仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
【魔法少女】
それは、不思議な何かから不思議な力を授かった少女の事。魔法の力で悪と戦い、友達と共に難敵に挑む。それが、魔法少女である。
「あっ、やべ。何か不思議なナレーションが、頭に流れて来るよ?」
俺は魔法少女の姿になった綺羅の力で、空高く飛んでいた。
--別に、現実逃避してる訳じゃないぞ? この世界自体が現実とは違うから、現実逃避も何もないけどね。
「どうしたの?」
俺を抱っこしながらひたすら空へと近付いて行く綺羅は、スッゴく楽しそうにしてるよ。
「……なあ、綺羅のその格好は、お前の趣味か?」
キョトンとした顔で、うーんって唸ってるし。もしかして、違うのかな? それとも、言えない理由でも……
「あのね。おじいちゃんが、作ってくれたんだよ」
『良いか綺羅よ。魔法少女とは、夢が詰まっておる。ロングスカートよりも、ショートの方が良い! ん? 何でじゃと? 勿論決まっておる……それは、絶対領域だからじゃ! ブーツも膝丈程。そのブーツと短めのスカートの間からチラリと覗く、絶対領域!』
「たまらーん! って、言って、鼻息が凄かったんだよ? 私よく分からないけど、おじいちゃんが喜んでくれるなら良いかなって、思ったんだ」
風圧が俺の毛を逆立てる。
「……俺、お前のじいさん、もっとまともな感じだって思ってたんだけど……」
綺羅は満足したかの様に自慢気に、未だに祖父の話をしているよ。
「……ただの変態(スケベ)じいさんじゃねーか!!」
俺の叫びは、空高く散って行った。
「……まあ、いいや。よし! この話は封印だ。それよりも綺羅。花の真上まで着いたから、ちょっとだけ目瞑っててくれるか?」
「私も戦うよ?」
何処からか出したステッキが、キラキラと輝いてる様にも見えた。
「ステッキ……お前のじいさん、忘れてなかったんだな?」
「うん。おじいちゃん曰く、『ステッキがなければ、魔法少女じゃない』んだって」 綺羅の場合、分かってて言ってる訳ではないのだろう。じいさんの場合は……言うまでもなく、魔法少女に拘っていた。
「スケベ心を、ネトゲにまで持ち込まんでくれよ……」
とは言え、そのスケベ心のお陰で解決策が出来た事を思えば、余り失礼な事言えない気がするんだよな。
「で? そのステッキどう使うんだ?」
抱えていた俺を頭の上に乗せて、ステッキを花へと向けた。
「私、大好きな魔法少女あるんだ。どうしてもやってみたいから、猫のお兄ちゃん見ててね?」
普段凄く大人しい綺羅が、ステッキ片手にウィンクしてきた。
あれだな。ハンドル握ると性格が変わるってやつ。
「いっくよ~♪ コホンッ」
ステッキを背よりも高く上げて、大きく息を吸う。そして綺羅の声に合わせて、ステッキが眩い光りを放ち出した。
「ピルリカ、ピルリカ~。輝く翼は、大きな夢。必殺クイーン・ゴッド・ブレース!」
その光りは大きな光の玉となり、綺羅がステッキを花の方へと向けると、その玉は花へと急加速していった。
眩しくて目を開けていられない程で、結局閉じちゃったよ。
「猫のお兄ちゃん。お花がしおれちゃったよ?」
そっと目を開けてみると、一番最初に見えた光景に俺は驚いた。
あんなに蜂を出し続けてた巨大な花が、綺羅の放った魔法……たった一発で、殆ど再起不能になっていたのだ。
ピクピクと痙攣(けいれん)していて、赤い花弁が殆ど散っていた。蜜があるであろう中心部は、意外にもヒマワリみたな種でぎっしりと埋まっている。
茎の部分が今にも折れそうな感じではあったが、一部の蜂達が集まって、必死に支えていた。何かそれを見ていると、蜂がぬいぐるみみたいに可愛く見えてしまう。
「スッゲェ~……」
綺羅は、胸をエッヘンって感じに張ってるな。
そんな蜂を見ると、ちょっと可哀想にも思える。でもそれは、花の周辺に飛び交っていた蜂だけの事。そうじゃない蜂は、俺達に狙いを定めた。
蜂よりも高い位置に飛んでいたから、直ぐに攻撃される事はなかったけどね。
「エルサー! 俺の声聞こえるか!? 砂紗に伝えてくれ。花の茎が弱くなってるから、剣で切ってくれって!」
エルフの耳は人よりも数倍良いから、多分聞こえてると思う。その証拠にほら。
俺の叫びを聞いた途端砂紗の所へ行って、説明してくれてる。
俺の作戦とは少々違ってるけど、倒せるなら問題なし!
「さあ。最後の仕上げた。残った蜂は、俺に任せてくれ」
頭の上で小さく「にゃあ」って鳴いた俺は、綺羅に負けじと大きな火の玉を作って行く。
「燃やしてやるよ。アクシデントで出て来たとはいえ、一応俺がご主人様なんだ。その俺に逆らったらどうなるか、思いしらせてやる!」
反撃開始と行きますか。