「スカラ!」
ミレーユさんの補助呪文が私達の防御力を上げ、お兄ちゃんとハッサンさんが魔物達に突っ込む。
「ハッサンはそっちのビッグフェイスを、僕はこっちのどろにんぎょうを叩く! ターニアは僕の後ろ……ってなんでハッサンの方に行くの?」
「お兄ちゃんのドジに巻き込まれたくないから」
お兄ちゃんの周りにいるだけでも本当に危ないんだよ? さっきミレーユさんがドジに巻き込まれてドス黒い笑みを浮かべていたの忘れたの? お兄ちゃん……
「お前らのせいで妹が反抗期なんだけどぉーっ!」
だからと言って魔物達に八つ当たりしないでよ。助かるけど。
「ふう、ようやく倒せた。それじゃ行こうか」
「お兄ちゃん危ない!」
「しまっ……!」
後ろから倒したはずのどろにんぎょうがお兄ちゃんを襲い、ブーメランを投げようとしたけどもう遅く、間に合わない。その瞬間白い影がどろにんぎょう達を蹴散らした。
「ブヒヒーン!」
その白い影はファルシオン。白く輝く馬体がものすごくカッコよく見えた。
「やっぱ凄えな、ファルシオン。本当に連れてきて正解だぜ」
「今からでもゴールドキックって名前を付けても遅ぐっ!?」
ファルシオンがお兄ちゃんの股間を蹴るとお兄ちゃんは何か悪いものを食べたかのように顔を青ざめて、内股にしながら股間を抑え座り込んだ。
「お兄ちゃん……」
余計なことを言わなきゃいいのに。と思っても言わないのは私なりの親切心。もし言ったらお兄ちゃんの心折れちゃうもん。
「あらあら、これでレックが去勢したらターニアちゃんにお姉ちゃんが出来るわね」
「ミレーユさん、それはシャレにならないから言わないであげて」
「ふふふっ」
うちのパーティのパツキン美人が怖過ぎる件。
〜数分後〜
「死ぬかと思ったよ」
「あれはわかる……」
ハッサンさんも男の人だからか股間の痛みに共感し、頷いていた。そりゃ人間だから誰でも痛みはあるとは思うけどそこまで大げさにする必要があるの?
「あらあら男として死んだら女の子にしてあげるから安心して女の子になりなさい」
「ミレーユ、怖いこと真顔で言わないでよ!」
「本当にお兄ちゃんがお姉ちゃんになったら、私やだよ!」
ただしイケメンに限るとかよく言うけどそれだけは嫌っ! お兄ちゃんはお兄ちゃんでないと嫌だよ……
「まあ俺もレックが女であるよりも男であった方が良い。……というか何でレックをそんなに弄るんだ?」
ハッサンさんの疑問はもっともで、私やお兄ちゃんも気になってミレーユさんを見つめる。
「それは乙女の秘密よ」
ミレーユさんがウインクし、そう答える。美人な人は何をやっても美人なんだなぁ。
「良いじゃん、教えてよ!」
「今はその時じゃないわ」
一瞬だけ見せたミレーユさんの悲しげな瞳が印象に残り、私は目を丸くする。あのミレーユさんにも悲しい過去があったんだと理解し、納得する。だとしたらお兄ちゃんを弄るあの行動はミレーユさんには妹が居たけど病気で死んでしまったとかかな?
「良いじゃん、良いじゃん!」
お兄ちゃん、ミレーユさんがこう言う時は諦めなきゃダメだよ。もしここで藪を掻き分けるようなことをすれば蛇、いやそれ以上の何かが出るのは目に見えているから控えて!
「それじゃレック。貴方はこれからレミィという女の子になって冒険する? そうしたら話すわ」
ミレーユさんがお兄ちゃんの股間を掴み、握る。いくらミレーユさんが男の人の股間の痛みを共感していないからって反応から察せるでしょ? ……私だってお兄ちゃんが股間を抑えて「ああ、男の人はあそこをやられると痛いんだな……」ということくらいは理解出来るもん。
「ごめん、ごめんなさい! 本当に許して!」
予想通りお兄ちゃんは首を全力で横に振り、拒絶した。
「そう、残念ね……レックがレミィになれなくて」
ミレーユさんの残念そうな声が私達の耳に響き、あれは本気だったという意思が感じ取れた。
「俺、ミレーユだけは怒らせないようにしよう」
「横に同じく」
うちのパーティのパツキン美人が怖すぎる件Part2
とりあえず、そんなこんなで進んでいくと洞窟に入り、お兄ちゃん指示のもと奥に進んでいくと壺があった。
「ミレーユさん、あれがそうなんですか?」
「間違いないわ。けれど、注意した方がいいわ」
「注意?」
「ええ。お婆ちゃんも言っていたけどこの辺りに魔物が近寄るようになったからお婆ちゃんはお使いを頼んだのよ」
「じゃあ今がチャンスってことじゃないか! 取ってくるね!」
お兄ちゃんがさっさと壺の前まで来て、瓶の蓋を開けて夢見の雫を瓶の中に入れた。
「取ったどーっ!」
「お兄ちゃん、しーっ!」
ちょっと、お兄ちゃん後ろ後ろ! 後ろにデカイ魔物がいるから!
「どうしたんだい? ターニア?」
お兄ちゃんがまだそれに気付かず、首を傾げて私に尋ねる。だけどその瞬間、魔物が腕を降りお兄ちゃんを引っ張く。
「うげっ!」
「お兄ちゃん!」
お兄ちゃんがぶっ飛び、ゴロゴロと地面を転げ回る。その魔物の姿は人面の竜に体はガリガリの悪魔と言った風貌でどこからどう見ても弱そうな感じだった。
「てめえらぁ、俺の飯を盗ろうとはいい度胸じゃねえかぁ」
「それは貴方のご飯じゃない! むしろ泥棒は貴方の方よ!」
「俺が見つけたんだから俺のもんだ! 絶対ぇ、てめえらに渡すもんか!!」
その魔物が私達を襲いかかり、戦闘が始まった。
ターニア&レック「ターニアとレックの後書きコーナー!」
ターニア「はい、という訳で今回のお話は……まあミレーユさんがおっかないのとボス登場だったね。」
レック「うん。だけど僕のドジも戻ってきたような気がする。」
ターニア「この小説を書くのは久しぶりだけど他の小説を書いていたから文章力が低下……? という程度には収まっているからね。流石にドジの切れが落ちることはなかったみたい。」
レック「……前回の後書きで、半年後になるかも知れないって言ったけど一年以上かかるってどう言うことなの? 終わることには既に画面の外の人がお年寄りになっていたりしたら怖いな。」
ターニア「そんなこと……あるかもしれない」
レック「えええーっ! しかも時間だからコメントが出来ない!」
ターニア「感想・評価よろしくお願いします!」
レック「誤字報告は誤字にて、作者にこの作品以外のことで質問があればメッセージボックスにてお待ちしています!