バザー会場から西の先の森へと移動するとそこには大きな穴があった。
「なんでこんな穴が?」
お兄ちゃんの疑問はともかく、私はあることに気がついた。
「ねえお兄ちゃん、あそこに誰がいない?!」
中年の男の人が穴の淵に必死にしがみついていたのを見て、私は駆けつけた。
「待てターニア! 魔物がいるぞ!」
お兄ちゃんの警告は私を止まらせ魔物が大穴──つまり私の方へと向かって突進して、私を突き落とした。
「ターニアァァーッ!!」
私は状況を理解出来ずに悲鳴すらもあげずそのまま落ちていった。
ふと気がつくと私は真っ黒な空間の中にいた。これが天国ってところなのかな?
『ターニア、起きましたか?』
誰?! どこにいるの?!
『そう警戒しないで下さい。私は貴女を助けに来たのです。諸事情によりどこにいるかは教えられません』
もしかしてここって天国なの?
『いいえ、違います。ここは私の創り出した空間と呼ぶべきものでしょう』
夢じゃないの?
『まあ詳しく言えば違いますがそんな感じです。それよりも私は貴女に話したいことがあって呼びました』
話したいこと?
『貴女は近い日にお兄さんと共に旅をするでしょう。その旅は途轍もなく困難になるでしょうが絶対に挫けずにお兄さんを勇気付けて上げて下さい』
もちろん。お兄ちゃんの情けない姿はドジだけで充分だから。
『ふふっ……では私はこれにて失礼します』
今度は姿を見せてお話しをしよう?
『考えておきます』
周りの景色が消え始め、私は眠くなり眠りについた。
「──ニア、ターニア!」
目を開けるとお兄ちゃんが半透明な姿で私に話しかけていた。
「あれ? お兄ちゃん、幽霊になったの?」
「身体はこんなんだけどちゃんと触れるし、僕達が幽霊だってことはないと思うよ」
「ふーん、そういえばあのおじさんどうなったの? あの魔物は?」
「魔物については僕が倒したよ、どうやらあの魔物が民芸品を持っていたみたいでこの通り、ちゃんと回収しておいた」
その民芸品も半透明でとてもじゃないけど売れるとは思えなかった。
「あのおじさんは僕が助けたら入れ替わるように僕が落ちちゃってね。気がついたら半透明になっていたんだ」
入れ替わるようにって、お兄ちゃんってやっぱりドジ?
「私もお兄ちゃんも大穴に落ちたってこと?」
「簡単に言えばね。それよりもわかっているのはここがさっきの場所とは大違いみたいだ」
「大違いってことはさっきの村もないの?」
お兄ちゃんの言うことはあまり理解出来なかった。いや理解したくなかったのかもしれない。もしかしたら本当に今から長い旅になるっていうことになったのかもしれないから。
「東から海の匂いがするからないだろうね。さっきとは全然地形が違うよ」
「とりあえず歩いてみよ! お兄ちゃん!」
「ん~……幸いなことに近くに町もあるし、そこへ行こう」
町へ着き、私は近くの人にここがどこなのか尋ねてみた。
「すみません、ここどこですか?」
尋ねるとその人は周りを見渡し首を傾げた。
「? へんだな? 誰かに話しかけられた気がするが……気のせいか?」
そう言ってその人はその場から立ち去ってしまい、私達は首を傾げた。
「お兄ちゃん……私の声が小さかったってことはないよね?」
「間違いなく聞こえたはずだよ。でもあの人には聞こえなかったみたいだ」
「他の人にも尋ねてみる?」
「そうだね」
しかし結果は変わらず、誰一人私達の声が聞こえなかった。
しばらくして私は疲れ、お兄ちゃんも疲れが見えていた。お兄ちゃんを休ませる所はないかな? あった!
「ねえ、お兄ちゃん、あそこで休もう!」
私はすぐにその場所へと駆けて行った。
「ああ、こらっ……全くターニアは……」
私とお兄ちゃんの追いかけっこの途中、マスクをかぶったおじさんと太ったおじさんが話しているのを見かけたので走るのを止めた。
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
当然お兄ちゃんは私にぶつかり、私を覆うように倒れた。
「ごめん! ターニ──」
「……しっ! あの人たち変だよ……?」
私はお兄ちゃんが大声を出そうとしたので咄嗟に口を閉ざし、見かけた二人を指差す。
「いいか? 俺が思うにあの家はかなりの金持ちとみた……そこで俺はあの娘を……」
「ええっ!? それじゃ兄貴、人攫いをっ!?」
「バカ! 声がデカいぞ! 人に聞かれたらどうするんだ!」
バッチリ聞こえているよ。でも今の私達って姿も見えないんだよね。
「お兄ちゃん。大変なことを聞いちゃったね」
お兄ちゃんってドジだけどなんだかんだ言って頼りになるし、相談するのが一番良い。
「とりあえずその家に行ってみようか」
「そうだね」
その家に入ると私の前にわんちゃんが寄ってきた。
「くぅーん……」
わんちゃんは私の横で伏せながら見つめていた。
「あら? ベスったら……誰かきたと思ったら誰も来ていないじゃないの。変なこね……さあいらっしゃい」
そのわんちゃんことベスを連れて彼女は椅子に座った。
「あの二人が言っていた娘さんってこの人の事かな?」
間違いないよね……他に女の人なんていないし……
「そうだろうね。でもあの人も僕達の事が見えていなかったから阻止するのは無理だと思うよ。ここは諦めて他の所に行こう」
「うん……」
私はその人を助けられない無力さが嫌になってブルーになった。
男の子と女の子が井戸で遊んでいるのが見え、私達はそれを見つめていた。
「あ~あ……この井戸で遊ぶのも飽きてきたな……」
男の子が井戸から出ると女の子に愚痴って不満を漏らした。今の子供って恵まれているのね……
「そうでしょ? だから今度北の岬にある夢見る井戸に行ってみない?」
夢見る井戸……?
