうだ! 彼女達を探さないと。慌てて少女に聞いてみる。
「えっと……シスターさん達なら、あっちだよ」
承知していますかが指をさした方には、俺の仲間の三人が仲良く何かをやっていた。
ホッとした俺は、ようやくこの村について聞いてみようという気になった。
「この村は?」
見ると、木々が沢山あって自然豊かな村だった。
建物も全て木で出来ていて、木の匂いが疲れた心と身体を休ませてくれそうな感じがする。
砂紗達のいる場所には子供達が沢山居て、これまた木で出来たジャングルジムや滑り台などの遊具が置かれていた。
鳥のさえずりも、木々の音も、かなりリアルに再現されていて、とてもヴァーチャル世界とは思えない程だ。
「綺麗な村だな……」
俺は、こんな村ならずっと過ごしても良いのかもな。って、一瞬だけど思った。
こんなのどかで平和その物の村が、あんな事になるなんて……誰が想像しただろうか?