仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました)   作:猫つまみ

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まさかの〇〇召喚!?

「ここは、俺が倒れてた場所か?」

 あの金髪の少女と一旦別れ、砂漠へと足を踏み入れた。

 

「あっちい~」

 猫だから余計に、体毛が太陽の光を吸収してしまっていた。

「ひ……日陰……」

 砂漠の砂が俺の肉球を焼け付けるかの様に、歩く度に鉄板の上で焼かれるかの様な感覚を覚えてしまう。

「ん? あのちょっと横長で、木で出来た箱は……」

 なるべく太陽の直射日光を避けながら進んで行く俺は、砂漠の隅にある木箱を発見する。

 

 それに近付いてみると……

「やっぱり……宝箱だ」

 少し縦長な感じで真ん中には鍵穴があり、大抵はそれに鍵を差し込む形式になっている。

「でもこの宝箱は、何処にでもあるやつだもんな?」

 この世界の宝箱には、金銀銅の三種の宝箱が存在する。銅は目の前にある様な木で出来た箱。金や銀はちょっと高価な何かが入っていて、特殊な鍵が必要となった。

 

 幸いこの宝箱は、一番ランクの低い木の宝箱なので、鍵穴があっても、それはただの飾りでしかなかった。簡単に説明すると、鍵がなくても普通に開くのだ。

 

 俺は念のため、マップデータを取り出そうとしたのだが……

「うげっ!? 敵のマークも宝箱のマークすら、表示されてねーじゃん!」

 辛うじて町や村と言った場所は、赤い点滅で表示されていた。

「ログアウト不可になる前は、全部表示されてたのに」

 愚痴っても仕方ないと思った俺は、マップデータを閉じた。

 

「問題は、この宝箱だな。まあ普通の宝箱だから、問題ないだろうけどね」

 俺の白くて小さな両前足は宝箱の蓋を持って、ゆっくりと開けた。

 

 仔猫の俺にはちょっと重たく感じてしまうけど、それでもやっぱり開けずには要られなかった。

「よっ……と。……ん? 何だこりゃ?」

 中には、小さな雪の結晶の様な物が入っていた。

「んん? 綺麗だけど……何に使うんだ?」

 太陽の光にかざすとその結晶の透明さが分かる程に、後ろの景色が見えてしまっていた。

「透明だけど……使い道、分からん。……あっ!」

 汗だくの手で触ってしまったのが行けなかったのか……滑って落としてしまった。

 

 砂の上なので大きな音はしなかったが、割れてしまった。

 

「やっべえー……ん?」

 見てみると、割れた結晶が少し浮いていた。

「は? 何で?」

 結晶の欠片の全てが俺の背よりも高く舞い上がり、空中でクルクルと踊り始めた。

 

 しばらくすると空中でピタリと止まり、やがて弾け飛んでしまった。

「うわっ! なっ……何だったんだ!?」

 

 何事もなかったかの様に、砂漠に吹く風が静かに砂を撒き散らす。そんな何もなかったかの様な静寂が続くかと思われたその時……何かの影が、俺の身体を太陽の光から隠してくれた。ぐるんと上を向くと……

「ブヒー」

「うお!」

 俺の顔を覗き込んでいたのは、砂漠には必需品とも言える動物--ラクダだった。

 

「な……何だよ、お前。何処から現れて……」

 茶色くフサフサな体毛のラクダの背中には、二つのコブがあった。おそらくフタコブラクダなのだろう。

「ブヒィ-? ブヒィ!」

 白い歯を見せて笑うこのラクダの笑顔は、可愛いとは程遠い、不気味としか言えない笑顔だった。

「ブヒィって、それ豚じゃ……?」

 ラクダは俺の疑問などお構い無いという感じに、自分のコブに首を乗せる。

「……もしかして、乗せてくれるのか?」

 勝手な解釈とも言えるのだが、乗せてくれる様な気がした。

 

「ブヒィ~♪」

 首を上下に振るのを見ると、それはあながち間違いではないらしい事が伺える。

「豚の鳴き声のラクダって……まあ良いや。乗せてくれるんなら、乗るよ」

 俺は猫……持ち前の身軽さを利用して、ラクダの背中へと登って行った。

 

 登った先には、大きなパラソルがちゃっかりと飾ってあった。

「準備の良い事で……ん?」

 出発しようとした時、俺の座ったコブに何か違和感を覚えた。

 

 二つのコブの内後ろのコブが、異常な固さだったのだ。

 俺は、恐る恐るコブを隠してる体毛を退かす。すると……夏には子供達が種飛ばしをしたり、海辺で割ったりするあの野菜、スイカが隠れていた。

「何でスイカ!? ってかラクダさん、一コブだったの!?」

 俺を乗せてのんびり歩くラクダは、俺のこの反応を待ってたらしく「ブヒヒ」と、笑っていた。

 

 あの少女の居る家に戻るのには、ちょっとこの直射日光は堪えるので、丁度良かったのかも知れない。

 

 俺は言葉が通じていそうなラクダさんと他愛ないお喋りをしながら、少女の待つ家路へと向かうのだった。

 

 

 

 けれど、この時俺は気付いていなかった。あの砕けた結晶が、これから俺に新たな力をくれた事を。このラクダさんは、その発端に過ぎないのだと。

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