仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
意外と何の苦労もなく遺跡の中に入る事に成功した。逆にそれが怖いかもだけど……。
そんな遺跡の中は、大理石の塊だった。
「うっへぇ~。すげぇな」
俺はついつい大きな口を開けたまま、上を向いてしまう。
壁も天井も床ですら、大理石。
現実世界なら、どんだけ金かけてるんだよ!? って、話しになるな。
まあネット世界……今は、ここが現実みたいなものか? ともかく、ネット世界に変わりはない。そんな世界にどれだけマリン(金)を使うんだ?
「まあ、人それぞれだけどさ」
片足で顎をガシガシときいていた俺は、ふとある事に気付いた。
「そういやぁ……運営の誰も、ここが設置された事を知らなかったんだよな?」
砂紗は、俺に聞かれた内容をもう一度話す。
「うん。確かそうだったと思うわよ? 聞いた話しだから、本当かどうかは分からないけど」
それがどうしたの? という感じに首を傾げる砂紗の金の髪は、サラサラと風に溶けていく様に細く綺麗に思える。
「これは、あくまで俺の予想だけどさ。この遺跡が運営に気付かれないままだったってのが、どうも気に食わないんだよ」
エルサと砂紗が、俺の尻尾を触ろうと近付いて来たので、シャーー! と、威嚇して追い払った。
「この遺跡……今回ログアウト出来なくなってる事と、何か関係あったりするんじゃねえのか?」
「どうゆう事ですか?」
マナが俺と同じ目線になる様に、スカートを膝の裏にくっ付けて座る。その時にチラッとだけ白い何かが見えたけど、俺はその煩悩を軽い咳払いで退けた。
「……さあな? 俺だって知りたいよ。ただ……ログアウト出来ない。運営すら知らない遺跡。これが関係ない。なんて、誰が思う? 百パー関係ないなんて、言えるか?」
俺自身、上手く言えない。言葉にするのは、非常に難しいからだ。
「あー……つまりは、あれだ。百聞は一見にしかず! これだろ?」
ニッと笑う俺。それにつられて、皆も笑い出す。
この遺跡で、何が待っているのか……。そんなのは、誰にも分かる訳がない。
――そう。誰にも、何も分かる訳がなかった。
◇◇◇
「一本道よね?」
遺跡にしては珍しい構図だった。横道もなければ、小部屋すらない。
「何か、変じゃないかな?」
エルサは何時の間にか武器を取り出していた。警戒しているのだろう。
確かに、警戒しない方がおかしいのかも知れない。
「普通遺跡とかって小部屋とか、多少の横道位はある筈だよな? 俺の知る限りのゲームだって、多少なりとはあった筈だ」
「……おじいちゃんも、同じ事言ってたよ? 遺跡には、小部屋とかがあるって。よく分からないけど……休む為の部屋とか」
綺羅の言う通り、魔物との戦いで疲労した体力を回復する為の部屋などがある。
――いや。それ以前の事に気付いてしまう。
「なあ皆」
俺は、歩いていた足を止めた。皆がそれに合わせて、足を止める。
「……どうして魔物が居ないんだ?」
この言葉を聞いた誰もが、引きつった俺の顔を見逃さなかった。
「魔物が出て来ない事事態、おかしいだろ!?」
綺羅は怯え、その綺羅を優しく抱き締めるマナ。エルサと砂紗は、
「……!! そうよ! 言われてみればそうよね!?」
「……!? どうして気付かなかったんだろう!? 私達、この遺跡に入ってから結構な時間立つけど、まだ一匹も出会ってないよ!?」
俺と同じく、頭を悩ませる。
「で……でも、そうゆう遺跡だって……」
綺羅を抱き締めながら少し怯えた表情のまま、マナが会話に入って来た。
ふるふると首を左右に振る俺の尻尾にある鈴が、ほんの小さな音で、チリンと鳴る。
「バグの可能性もあるけど……。そもそもこの遺跡自体が、おかしいんだ。嫌な予感がする! 皆、ここを出よう!」
俺は急いで走り始める――のだが、地面が突然パカッと真っ二つに割れる。
俺達の走りは空しく、この空いた床によって蹴落とされた。そしてそのまま、落下していくのだった。