仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
召還に成功したクリスは、大喜びなのだが……。
「な……何、あれ?」
「骨?」
やっぱりというか……不評だった。
「まあ、分かっちゃいたけどねぇ……」
前足で頭の後ろをかく俺は、この骨が何なのかを簡潔に説明してやった。
「夢……ねえ」
骨の熊をチラッと見たと思ったら、俺の尻尾を触り始めた砂紗。勿論、思いっきり尻尾で叩いてやったけどね。
「皮は? 売っちゃったの?」
「お肉は、皆さんで食べたのでしょうか?」
マナと綺羅は、相変わらずのマイペースだった。
「さあな? どうなんだ?」
熊だった骨がちょっと照れてる感じに見えるのは、気のせいだろうか?
「とにかくさ、スケルトンベアーさん。あれ、やっつけてくれないか? 骨だけの君なら、あの針だって痛くないんじゃないのか?」
親指を立てて、問題ないみたいな合図を出すこの元熊さんは、皮があったらどんな表情をしていたんだろう? そう思ってしまった。
「はは。頼もしいな。それじゃあ……頼むぜ?」
スケルトンベアーは、走り出した。その時に骨と骨がぶつかり合う様な、ガチガチと不思議な音がしていたのを俺は聞いた。
ハリネズミみたいな魔物が、スケルトンベアーに気付き身体を丸くする。そしてその体勢のまま、ボールの様に転がりながら、突進した。
スケルトンベアーも負けじと走っていて、目の前に転がって来たハリネズミみたいな魔物の針を数本掴む。ハリネズミの針は、突如大きくなったよ。
「伸縮自在ですか……」
「だね」
俺は二本足で立って、エルサはそんな俺の隣に立ちながらこの戦いの結末を眺めていた。
スケルトンベアーが、ハリネズミの針をむしり取って行く。
――そして、全てむしり終わると……。
骨だから汗なんか出ない筈なのに、汗の様な何かが出ていたスケルトンベアーは、満足したかの様にガチガチと骨を鳴らす。
針をむしり取られてしまったハリネズミは……涙を流し、何か恥ずかしい思いをした女の子みたいに、顔を手で覆い隠す。そしてそのまま、四本足で「キュー!」と、意外にも可愛い鳴き声をしながら走り去って行った。
「おーい。お疲れ様~」
俺達は、スケルトンベアーの元に走って行く。
「サンキューな。助かったよ」
骨しかない右手を出して、俺の小さな猫の手を優しく握ってくれた。俺と大きさが全然違うから、俺が赤ちゃんで、スケルトンベアーが大人。そんな感じのする握手だった。
「有り難うございました」
マナが綺麗なお辞儀でお礼を言うと、スケルトンベアーは再びガチガチと骨を鳴らす。そして、音もなく消えて行く。
消える瞬間、バイバイと手を振っていたから、俺だけじゃなく、砂紗達までもがバイバイと手を振り返した。
「さて。先に進むか?」
道を塞いでいたハリネズミの魔物も居なくなったから、この先にある下への階段へと足を進める。
何時外に出れるかは分からないが、このメンバーなら何とかなる。そう思っていた俺は、自分のステータスに変化が起きていた事に気付く事がなかった。