「指輪は~何処~だ~ぁ? 指輪は何処にあ~る~」
そう歌いながらお兄ちゃんは住民のおばさんの依頼で指輪を探していた。井戸の中で。何でも井戸の中に落としてしまったらしく、井戸の中に入れないおばさんは仕方なく私達に依頼することになった。
「宝箱見つけた!」
そして私は宝箱を見つけ、そこに駆けつけ──
ドンっ!!
「キャァッ!?」
私は何かに突き飛ばされ、尻餅をついてしまった。
「ターニア!」
お兄ちゃんは私に駆けつけ、私を突き飛ばした何かをにらんだ。その何かとはシールドこぞうの色違いみたいな魔物だった。
「ゲヒゲヒゲヒ。この宝はオレ、ダークホビット様が拾ったものだ。誰にも渡さねえぞ!」
下品な笑い声を上げるとお兄ちゃんに襲いかかり、斬りつけるもお兄ちゃんはそれを防御した。
「ラァァッ!」
だけどお兄ちゃんが押されてしまい、斬りつけられて大ダメージを負った。
「お兄ちゃん!!」
私はホイミをかけてお兄ちゃんの治療をするけどそれでも治らなかった。
「くっ……強い!?」
このダークホビットはお兄ちゃんが認めるほど強く、剣を振ってお兄ちゃんの血を振り払った。
「お前が弱すぎるんだよ。そんな程度でオレに逆らうなんて、馬鹿じゃねえか?」
血を振り払ってお兄ちゃんを斬りつけに剣を振るった。
「くそおぉぉぉっ!!」
お兄ちゃんはそれに合わせるように剣を振るった。私はそれを知っていた。防御を犠牲にした諸刃のカウンター。自分も傷つくけど相手も相当なダメージを負わせるというカウンターだけどそんなことをすればお兄ちゃんは──
「やめろ。命は投げ捨てるものではない」
だけどお兄ちゃんとダークホビット、そして私以外の声が聞こえ二人を止めさせた。その止めさせた人は大男なのはわかったけど影が邪魔をして顔が見えなかった。
「誰だ!!」
お兄ちゃんがそう叫ぶとその人はコツコツと歩き……次第に顔が見えてきた。その顔の堀は深く、お兄ちゃんのようなイケメンじゃないけど強そうだというのは理解できた。
「俺の名前はハッサン! 正義の武道家とは俺のことだ!」
正義の武道家ことハッサンさんが親指を立ててヒニルに笑った。
「正義の武道家ぁ~? 面白え、オレの邪魔をするなら容赦はしねえ!」
さっきまで空気になっていたダークホビットがハッサンさんに襲いかかった。
「武道家心得その1……相手が襲いかかってきたとしても慌てることならず」
ハッサンさんはゆっくりと構え……口を開いた。
「武道家心得その2……清らかな川のように受け流す」
ダークホビットの攻撃を避けるとハッサンさんは拳をグッと握りしめ、動かした。
「武道家心得その3……例え相手が殺意を持っていたとしても慈愛の心を持って相手に失礼がないように全力を尽くすべき!」
そしてハッサンさんはダークホビットに攻撃して悲鳴をあげることすら許さず一撃で仕留めた。
「凄い……」
私はそれに感心してそうつぶやいていた……いつもゴリ押しでいくお兄ちゃんとは違った美しさがそこにあったからだ。
「二人とも大丈夫か?」
ダークホビットを仕留めたのを確認したハッサンさんは私達に声をかけてきた。
「私は大丈夫。お兄ちゃんは?」
私は突き飛ばされたとはいえ、ほとんど無傷。それよりも心配なのはお兄ちゃんの方。お兄ちゃんはドジだけど結構無理をするから……
「ターニアのおかげで何とか無事だよ。ありがとうターニア」
私にそう笑顔で言うけどお兄ちゃん……ハッサンさんにお礼を言わないとダメじゃない?
