仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
俺は……夢を見ていた。
どんな夢かって? 殆ど悪夢でしかない。
このヴァーチャル世界での俺は、スマートで綺麗な毛並みの可愛い白猫。
――の、筈なのに。
「なんじゃこりゃぁーー!」
今の俺は手足が短く、胴体が横に太いという……いわゆるメタボ体型だった。歩く度に、地面が揺れる……そんな気がする位メタボだった。
「どうしてだ!? 確かにこれもある意味では、凄く可愛いかもしれない。でも……スマートな俺は、何処行ったーー!?」
落ち着け俺。こんなのおかしいだろ!?
「鏡とかあれば、姿が見れるんだけど……そんな都合良く鏡なんか……」
ポンという音と共に、はい。現れました。何て都合の良い夢なんでしょうかね?
誰かに言う訳でもなく、ただ単に敬語になってしまうだけだった。
「やっべぇ~。メッチャ太ってんじゃん!」
鏡を覗くと、予想通りのデブ猫が写っていた。
これはこれで可愛いのだが、あのヴァーチャル世界ではログアウト不可な為、余りにブサ猫だと、砂紗達は離れて行ってしまうかもしれない。
猫のままの俺があんな無法地帯とかした世界で、一人でやっていける訳がない。
そう思うと、やっぱりこの姿よりもホッソリの方が受けが良いってなるよね?
取り敢えず何の解決にもならないだろうけど、今まで召還した動物をここに呼んでみようかな?
相談に乗ってくれるかもだし。
ボワン。
「……いや、夢だから詠唱要らないってのは、薄々分かってたけど。出るの早!!」
突然目の前に現れたあの動物達。俺の相談に乗ってくれる……筈?
「……え?」
うん。何か、色々おかしかったよ。
棍棒振り回してた勇ましい筈のウサギさんは、木で出来た杖に両手を預け、ヨロヨロとしていた。そして、ゼェゼェと息切れが凄かった。
「ウサギさん!? ちょっと見ない間に、随分フケたよね!?」
筋肉ムキムキだった筈のペンギンさんは、かなりスマートになっていた。自慢の筋肉すら見当たらず、骨と皮だけになっていた。そして顔色が、すこぶる悪い。
「ペンギンさん……何かの病気こじらせちゃった?」
茶色い体毛が特徴の熊は……。
「ごめんなさい。君、本当に、あの川の主と戦った熊なの?」
骨と化していた。スケルトンの様に、骨だけで動いているよ。
「白熊さん。昨日まで一緒にいた筈だよね?」
極めつけは、白熊さんだった。
エプロンを着ていて、右手にお玉。左手にはフライパン。そして極めつけは、子熊だ。
「……子供作るの早くね?」
ポッと頬を赤らめてしまう白熊さんだった。
「色々、おかしいーー!!」
俺は、叫んだよ。これしか出来ないからさ。
そんな時、もう目が覚めるだろう的な何かを感じた。
ようやくこの酷い悪夢から解放される。
少しずつ、俺の視界が薄れて行くよ。正直言うと、ちょっとだけこの夢が楽しかったりもする。
「じゃあな。夢の外では、頑張ろうぜ」
さあ。本当に目が覚める時間。
一時の娯楽みたいな何かを楽しんだ気がする。
目が覚めたら、色々考えなきゃならないな。
これは、俺が見た夢の一つのお話し。楽しかったような、ちょっとだけ心が晴れたような。多分動物達が、励ます為に現れたんだろう。そう思う事にした俺だった。