「あらおはようレック。昨日は随分スヤスヤ眠ったみたいね」
ミレーユさんがすっとぼけたように挨拶するとお兄ちゃんは顔に影を作って落ち込んだ。
「おかげで君に女装させられて、ハッサンは大笑いしているけどね」
「化粧を落とすのはともかく影も落とすのはよくないわよ」
「誰の所為だと──」
「お前さん達は朝っぱらから騒々しいのう」
お兄ちゃんが反論しようとするけどマーズお婆ちゃんがそれを遮ってしまった。
「すみません。うちの兄が」
「まあ騒々しくなった原因を作ったこはこのミレーユだ。そんなに気にやむ必要はない。それよりも昨日の続き……つまりお前さん達のことについてだが、こっちの世界でも自分達の姿が見えるようにして欲しいじゃろ?」
「「「もちろん!」」」
「ま、そういうと思ったわい。この世界でお前さん達三人の姿を見えるようにするには夢見の雫が必要じゃ。夢見の雫は普段私の仕事でも使うんじゃが生憎今は切らしていてね。南にある洞窟の奥、夢見の祭壇でしか手に入らないんじゃよ」
「つまり、お使い?」
「そういうことだね、しかし厄介なことにその洞窟には魔物が住み着いてしまってのう……取りに行きたくともワシは当然、ミレーユすらも行けないという訳じゃよ」
「それだけ強力な魔物がいるってことか」
そういえばハッサンさんいたんだ。大笑いしていたのに随分回復早い。
「そこでここは一つお前さん達に行ってもらおうと思ってな」
「おいおい、マジかよ。勝手に決めないでくれよ」
「ふぉっほっほっ。勝手に決めた訳じゃないぞよ。これも夢のお告げじゃよ。ともかくわしもお前さん達も夢見の雫が必要という訳だし、言ってみればこれは助け合いというやつじゃ」
「よく言うぜ。どっからどう見ても脅しにしか聞こえねえよ」
「そう思うのは勝手だけど他に手段はあるのかい?」
「ハッサン、諦めよう。ここは従うしかないよ」
「……わーったよ」
「ふぉっほっほっ。やっと決心してくれたようじゃな。それじゃ南の洞窟から夢見の雫を取ってきて貰おうかね。お駄賃変わりに袋に薬草10個入れておくよ」
マーズお婆ちゃんが袋に薬草を入れるとミレーユさんに向けて口を開いた。
「……ミレーユ、お前もついて行っておやり。気をつけてな」
「ええわかったわ。お婆ちゃん。それじゃ行きましょう。私も少しだけ貴方達のお手伝いをさせて貰うわ」
ミレーユさんが仲間になった!
マーズお婆ちゃんの館から出るとお兄ちゃんが井戸をじっと見つめて一言呟いた。
「ところであの井戸。少しだけ確かめるよ」
お兄ちゃんがそういって井戸を覗く。井戸を確認するのはわかるけど
「ギャァァァッ!」
いどまじんが現れ、お兄ちゃんを襲った。
「レックーっ!」
ハッサンさんが飛び蹴りをするけど間に合わない……するとミレーユさんが呪文を唱えていた。見たところホイミのような回復呪文じゃない。となれば攻撃呪文……? いや違う……?
