仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
砂紗と綺羅を取り戻した事により、俺達は一気に有利な位置へと変わって行った。
お猿さんはかなり怒ってるらしく、持っていた本をきつく握り潰していたよ。
「何怒ってんだよ? 取られた物は取り返す。当たり前だろ?」
動物特有の牙をちらつかせたら、お猿さんは少しだけたじろいだ。
「ウキキ!!」
持ってた本を無造作に破きましたまくってたよ。あれ、結構ストレス発散出来るんだよなぁー。なんて、くだらない事考えてた俺が居たりする。
多分砂紗と綺羅が戻って来てくれたから、心に余裕が生まれたんだろうな。
「私……どうして、クリスをないがしろにしてたのかしら?」
砂紗自信記憶はあるらしく、俺を無視し続けてた事に罪悪感を覚えているッポイな。
「気にすんな。お前が悪い訳じゃねぇさ」
今は残りの二人を取り戻す方が大事だしな。
「ミャウ」
「猫のお兄ちゃん……ごめんね?」
仔虎を抱えて戻って来た綺羅が、落ち込んでるよ。子供だから余計に純粋で傷付き安いんだろうなぁ。
「良いって。お前が悪い訳じゃないんだ。勿論砂紗、お前もな?」
俺の肉球が気持ち良いのか頬に触れた時、少しだけ笑顔になってくれた。
やっぱり女の子は、笑顔が一番だよな?
「さてと……綺羅。取り敢えず、仔虎さんを下ろして貰えるか? その子と一緒にあいつぶん殴るからさ」
もっとも、ぶん殴るだけじゃ済まされないだろうけど。女の子に物騒な事します的な事言えないだろ?
「取り敢えずさ。二人は下がっててくれよ」
俺に言われて下がる二人の顔は、凄く心配そうな表情だった。無理もないよな? 魅力なんて訳の分からない魔法、何時の間にか掛けられてたんだし……何よりも、相手はあの二人だ。
一人は遠距離攻撃のエルサ。もう一人は前衛でも行けちゃう回復役と来てる。
この二人相手に、俺と仔虎ちゃんだけでどうしろって話しになるしな。
「なあ仔虎ちゃん。何か良い安あったりする?」
「ミャウゥ~」
どの動物も喋る言葉の意味は分からなかったけど、不思議とこの仔虎ちゃんの言ってる事だけは、理解出来たよ。【分からない】こう言ってたんだと思う。
やっぱり……猫への愛情が成せる技だからかな? ……なんて、かなり現実逃避な考えしてたけど、今はその位しないとこの状況に頭が追い付かなかったりもするのは事実なんだよなぁ。
「まあいいや。俺と仔虎ちゃんなら、何とかなる。そうだろ?」
俺は仔虎ちゃんに向かって、ニッと笑った。それに答えるかの様に仔虎ちゃんは可愛く鳴いてくれた。
「待たせて悪かったな。とっとと、おっぱじめようぜ?」
二本足て立ち、気合いを入れる為に両前足でパンと音を鳴らす。
お猿さんは物凄く機嫌悪くなってるみたいで、「ウキキィーー!」って、カン高い声を上げていた。
「まあそう怒るなよ。遊ぼうじゃないか? 犬猿の仲ならぬ、猫猿の仲なんだから……さ!」
俺の言葉を合図に、仔虎ちゃんはあのお猿さんに飛び掛かる。
右手でネコパンチ……いや、トラパンチを食らわせようと襲い掛かるけど、すんでの所で木の上に登られてしまった。
「ちっ! ここは俺達には不利過ぎる場所だな」
ジャングルの中はお猿さんにとっては、只の遊び場所程度なのかも知れない。俺達にとっては、最悪のリッチ条件だけどな。
「仔虎ちゃん! 少しの間、そいつの相手頼むな?」
「ミャウ!」
了解って言ってくれた様な気がしたけど、残りの二人を取り戻す事に集中しなきゃならなかった俺は、尻尾で返事を済ませた。
「エルサ……」
「何?」
一応答えが返って来るのを見ると、どうやら意識はハッキリとしている様だ。
「お前、猿の方が良いのか?」
魅力に掛かってるからこれを聞いても、どうせ返って来る答えは分かりきってるけどね。
「勿論」
間を開けず答えてるから、強力な魅力魔法なのは間違いないだろうさ。
だったら、やるべき事は一つ。
「エルサ……」
猫らしく四本足で地面に座り、尻尾を振る。
「触って欲しいにゃあ~♪」
元々円らな瞳だった俺のアバが可愛く首を傾げると、凄く可愛くなるんじゃないかな? そう思って、この行動をとった……結果。
「ご……ごめん、クリス。私どうかしてたよ!」
ほらね。砂紗と同じで一発で落ちたよ。
どうにもこの魅力魔法は不完全ッポイらしく、結構穴だらけな魔法らしい。
「本当にごめんね? 何で私クリスを嫌ってたんだろう?」
「嫌ってた?」
ちょっとおかしな言い方じゃないか? 魅力魔法は、嫌うとかそうゆう類いの魔法じゃない筈。
「あっ、それ私もそう感じてたわ。クリスの顔見た途端、クリスなんか嫌い! って、思っちゃったの」
砂紗もエルサと同じなのか。じゃあ綺羅は? 聞いてみたら、「よく分かんない」だった。
まだ好きとか嫌いとか、そうゆうの分からないんだろう。年齢を考えれば、これは仕方ない事だよ。
「エルサ。後ろに下がってくれ」
遠距離攻撃のエルサと対峙しなくて良かったって思ってる俺だったけど、最後に残ったマナ……彼女が一番苦戦する事になるなんて、考えもしなかった。