仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
猫の手も借りたいって言葉は、まさしくこれなんだろうな。
「砂紗ぁ~。ウェディングドレスのサイズはどうだ?」
「うん。丁度良い感じよ」
何処から出したかなんて、そんな野暮ったい事は誰も聞かない。聞いたって、どうしてかなんて答えれないのが目に見えてるからだ。
「綺羅、良い? この本をそのまま読むのよ? 貴女は、神父様役なんだから」
「うん。マナお姉ちゃん」
どうやら神父は綺羅がやる事になったらしい。キリンさんの戦いの時も、かなり棒読みでカンペ付きで読んでたけど、結構楽しそうにしてたからな。
綺羅にはぴったりなのかも知れない。
「新郎の燕尾服って、こんな感じかな?」
出来た服を地面に置いて、首を傾げながら考え込むエルサを見て、ふと思った。彼女の銀の髪が何時の間にか沈みはじめている夕陽に溶け込んで、金髪に見えてしまう。それはとても綺麗で、ついつい触ってしまいたくなる程だった。
「ん? 何?」
俺の視線に気付いたらしく、首を傾げた。その時に銀の髪がサラサラと心地よい音を鳴らしていた事を知ってるのは、俺だけだ。
「うんにゃ。何でもないよ」
ちょっとだけ優越感に浸ってた俺だったけど、すぐ側であれな二匹を見てしまうと、あっという間に現実へと戻されたよ。
「……あれは、無視したくても出来ないよな?」
燕尾服とウェディングドレスが余りにも巨大過ぎて、周りの木々を薙ぎ倒したりしないと広げられないって状態だったから、力自慢のペンギンさんと白熊さんに手伝ってもらって、辺り一面をまっ平らにしてもらった。
その場所に、もう口では表せられない様な結婚式用の服を置いて、エルサ達が最終的仕上げをしてくれてた。
そんな中で、俺の放った言葉--『無視したくても出来ない』を聞いて、皆手を止め、その者達へと視線を向ける。
因みに出て来てくれた白熊さんとペンギンさん含む動物達は、結婚式に参加してくれるとの事だった。
「何て言うか……答えに困る光景よね? 」
砂紗の言う様に、本当にコメントに困る光景が見えていた。
俺は自分の腕にしがみついて来るブタさんを、強く振り程く。「ブヒィ~」って、悲しそうな声と鳴きそうな顔してたけど、正直俺はそっち系には興味ないんだ! いい加減、諦めてくれよ。そんな、げんなりとしちゃいそうな俺の心とは雲泥の差と言うべきか……あっちは、ピンク色の空気しか流れていなかった。
「グルル……」
「ブルル……」
恐竜とカンガルーさんは俺の仲人のお陰で、無事結婚式までこぎ着けた。その結果、人目もくれずああやって、二匹して腕を組んでイチャコラしてる訳なんだが……
「勧めた俺が言うのも何だけど……色んな意味で、気持ち悪いものがあるな」
あのカンガルーさんはスカートをはいているのを見ると、女の子なのは間違いないだろう。恐竜の性別は分からないけど、普通に考えれば雄。まあ、その普通がない奴も一匹居るけどね……。
チラッとブタさんを見ると、やっぱりウィンクして投げキッスまでしてくるよ。
止めて! 毛が逆立っちゃうから、それは止めて!
「ラブラブだね? 私知ってるよ。ああゆうのを、こしどり夫婦って言うんだよね?」
綺羅さん……オシドリで御座いますよ? まあマナが違いを教えてるみたいだから、敢えて言わないけど。
「……兎に角さ。あの二匹が幸せに暮らせる様に、俺達で盛大に祝ってやろうぜ? 幸いお金なんか必要ない、天然素材盛り沢山な場所なんだからさ」
俺のこの掛け声を合図に動物達と砂紗達は、「おおー!」って、意気込んだ。
ペンギンさんは、ジャングルの中にある池の魚を。白熊さんは、お玉片手に料理の準備を。砂紗とエルサは、服の調整を。綺羅とマナは神父の役目を。
俺は……あれ? 俺、何もしてなくね?
ただ見てるだけの俺って、正直邪魔なんじゃって思う。涙出そう。
そんなこんなで、準備は着々と進んで行った。
無事に何事もなく終える事を願ってた俺だったけど、まさかあんなハプニングが起きるなんて、思ってもみなかったよ。