仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
俺達は、カンガルーさんの戦いの邪魔にならない場所に逃げ込んだ。
洞窟があった場所から余り離れてはいなかったけど、ジャングルって事もあって、中々良い場所が見つからなくて試行錯誤してしまったよ。
そしてようやく見つけた場所は、洞窟からほんの少しだけ離れた森林の中だった。
「で? あのカンガルーさんは、どうやって恐竜と戦うんだ?」
余りにも巨大な身体だから顔とは見れなかったけど、尻尾がちょっと可愛いく動いていた。
そんな時かなり強い風が吹いた。
「うわっ」
「強い風だね……」
その風がイタズラするかの様に、カンガルーさんのスカートを大きく捲る。
カンガルーさんは凄く恥ずかしそうに、スカートを必死で押さえてた。
「……いや、下からもう見えてるんだけど」
俺だけじゃくて綺羅ですら、ウンウンって首を上下に振ってたよ。
「恐竜に勝てるのかしら?」
砂紗の頭の上に乗ってる俺は、シャンプーの匂いに鼻の下を伸ばしちゃった。それを見てたエルサが、軽く咳払いしてたけどね。
「それで……どうなんだ? 勝てる……ん?」
「どうしたの?」
皆が俺の異変に気付いたらしく、カンガルーさんじゃなくて俺を見た。
「いや。なんかあの恐竜……」
動物だから、人よりは目が良いんだ。少し離れてても、何とか見えるしね。
「ちょっと、隠れながら近寄ってみようぜ?」
小声で話す俺の言葉を合図に、腰を低くして近付いて行く。
「ストップ! これ以上は、巻き込まれる可能性ある。見えるか?」
ギリギリのラインだと思う辺りで皆の足を止めて、恐竜が見えるか確認する。
俺達が隠れてる場所は、沢山のバナナの木に囲まれていて、地面からはかなり大きくて長い雑草と思える草が、沢山生えていた。
幸いな事にこの雑草達は砂紗達よりも高いらしく、俺達の姿をスッポリと隠してくれていた。
緑髪の奴が居たら、かくれんぼ最強なんだろうな。何て思えちゃう位に自然が凄かったよ。
「あっ。見えるよ!」
綺羅さん……ボリューム下げようね? 俺の右前足は自然と、『しー』って形を取って口に当てていた。綺羅は、自分の声の大きさがまずいって気付いてくれたらしく、慌てて口を塞いだ。
さてと。恐竜さんは……
「……うん。さっき見た時と変わらないね」
俺がさっき居た位置から何を見たのかを察したらしく、皆ポカーンって口を開けてたりしてた。
「え? 何で赤くなってるの!?」
「カンガルーさんのスカート捲れる度に、赤くなってるわよ!?」
「あらあら。これは、また……」
「私知ってるよ。ウブって言うんだよね? マナお姉ちゃん」
何処でそんな言葉を覚えたのかはさておき、目の前のこの恐竜の行動に驚かない奴は居ないだろうさ。
風が結構強くて、かなりの頻度でカンガルーさんのスカートが捲れてお尻が見えてしまう。必死でそれを押さえてて、恐竜の方は、それを見るなり赤くなって目を反らしてしまう。
これの繰り返しだった。
流石にこんな事態は予想していなかった砂紗達は、ただその二匹の行動を見ているしかなかった訳だが、俺はこのチャンスを逃す筈なかった。
「砂紗。俺をさんの所まで、ぶん投げてくれ」
「え!? でも……」
俺はこれ以上何も言わなかった。最初は驚いていた砂紗は、次第に俺が何をするのか気付いたみたいで、両手で頭に乗っかってる俺を掴む。
「分かったわ。でも、危ないと思ったら、直ぐに逃げるのよ?」
俺は「おう」と笑顔で言って、ちょっとだけ目を瞑った。
「行くわよ?」
無言で頷く俺を、砂紗は力いっぱい投げつけた。
その風圧が、俺の身体の毛を後ろへと向けさせる。目を開けていられない程に高速だった。
カンガルーさんは飛んで来る俺に気付いて、見事にキャッチしてくれた。
「サンキューな?」
どうして俺がここに来たのか分からないらしく、首を傾げていた。
「なあカンガルーさん……独身か?」
何でこんな質問をするのか……カンガルーさんには残念ながら難しいらしく、目が上下左右へと泳いでいた。
「おい恐竜! お前……」
恐竜は威嚇みたいなのをしてたけど、残念だったな。お前の気持ち分かっちゃったんだ。もう通用しないよ。
「カンガルーさんのスカート捲れる度に、顔真っ赤にしてたけどさ。お前、カンガルーさんに一目惚れしたんじゃないのか?」
耳元でそれを聞いていたカンガルーさんも、ちょっと遠くでそれを聞いていたエルサも、かなり驚いていた。
恐竜を見るとかなり動揺しているらしく、目だけじゃなくて顔をあちこち動かしていたよ。どうやら図星だったみたいだ。
「そこで相談なんだがな?」
カンガルーさんにボソボソと耳打ちする。
「……!? ……」
お? 一瞬驚いたッポイけど、真剣に恐竜を見てるって事は、OKって事なのかな?
カンガルーさんは恥ずかそうに、恐竜の元へと歩いて行った。
歩く度に地震みたいな振動が起きたけど、今気にしなきゃいけないのは、それじゃないんだ。
「ぐ……グルル?」
恐竜は、カンガルーさんが近付いて来たのに驚いてるよ。ってか、顔だけじゃなくて全身真っ赤になってるしね。
カンガルーさんが肩に掛けていた鞄に手を突っ込んで、何かを取り出す。
取り出した箱は四角くて赤い。その箱を包むかの様に可愛いリボンが付いていた。カンガルーさんはそのリボンを程くと、箱を開けた。
箱の中には、綺麗なダイヤの付いた指輪があった。
「……じゅ、準備良いな」
何でそんな物を持ってるのか分からないが、この二匹の行く末を見守るしかなかったよ。
そして、ズイッて感じで恐竜に差し出す。
「グルル!?」
ははは。驚いてるよ。まあ当然と言えば、当然だけどさ。
「なあ恐竜。お前、カンガルーさんに一目惚れしたんだろ? だったら……」
俺は息を大きく吸って、砂紗達にも聞こえる様に大声で言う。
「カンガルーさんと恐竜さんは、結婚しちゃえよ」
こんな衝撃発言に、砂紗達は「ええーー!?」って、驚いた。
恐竜がカンガルーさんに一目惚れってのは、猫の勘みたいなもんだな。でも、真っ赤になってるのを見ると、満更でもないんだろな。
恐竜は一瞬戸惑ったけど、遂に……遂に指輪を受け取った。
「さあ。異種族同士の結婚式と行こうか?」
この場所から無事に出る為なら、何だってしてやるさ。