〜レイドック城〜
私はレイドック城に戻り、ソルディ兵士長に「戻りました!」と報告した。
「おお戻ったか! ターニアとか言ったな。お前が一番乗りだぞ」
そういって満足げに肩に軽く手を置いた。
「で何を取ってきてくれたのかな?」
「これです。ソルディ兵士長」
私は袋から副兵士長さんからもらった宝箱の中身を渡した。
「どれどれ……おお、これはまさしくくじけぬ心! どんな苦しみにも耐えられる精神だ! 男ですら苦しみに耐えられぬというのにまさか女子の身でこれを持って帰れるとは思いもしなかったぞ! 約束通りそなたを王宮の兵士として認めよう!」
「ありがとうございます!」
「ターニアは今より王宮の兵士だ! 励めよ!」
「はいっ!」
こうして私は王宮の兵士となったけど……肝心のお兄ちゃんがいない。何かトラブル起こしてなきゃいいけど……
「ターニア。命令があるまで城の中などを見ておくといい。もし困った人見かけたら助けてやってくれ。それも兵士の重要な仕事だ」
「分かりました」
……まあ、お城を探索していくうちにドジ踏みまくったお兄ちゃんが帰ってくるとは思うけど……
「はぁ〜……」
中庭でため息を吐き、影を落としていた。
「お爺さん、どうかしましたか?」
私はソルディ兵士長の言いつけ通り、困っているお爺さんに話しかけ愚痴でもなんでもいいから相談しようと話しかけた。
「ん……ああ、王家に代々伝わるこの馬車を引ける馬がいなくなってしまったのじゃ」
お爺さんのすぐ近くに、何人も乗せられるような大きな馬車があり、それはものすごい立派だった。
「馬車が立派すぎて重すぎるとはいえ情けないことよ。どこかに威勢のいい馬はいないかの……」
確かにこれだけデカイと普通の馬じゃ無理だよね。
「いますよ。そんな馬が」
私は少しでも慰めになるように嘘をついた。お爺さんを困らせても仕方ないもん。
「おお! だったらその馬を連れてきてくださらんか!?」
うっ!? 痛いところ突かれちゃった!! 今からでも冗談だと言っておけば。
「死ぬまでにもう一度馬車の勇姿をこの爺に見せて下され!!」
言えない。冗談でしたなんて言ったらぽっくり逝っちゃいそうだから言えない。
「分かりました。だけど気性が荒い馬ですから少し待って下さい」
「頼んだぞ! お嬢ちゃん!」
お爺さんは困らなくなったけど今度は私が困っちゃった。
……馬を買おうにも王族や貴族のコネなんかないから野良の馬を連れていくしかないよね。城の中の人に聞いてみよう。
「どチクショーっ!!」
檻の中から声が聞こえ、そちらを見ると頭に巨大な蹄の跡のある人がいた。
「あの馬にさえ合わなかったら捕まることなんてなかったんだ……」
もしかして私の探している理想の馬かもしれない。
「詳しく聞かせて!」
「ん? なんだお前は?」
私が柵を掴み、揺らすとその人は近づき尋ねてきた。
「王宮の兵士よ。その馬が必要になるかもしれないの!」
「まあ……そういうなら聞いてけや。俺が商人を襲っていると奴が現れ……気がついたらこの中だ。ありゃ普通よりも4、5回り……いやそれ以上か? とにかく馬鹿でかい馬だった。捕まえるんなら命覚悟しておいた方がいいぜ。お嬢ちゃん」
間違いない……その馬なら絶対に馬車を引ける! そうなればあのお爺さんも大満足ね!
「……ありがとう!」
私はその未来……お爺さんの喜ぶ姿を見れるという想像を思い浮かべ、笑顔になった。
「あの野郎に吠え面かかせたいだけだ」
不器用な人だけと親切な人に私は頭を下げ、レイドック城から出て行った。
でも問題はその馬をどうやって連れていくかだよね……お兄ちゃんと協力してもドジ踏んでお兄ちゃんがあの人の二の舞になりかねないし、最悪の場合僧侶様に「おお、レックよ死んでしまうとは情けない!」なんて言われそうな気がする。
「おーい、待ってくれよー! ターニアちゃん!」
「タ〜ニア〜……」
あ、ハッサンさんとお兄ちゃんだ。三人集まれば文殊の知恵っていうし……相談してみよう。
「探したぜターニアちゃん。兵士に採用されたんだろ。まずはおめでとうよ!」
ハッサンさんがそういって笑顔で親指を立てた。
「ハッサンさんありがとうございます」
それにしてもお兄ちゃんはなんでそんなにボロボロなの……?
