仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
俺達は、先立つ物がないと何も始まらない。そんな結論が出て、戦闘をする事になったのだが……。
「猫の俺に、どうしろと?」
取り敢えず、体毛のせいで砂紗よりも体温が高くなってる俺は、日陰を探してゆっくり座っていた。
「クリスーー! メニュー画面開けるでしょ? そこにスキルとか職業とか書いてなぁい?」
ちょっと遠くから聞こえる砂紗の声の教えに従って、メニュー画面を開く。
【名前:クリス LV:? 種族:猫 職業:魔術師 スキル:召喚 VR:??】
ざっとこんな物だろうか?
「名前はいいとしても、職業猫って……。召還も何を召還出来るのかすら分からないし。それに、何でLVとこのVRってやつが、見えないんだ? そもそもこのVRって?」
「どうしたの?」
金の髪を耳に掛けながら覗き込む姿は、正しく女神だった。テカテカと照り返す太陽の光りを髪に受けて、ますます綺麗に輝く。
「ち……ちょっと……胸当たってる!」
この女は、俺の身体に自分の身体を平気で近付けて来る。
恥じらいとかないのか? それを言おうとした矢先に、砂紗の顔が赤くなった。
「ご……ごめんなさい!!」
良かった。一応の恥じらいはあるらしい。
「はあ。なあ、このVRって、何だ?」
気を取り直して、これについて聞いてみるのだが……。
「んん? 何それ?」
「やっぱり分からないか」
ログアウト出来ない訳も、未だに不明。何もかもが分からないままだった。
ザアっと、砂漠の風が、俺と砂紗の二人の会話を遮るかの様に強く吹く。
「兎に角さ? 私と貴方で、あれ倒してみない?」
砂紗が指を指した先には……。
ブヨンブヨン動く透明な身体を持ったスライムだった。
「良いけど……多分俺、あんまり役に立たないかもだよ?」
俺の尻尾はいつの間にか、タシタシ!! と、地面を叩いていた。
そんな俺の尻尾が気になるのか、触ろうする砂紗を、猫の【シャーー!】という威嚇で阻止した。
ちょっと悲しそうな顔をしていたが、今はお金とか必要だろうから、我慢してもらう事にした。
◇◇◇
砂紗は、何時の間にか大きな大剣を担いでいた。
「剣士なんだな?」
胸を守る様にしてある木の鎧を見た時から、そうなんだろうとは、思っていた。
「期待を裏切らないね?」
ボソッと呟いただけだから、砂紗には聞こえないのだろう。
「ん?」
何でもないよ。ニッコリ笑う俺を見て、やはりと言うべきか……触りたい衝動に刈られているのだろう。
けれど今は、あのスライムだ。
「さあ。退治しようか?」
さっき見たステータスを見る限り俺は、魔術師の類いなんだろう。
取り敢えずは……
両手両足に力を込めて、魔方陣をイメージする。
俺の足元には徐々に六傍線が出来て行き、最終的にはその六傍線を囲む様にして、大きな円が描かれて行く。
「まあ、猫の姿になって初戦だからな」
猫なのに、不敵に笑ってみたりする俺を見ている砂紗は、可愛い。と、言ってたりするのだが……。
「行くぞ……。【火炎魔法(ファイアーマジック)】」
笑った瞬間牙がちらっと見えたらしく、砂紗は少しだけビクッとなった。
魔法はそのままスライムに直撃し、焼け死んだ……と、思ったのだが……。
「「え!?」」
俺も砂紗も、驚いた。
「嘘!? 魔法よ? 結構強力だった感じするけど、弱かったの?」
ふるふる。俺が首を振っただけで、何が言いたいのか察したらしく、「そっか」と、一言言うだけだった。
この戦闘は、以外に苦戦するかも知れない。
俺も砂紗もお互いにそう感じているのか、かなり緊迫した雰囲気になっていた。