仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
三人を取り戻したは良いけど……一番問題な人物が残っちゃったよ。
「マナの事どうするの?」
砂紗とエルサは俺の意見を聞きたいらしく、目線を俺に落とした。
「うーん……正直どうすれば良いか、俺にも分からん。だってそうだろ? マナの場合、回復のみに見えてあの鈍器使うんだぞ? それに……」
本人曰く、帯付きの有段者とか。魅力に掛かってる状態で近づいたらきっと俺は、紙飛行機の如く遠くに飛ばされるって落ちになるんだろうさ。
「どうしたの?」
「何でもない。それより、本当にどうすんだ?」
話し合いで! ってやつなら、多分無理だろうなぁ。何時もニコニコしてるマナは、心の中が非常に読みにくい。
「マナだけなんでしょ? 私行こうか?」
砂紗は迷わず名乗りを上げてくれたけど……。
「うーん……仔トラちゃんは、どう思う?」
「ミャウ?」
あっ。今猫みたいに前足で顎かいてたよ。超可愛いじゃん! そんな事を考えてる俺のこの猫びいきな気持ちに気付いたかの様に、哀れむ砂紗の目線がね……。
「クリス……」
俺が何を考えてるのか察知したっぽい砂紗は、かなりジト目で俺を見た。
刺さる! その哀れむ目線が刺さります!
良いじゃないかよ! 猫大好きなんだから。
「ウキキィーー!」
「「あっ……忘れてた」」
お猿さんの怒った声で、今何をしなきゃいけないのかを思い出した俺は、軽い咳払いをした。
「っと。遊んでる場合じゃ、ないかって……げっ!」
マナが何時の間にか鈍器を取り出してたよ。
「ふふ。クリスさん。お猿さんを無視するのは、よくありませんよ?」
怖い! 笑顔だけど、何か怖いんですけど!?
俺は情けない事に、砂紗の後ろに隠れてしまった。
「ちょっと、クリスぅ?」
情けない者でも見かの様な目で俺を見る砂紗だったけど、肩で溜め息を付いたと思ったら、しゃがんで俺の頭を撫でた。
「しょうがないか。クリスは小動物だものね?」
どうやら俺がリアルでは人間の姿だって事を忘れてしまってるッポイな。
まあ今は、その方が有難いから良いか。だって、女の後ろに隠れるなんて、男として情けないじゃん? でも動物だったら、許されるかもだしね。
「それでどうするの? 私の弓じゃマナの武器壊せないし」
エルサだけは、現実を見てるッポイ発言したよ。まあ独り位は常識人居ても良いもんね?
「いっそのこと、脳天撃ち抜いた方が……いやいや。でもそれだと死体の処理がめんどくさい事に……」
「前言撤回! お前も相当あれな分類だー!」
マトモだと思ってたのに、まさかの爆弾娘だったとは。エグい事をサラッと言ってるし!
まだぶつぶつ言ってる所を見ると、彼女の脳内にはトンでもな何かが出来上がってるって考えても良いのかも知れない。
「それは兎も角だ! マナ。本当にそいつの味方するのか?」
「はい」
間を開けずに答えてしまってる辺り、やっぱり魅力魔法が効いてしまっているんだろう。
「仔トラちゃん。一斉に飛び掛かるってので良いか?」
「ミャウ!」
俺と仔トラちゃんは素早く動き、マナへと突進して行く。
マナの方はと言うと、あのご自慢の鈍器を振り回して来た。
風圧の様な物が結構強く、俺は一瞬足を止めてしまった。
「ミャウ」
そんな俺の首に噛みつき鈍器による攻撃を避ける仔トラちゃんを見てると、可愛くても猛獣なんだなって、改めて思ってしまう。
「仔トラちゃん! そのまま俺を放り投げてくれ」
俺が何をしようとしているかは、恐らく分からないだろう。それでも仔トラちゃんは言う事を聞いてくれた。
宙に放り出された俺は空中で体勢を立て直し、マナに向かって突進する。
「マナ、悪く思うなよ?」
頭を下に向けた俺が取った行動は……【ゴチィーーン】って音のする頭突きだった。
「きゃっ!?」
女の子らしい声をあげたマナは鈍器を落とし、自身も地面に倒れ込んでしまった。
俺は綺麗に着地し、お猿さんに向かって叫んだ。
「どうだ。猫の力なめんなよ!?」
タンコブが出来て涙まで出ちゃったけど、今はこのお猿さんを調教しなきゃならない。
「ウッキィー……」
かなり怒ってる感じだけど、そんなの知った事か!
「さあ、第二ラウンドと行こうか?」
かなり挑発的にお猿さんと対話する俺だったけど、そんな俺達を草の陰から覗いている何かが居るなんて、気付く事が出来なかった。