「スカラ!」
お兄ちゃんの身体が光り、防御するといどまじんの攻撃を防いだ。
「喰らえっ!」
しかもお兄ちゃんが防御出来るとは思っていなかったのかいどまじんは硬直してしまい防御はガラ空き。ハッサンさんの飛び膝蹴りが会心の一撃となって倒れた。
「ふぅ……いや〜助かったよ。ありがとう皆」
「お兄ちゃん、お礼するのはいいけどその前に注意力が足りないからこれでもか! って言うほど注意しないとダメだよ」
「ごめん」
「それじゃあ行きましょう」
「あ〜後ちょっとだけ待って。井戸に入れば向こうの世界にいけるかもしれないから!」
そう言ってお兄ちゃんは井戸に突っ込んだ。次の瞬間、ドシン! という音が聞こえ、覗いてみるとお兄ちゃんが頭を打って気絶していた。
「お兄ちゃん……」
私は頭を抱えた。
お兄ちゃんのことを放っておくわけにもいかずお兄ちゃんを井戸から回収し、外でホイミをかけて治療し終わるとお兄ちゃんを正座させた。
「お兄ちゃん、さっき言ったのにどうして注意しないの?」
「あはは……ゴメン」
「今度から勝手な行動はダメ! もし勝手に行動したらファルシオンに頼んで蹴っ飛ばしてもらうよ!」
ファルシオンは筋肉モリモリマッチョな身体でそのパワーは思い切りキックすればそこらへんのモンスターを蹴散らせるほどの力がある。そんなパワーで蹴られたらお兄ちゃんどころかハッサンさんですらも大怪我を負うこと間違いなし。
「それだけは勘弁して!」
「それじゃお兄ちゃん。手を出して」
「あっ、はい!」
お兄ちゃんが手を出すと私はそれをつかんで引っ張るとお兄ちゃんが立ち上がった。
「それじゃ行こっ! お兄ちゃん」
「え? ああ……うん」
お兄ちゃんは少し戸惑いながらそう言って先頭に立ってみんなを仕切った……うん。お膳立てしているとはいえ、このくらいはお兄ちゃんは出来るよね。
「にしてもなぁ〜……あの婆さんが薬草10個渡すなんて気前が良いのか、よっぽど危険なのかって話だよな」
少し歩くとハッサンさんがそんなことを言い出して腕を組んだ。
「あら、ハッサン。そんなに不安?」
「いやまあ……俺達の力を過小評価しているんじゃねえかって時々思うんだよ。そりゃ今の時点じゃ魔王ムドーには勝てねえよ。でも魔王以外なら蹴散らせる位には自信があるぜ」
ハッサンさんは腕を曲げて力こぶをつけるとピクピクとスライムのように筋肉が動いていた。
「ハッサンは自分を過大評価しすぎよ。どんな相手でも油断したら死ぬことになるわよ。例えば魔物の攻撃で麻痺になったら魔物の格好の餌食でしょうし、毒にかかったら戦闘にも支障が出るわ。そんな状況でいくら力があっても勝てる見込みはあるのかしら?」
「ないとは言い切れねえがあるとも言い切れねえよ。だがガンガンいって素早く倒せばそんな状況に陥るわけねえけどな」
確かにハッサンさんならそういうことは出来そう。お兄ちゃんや私なんかだと毒にかかったら即逃げて教会か毒消し草を使って毒を消すしかない。キアリーはまだ覚えていないしね。
「確かに弱い魔物はそれでいいかもしれないけれど相手が魔王ムドーだったらそうもいかないわ。魔王ムドーともなればごり押し出来るほど弱くないわよ? それどころかジリ貧に陥って負けるなんてことも十分にあり得るわ」
魔王ムドー……お兄ちゃんは夢の中でムドーと一度戦ったことがあるみたいだけど惨敗したらしく、それ以来夢の中で魔物と戦う夢は見なくなったみたい。
「……まあな。そういうこともあるだろう」
「補助呪文の凄さはそこで発揮するのよ。補助呪文は敵を惑わせたり、弱体化させたりすることも出来れば自分達をパワーアップさせることが出来るの。ジリ貧の原因は火力不足が原因だから補助呪文でそれをフォローするってわけ」
「なるほど。じゃあこの薬草は回復呪文の代わりってことか」
「代わりじゃないわ。薬草は確かに苦くて美味しくないけれど回復呪文よりも的確かつ素早く出来る上に、回復呪文とは違って
回復呪文も無制限に出来る訳じゃないから、ミレーユさんの言葉に理解出来るわ。むしろ私もできるだけ薬草で手当てした方が良いのかもしれない……だけどお兄ちゃんの手当てはドジで失敗しそうだから怖いんだよね。幸いにも今まで失敗したことはないからその分の反動が怖い……
「うーん……たしかに」
「さあ、ここが洞窟よ」
ハッサンさんが納得すると洞窟に着いて、私達はその中への入っていった。
ターニア&レック「ターニアとレックの後書きコーナー!」
ターニア「はい、というわけで今回はマーズお婆ちゃんからお使いを頼まれた回だったね。」
レック「でも矢鱈今回は遅かったね?作者に何があったの…?」
ターニア「作者によるとマリ☆カート8で絶好調(連勝街道一直線)すぎてやり込んでいたら文章力が低下したのが原因らしいよ?」
レック「通りで僕のドジにキレがないわけだ…」
ターニア「他の小説の筆を進ませたり、リアルとかの事情も絡んでいるらしいから今度更新するのは半年後になるかもしれないよ?」
レック「まさか…そんなことないよね?」
ターニア「作者のことだからそれ以内に仕上げるとは思うけど…DSに触れてすらいないでPS3でモンハンやっているから不安なんだよね。」
レック「ってもう時間だよ!」
ターニア「感想・評価よろしくお願いします!」
レック「誤字報告は誤字にて、作者にこの作品以外のことで質問があればメッセージボックスにてお待ちしています!」