「ところでターニアちゃんは暴れ馬を捕まえに行こうとしちゃいないか?」
どこで仕入れたんだろう……その情報。でもいいタイミングだよね。
「そのことで相談があるんだけどいい?」
「うん?」
「私は非力だし、馬を捕まえるなんて真似はできないと思うの。だけどお兄ちゃん達と協力すれば出来るんじゃないかなって……協力してくれる?」
「もちろん協力するよ! なあハッサン!」
「当たり前よ! 元々そのために情報を仕入れて来たんだからな!」
「ありがとう!」
「それじゃ行こう! 皆!」
「「おーっ!!」」
私達は気合を入れて野良の馬を探し始めた。
「そう言えば暴れ馬ってどのくらい危険なんだろうな? きっと見た目も凄え怖え顔してそうだぜ」
歩いているとハッサンさんがそんなことを言い出し、お兄ちゃんも話し始めた。
「草じゃなくて肉を食べてそうなイメージがあるよね」
馬が他の動物を追いかけてその肉を引きちぎって食べる……怖すぎ!
「その馬に蹴られた盗賊さんの話しだと物凄く凶暴で一撃で気絶させられたみたいだよ」
私はその想像から逃れるためにハッサンさん達の会話に加わった。
「そんなにやばいのか!?」
「うん。あとその盗賊さんの記憶によると4、5回りくらい大きかったって」
「そんなに大きいと普通の馬の倍くらいの体重はありそうだね」
普通の馬の体重って私の10倍以上だから……1トン!? そんな馬本当にいるの!?
「だけどそれくらいの馬だからこそやりがいがあるってもんだぜ。いざとなれば俺が2人を守ってやるから安心しな」
ハッサンさんはそういって拳を握りしめ、前に突き出したけどお兄ちゃんはそれを見て首を横に振った。
「ハッサン。それはいらないよ。僕だってドジがなければ結構強いからね」
「そのドジを起こすのがお兄ちゃんでしょ?」
「ぐっ!?」
私の突っ込みに対応出来ず、お兄ちゃんは膝をついてorzの姿勢になった。
「はっはっはっ……でもよ俺は一度決めた事はやり遂げるぜ。ピンチになったら絶対に助ける。それは覚えておいてくれ」
ハッサンさんは再び拳を前に出して私達に拳を当てるように促した。
「わかったよ」
「ハッサンさんよろしくね」
「任せとけって!」
ハッサンさんは笑顔でそう言ってくれてとても頼もしく思えた。
〜ボツネタ〜
「きっと見た目も凄え怖え顔してそうだぜ」
「遠い未来の魔王の幹部だったりして!」
「それもありだな!」
流石に自重しました。
ターニア&レック「ターニアとレックのあとがきコーナー!」
ターニア「はい。という訳でようやく暴れ馬編だね」
レック「しかしなんで暴れ馬編を二つに分けたんだ?まあ作者の競馬ネタが光るきらいいけど」
ターニア「そっち?!そっちじゃなくて普通は暴れ馬が物語で凄い活躍するとか語るところでしょ!?」
レック「まあそうなんだけど作者がそうでもしないと他の小説やってらんねーっ!って大暴れしちゃうから支障が出ない程度に出しているんだよ。」
ターニア「馬の体重が云々とか?」
レック「いやそれもあるけど一番のネタは肉をやったら云々だよ。あれなんかは実際の競走馬のエピソードがモデルだし。」
ターニア「なんていらないネタ…そんなことを話してたら時間になっちゃったよ!」
レック「仕方ない。例のアレ行こう。」
ターニア「感想、誤字報告は感想で!その他要望はメッセージボックスで!評価もお待ちしています!!」
レック「では次回もお楽しみに!」