私は真剣な顔になり、ハッサンさんに頭を下げた。
「ハッサンさん……兄レックを助けてくれてありがとうございます。私、妹のターニアが代わりにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました」
「堅苦しい礼はいらねえよ。ターニアちゃん。俺は笑顔を見れればいいんだ。それよりも怪我は本当にないのかい?」
「大丈夫です」
「そうか。いらないとは思うが念のためこれを渡すぜ」
ハッサンさんは手持ちの薬草を私達に一枚ずつ渡した。
「いいんですか?」
「何、困った奴を助けるのが俺の未来の仕事……レイドックの兵士の仕事だ」
それを聞いて私達はハッとした。
「ということは……ハッサンも王宮の兵士になりに来たのかい?」
お兄ちゃんがそう恐る恐る質問するとハッサンさんは腕を組み、答えてくれた。
「もちろんだ。俺みたいな田舎もんはこれくらいしか役に立てることがないからな」
そういって自分の身体を指すと苦笑気味に笑っていた。
「私達も志願者なんです! だからこれは返します」
私はそう言ってハッサンさんに薬草を返そうとするけどハッサンさんは首を振った。
「ターニアちゃんそれは逆に無礼だ。俺はターニアちゃん達にベストを尽くした状態で試験に挑んでもらいたいんだ。ベストを尽くさない状態で挑まれても嬉しくもなんともない。使わなかったとしてもターニアちゃん達が持ってくれ」
ハッサンさんは受け取るのを拒否して私達に押し付けた。
「そうですか」
「それじゃ失礼するぜ」
ハッサンさんはそう言って井戸から出て行った。
「ハッサン。どうやら僕達の一番のライバルになりそうだね」
お兄ちゃんはそう言って宝箱を開けると指輪が見つかった。
「うん」
私はそれに頷いて井戸の外に出た。
「ありがとうよ。これはお礼だよ」
おばさんは指輪を受け取ると力の種をお兄ちゃんに渡した。
「田舎から出てきたんだろ。早く出世してふるさとに錦を飾りなよ」
おばさんの励ましによってお兄ちゃんと私は少し照れた。
「ありがとうおばさん」
「礼を言うのはこっちの方さ。じゃ頑張りな!」
バンッ!
おばさんに叩かれ、私達は別れを告げた。
「お兄ちゃん……これからどうしよっか?」
やることがなくなり私達は暇になってしまった。だからと言って外に出るのはタブーだ。そんなことをすればお城の鐘が鳴るのが聞こえなくなってしまう。
「教会にでも行ってみる? 一応お祈りくらいはしておいた方がいいよ」
「そうだね……」
次の瞬間……ゴーンゴーンと鐘の鳴り響く音が聞こえ、時間だと教えてくれた。
「タイミングが良いのか悪いのかわからないな……まあ時間だしいこうか! ターニア」
お兄ちゃんはそういって私とともにお城の中へと入っていった。
「アダッ!? 今日はついてないな。トホホ……」
お兄ちゃん……今日転び過ぎだよ。
ターニア&レック「ターニアとレックのあとがきコーナー!」
ターニア「という訳でハッサンさんが登場した訳ですが…いかがでしたか?読者の皆さん。」
レック「おいおい、そこは僕に聞くところでしょ!?読者の代わりに僕がいるんだよ!?」
ターニア「たまにはこうして聞かないとお兄ちゃん調子乗っちゃうじゃん。」
レック「…ちくせう。それはともかくやっぱりターニアが旅をする小説なんてレアだからその辺の感想も多いよね。」
ターニア「確かに…DS版でも私は健気に待つだけだったし、さらにリメイク版を出す時は私も旅をしてみたいな…ネタバレになるけどアモスさんポジとかで。」
レック「そうなったら楽しみだよ…ムフフ。」
2人はトリップし始め、あとがきコーナーはゴタゴタになった。
ハッサン「2人がトリップしたので俺が代わりに言うぜ!感想を楽しみに待っているぜ!その代わり次回も楽しみにして待っててくれよな!」