仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
俺は……俺は……
「こんな事の為に、ゲームやってんじゃねぇー!」
俺の隣で、俺にベッタリとくっついてるピンクの豚さんは。事ある毎に投げキッスをしたり、俺の尻を触って来やがる訳ですよ!?
「クリスって、そっち系の猫?」
うわぁー、引くわぁ。的な顔で俺を見るなよ! マナも、綺羅の目を隠すんじゃねーよ!
「ちげーよ! こいつが、そっち系なだけだろ!?」
もう泣きたいよ……トホホ。
「お前も、何時までも引っ付いてんじゃねえーよ!」
俺は力一杯振りほどいた。
ブタさんは、ちょっとだけ悲しそうにしてるよ。器用に前足のひづめを噛んでるし。
「こほん! 焚き火を焚けるかどうか、それだけ聞きたいんだよ。どうだ?」
ブタさんに訪ねてみるも、ブタさんは鼻をほじってるだけだった。
「……っ! 離せ砂紗! こいつぶん殴る!」
拳を高く挙げた俺の手を、必死に止める砂紗だったけど、顔が笑ってるし……。
「ねえブタさん。焚き火無理?」
綺羅が無垢な瞳でブタさんを見つめてたな。どうだ!? 子供の無邪気で綺麗な瞳には、流石のふてぶてしいブタさんでも勝てまい!?
ブタさんは観念したかの様に、焚き火に近付く。どうやって火を付けるのか気になって、誰もがブタさんに注目した。
「ブ……ブヒィ~」
一声鳴くと、口から優しい風を出した……って思ったのは、一瞬だけだよ。だってさ……
「口から火吐いてるしーー! なんなの、このブタさんはあー!?」
驚いてたのは、俺だけじゃなかった。砂紗達ですら、ビックリしてたよ。マナだけは、相変わらず「素敵」とか、訳分かんない事言ってたけどね。
「とにかくさ? 火付いたんだから、良しとしましょうよ。ね?」
しゃがんで俺の顔を覗く砂紗は、結構哀れみを含んでるよね? だってほら。ブタさんが俺の方を見て、また頬を赤らめてるし。ウィンクまでする始末。
「うう……あんなのと一緒に居るの、やだあ-!」
ホロリと涙が出たよ。
◇◇◇
バチバチと焚き火の音が静かに洞窟に響いてる中で、俺は一人……いや、一匹でぽつんと座っていた。でもな? 焚き火をまたいだ向こう側には、あのブタさんが居るよ。相変わらず、ウィンクとか投げキッスとかしてるし。
「ヤバい……鳥肌が」
全身の毛が、ぶわってなったよ。
もうこのブタさんと一緒の空気吸うのやだ! 意を決して立ち上がる。
「あいつら遅いから、様子見てくるよ」
ブタさんに火の番を任せて、そそくさとその場を後にした。
そもそも、何で俺とあのブタさん以外居ないのか。その答えは簡単だ。
俺は少し歩いてから、ある場所へとたどり着いた。
「まさか、こんな奥に温泉があるなんてな……」
耳を澄ますと、微かだけど女の子達の声が聞こえて来ちゃうよ。
「うわあ~。砂紗胸おっきいね。私なんか……」
「ふふ。エルサはまだ子供なんでしょ? これからよ。マナ、貴女凄い細いわね」
「そうですか? リアルの情報を、そのままこの世界にデータとして送っただけですよ?」
「本当に、帯つきなの? とてもそうは見えないけど……」
ほらね。聞こえて来ちゃう。俺は恥ずかしさの余りに、顔を手で隠しちゃったよ。たぶん今の俺は、真っ赤なんだろうな。
「……人間の姿だったらあれだけど、動物の姿だから、覗いても……ハッ! いかんいかん」
煩悩を振り払うかの様に、強く首を振った。
帰るかな。そう思って一歩踏み出した時、俺の足は濡れていた地面に持って行かれ、滑ってしまう。
ただ滑るだけでなく、そのままスケートみたいに滑って行った。
「え!? ちょっ……ギニャアーー!」
滑るー!! 助けを呼ぶ暇すらなく、そのまま向かった先は……湯気がムシムシと空中を飛び回っていた温泉だった。
「ぶべ!」
水しぶきが高く舞い上がり、熱いお湯が俺の身体に強く刺さる。
「きゃっ!?」
「わっ。何!?」
俺は、洞窟の天井を眺めながら浮いていた。
「し……死ぬかと思った」
半べそ状態の俺に、更に追い討ちをかける出来事が!!
「クーリースゥー?」
俺はその声を聞いて、ギクリとなった。
そおっと目を開けるとそこには……赤い髪を頭の上でタオルで巻いている砂紗と、同じく銀の髪を頭でまとめているエルサが居た。
「よ……よお~」
何事もなかったかの様に普通に挨拶するんだけど、女の子達の表情は、笑顔とは言い難いものだった。
「何してるのよ!?」
ごめんなさい。ごめんなさい! 俺が悪かったから、ちょっとだけなら覗いても良いかな? って、思ってごめんなさい。
だから……ボコボコにしないでぇーー!
俺は殺されると思い、目を瞑ったんだけど……何か、柔らかい物が俺のほっぺたに当たった。
「もうクリスったら……言ってくれれば、一緒に入ったのに」
あれ? 怒らないの? 姿は猫だけど、中身は健全な人間の男子な訳ですよ?
「おい……良いのかよ!? 俺は男……」
「「クリスだから良いのおー」」
皆俺をギュって抱き締める訳よ。砂紗のふくよかな胸がとても柔らかくて、エルサの良い匂いが俺を堕落させていく(笑)
ま……まあ、たまには、良いかな。
そんな俺をニヤついた顔で見ていたブタさんが居たりしたけど、今は……今だけは、この幸せを噛み締めたいものだよな。