「それはダメだよ。絶対行くなってママに言われているだろ? あそこに行って帰ってこれなくなった人もいるんだよ?」
「そんなの大人のついた嘘よ」
やたらと現実味がある事を言わないで! 怖いよ!?
「夢見る井戸か……どうやらそこに帰る道はありそうだ。ターニア行こう!」
「うん!」
こうして私達は夢見る井戸へ向かったは良いけど……
その道中に現在進行形で魔物に襲われています。
「なんだ!? こいつら……僕達の事が見えるのか!?」
それが私達の一番の疑問で人には見られないのに魔物に見られるという事。
「しかもこの魔物達あっちよりも凶暴だよっ! お兄ちゃん!!」
私はぶちスライムよりも小さいけど凶暴な青いスライムをひのきの棒で叩いた。
「あのバザー会場で銅の剣買っときゃ良かった!」
グチグチと言いながらもなんとか魔物を倒すと頭の中でホイミやスカラと言った僧侶さんが使う呪文を使えそうな感覚を得た。
「ホイミ……」
私はすぐにかすり傷をホイミで治した。
「ターニア、ホイミが使えるようになったの?」
「なんとなくだけどね。お兄ちゃんも使えるでしょ?」
ちなみにお兄ちゃんはここに来る前から使えるようになっていた。ズルいよね素質がある人って。
「いや、まあそうだけどさ。ターニアがホイミを使えるってことは回復役が多くなって良かったな~って思ったんだよ」
「そっか」
私は笑うとお兄ちゃんは少し顔を引きつらせ、私達は夢見る井戸へ向かった。
~夢見る井戸~
北の岬にある倉庫の中へ入ると井戸が見つかった。
「これが夢見る井戸……」
その井戸は不思議と光輝いて、私達を魅了させるような神秘な力を感じさせた。
「どうやったら元に戻るんだ?」
お兄ちゃんはそう言って井戸の周りをジロジロと見る。……焦れったい!
「えいっ!」
私は井戸の中へと飛び込んだけれど井戸の中は変わっていなかった。
「これ詐欺じゃないの?」
私はそう言いながらロープを掴み、登っていく……詐欺って言葉は本来別の意味で使うけど気にしちゃいけない。
「えっ!?」
登り終え、井戸の中から出ると先ほど室内だったはずが今では屋外となっていた。
「ターニアァ……」
お兄ちゃんも私を追いかけて来たのかそう言って井戸の中を出て、私の頬っぺたを掴んだ。
「お兄ひゃん?」
私は嫌な汗をダラダラと流していた。その理由はお兄ちゃんの目が笑っていないのに笑っていて怖いからだ。
「ターニア……なんであんな無謀なことをしたんだい?」
「お兄ひゃんふぁひれったくって……ふい……」
「お仕置き執行!」
「いひゃいいひゃい! お兄ひゃん〜ひゃめ〜!!」
その後お兄ちゃんのお仕置きは私が半泣きになるまで止まらなかった。
ターニア&レック「ターニアとレックの後書きコーナー!」
ターニア「はい、というわけで民芸品も取り戻せたことだしこの小説の連載も終わり…」
レック「なわけあるか!たった3話で終わりってどんだけやる気ねえーんだよ!それに作者はⅥを一からやり直しているんだ!こんなところで終わったら永遠に復活出来ないよ!!」
ターニア「え〜…だってね?この小説相当不人気だよ?評価は高かったけれど感想はないし、お気に入り件数も伸びない…これなら作者さんがⅧ原作の『チャゴス?いえチャールズですよこいつは!!』の連載復活に専念すれば良かったってボヤいてたよ?」
レック「作者は下書きすらもやっていないのに連載復活?無茶だよ…それは。」
チャゴス「作者に無茶という文字はない!作者はストレスで倒れたりキレたりすることはあっても過労で死ぬことはない!」
レック「なんでいるの!?」
チャゴス「特別ゲストとして呼ばれた気がしたんだ。」
レック「帰れ!」
数分後…
ターニア「さて、ハプニングもありましたが作者によるとまだ続けるようですのでご安心してください。」
レック「それじゃ、これからも応援よろしくお願いします!」