仔猫をモフリたいなら、一緒にヴァーチャル世界を旅しないかい?(旧:キャラメイキングで猫選んだら、ログアウト出来なくなりました) 作:猫つまみ
スキルの召還を選んだは良いけど……。
「か……可愛い」
出て来たのは……
全身白い毛並みに長い耳。フンフンと動く鼻。片手にスッポリ収まりそうな程小さな丸い尻尾。
「う……ウサギじゃねぇーーか!?」
俺は、思わず叫んだよ。だってそうだろ? 召還魔法とかって、ドラゴンとかそうゆう格好いいやつ呼び出せるのが定番の筈だろ!?
そんな俺の考えを知ってか知らずか、砂紗はウサギを触り捲っていた。
「……おいこら、砂紗」
ぶちギレそうだよ……。
「え? あっ!! ごめんなさい」
しょんぼりなる砂紗は、やっぱり可愛いなと、思う。見た目が上玉だからこうゆう顔も、似合うんだろう。
「……このウサギは、何をどうするんだ?」
俺は、恐る恐るウサギに近付いて行った。
フンフンと鼻を鳴らす姿は、何とも愛らしい。
首をちょこんと傾げるウサギに対して俺は、ちょっとだけ、ウサギのお腹をつつく。
つつかれたウサギはくすぐったいのか、嫌々と言う様に首を振る。
ちょっと可哀想かな? って思った俺は、ウサギの頭を撫でる。
肉球にふわふわした毛が当たって、ちょっとくすぐったかったりするけど……。
「……砂紗さん? 何かな?」
俺がウサギを撫でてるだけなのに、この女は何故か顔を赤らめている。
「カメラ欲しい……」
カメラ持って来て何する気ですか!?
再び【シャーー!!】って、怒った。
「だって、猫とウサギよ? こんな可愛い動物が戯れてるなんて……写真に納めておきたい位貴重じゃない!」
両手を拳の形になる様に握って顔を赤らめる姿は、可愛い女の子――だった。
「兎に角!! このウサギが何を出来るのか、それを試し……って!」
「「えーー!?」」
俺と砂紗は、思わず驚いた声をあげてしまう。
可愛いだけの筈のウサギが、何時の間にか大きな棍棒を持って仁王立ちしていた。
相変わらず鼻をフンフンさせているのだが、その見た目に反して、武器と立ち方が凄かった。
そのまま、身体より大きな棍棒をブンブンと振り回し始め……
大きくジャンプしてから、スライムへとダイブした。
俺と砂紗は、そんなあり得ないだろう!? って光景を、ポカーンと見ているしかなかった。
棍棒がスライムの脳天に直撃し、スライムは見事なまでに姿を変形させた。左右はそのまま。でも中心部は、グニャリと凹んでしまっていた。簡単に説明すると、【U】の字の様になってしまっている訳だ。
しかしスライムは、それでもかと動きを止める事なくグニャグニャと動いていた。
はっ!! と、我に返った俺は、あのスライムを凍らせる為の呪文を唱える。
四歩足を強く地面に押し付ける様に、力を込める。
「ったく。バグってから、どうにも疲れる事ばかりだな」
猫の象徴である大きな目を細めると、砂紗はちょっとだけビクッとして、後ろへ下がる。
俺の足元には魔方陣が現れ、そのまま大きく光る。
「ウサギにばかり任せてられないからな? とっとと倒してやるよ」
魔方陣が青く光り、その光りが徐々にある形へと変化していった。
青く光る水晶――の様な、大きな塊が出来上がった。
マイナスの冷気が流れているのかその塊からは、ひんやりとした冷たい空気が出ていた。
冷蔵庫というよりは、冷凍室にいる感覚の方が近いんじゃないかな? って位に、冷たい空気が流れていた。
砂漠に居る筈なのに、ブルッと震える程に冷たい風が、俺と砂紗を襲う。
「さ……寒い」
余りにも大きな氷の塊は、人間の砂紗よりも大きかった。その分、ひんやり感も半端ない訳だが……。
猫の体毛に覆われている俺は、幾分まだましなのかもしれない。
砂紗には申し訳ないけど、あのスライムを倒す為に我慢して貰う事にした。
「スライムを倒す為だ。我慢しろよ!?」
『にぁーー』
俺の出す猫の声を合図に、スライムへと向かう氷の塊。
――そしてそのまま、カキーーン! と、瞬時に氷ついた。
「砂紗! 剣で粉々に砕け!」
俺の声を聞いた砂紗は直ぐ様腰にかけていた剣で、スライムを何回にも渡って切り裂く。
パリパリ……ガシャーン。
砕けた音は、まるでガラスが割れる音の様だった。
「はあ……終わったか」
こうして、長かった様なスライム退治は終わった。