放課後、俺のクラスに珍しい奴が来た。
「君が兵藤一誠くんだね? 僕はリアス・グレモリー先輩の使いで来た、木場祐斗」
「そして半ば強制連行された神結悠斗です。イッセー兄ちゃん」
いや、グレモリー先輩のお使いってなら木場が来るのは分かる。
…………何故ハルがいる?
「それよりどういう事だイッセー!!」
だが、俺の思考を邪魔するように松田や元浜が詰め寄ってくる。
鬱陶しくなった俺は、血の涙を流す奴らに、止めの一言をくれてやる。
「なぁお前ら。生乳って、見たことあるか?」
効果は抜群だった。
この場にいた俺を除く四人のうち、目の前バカ二人は戦慄し、イケメンは苦笑し、弟分は俺にパンチを放つ。
いや、ゴメンて。笑顔で2発目を構えないで下さいハルトさん。
俺が後退りすると、横から馬鹿どもが俺の腕を押さえてくる。
「ふはははは! 良いぞもっとやれハルト!」
「遠慮はするな、俺達が押さえといてやる」
「うん、ありがとう、松田先輩、元浜先輩」
「あんまり時間かけないでね? 兵藤くんも神結くんも」
木場の言葉に首肯を返したハルは、腰だめに拳を構える。
やだー、本気の一発じゃないですかー。
「し、死ぬー!! 最近お前なんか力強いんだからそんなん食らったら俺死んじゃう!」
「少しは自重しなよ。そしたら僕もやらななくて済むからさ」
「明日! 明日から頑張るから!」
「知ってる? それはフラグだよ? 往生際見さらせド変態がぁ!!」
まさに轟ッ! という音と共に拳が放たれ、俺の鳩尾に突き刺さる。
そして、俺は無言で崩れ落ちる。
「どうだ! 思い知ったかイッセー!」
「分不相応の幸福を得るからだ馬鹿め」
「ねえ、なに他人事にしてるの? 二人にもやるからね? 二人とも自重しないから」
「「――――え?」」
そんな二人の悲鳴を聞きながら、俺は意識を手放した…………。
◆◆◆◆◆◆
と思ったら、すぐに起こされた。
しかも憎きイケメンにだ。
横を見ると、折り重なるように気絶している松田と元浜の姿が。
「全く。三人で集まって誰かの家ならまだしも、こんな大勢の人間がいる公共の場で、あんな大声でなんて、幼馴染みとして、後輩として、恥ずかしい限りだよ」
手を払いながら、ハルが不貞腐れたようにそう言う。…………いやホント、スケベでゴメンね? ほとんど条件反射なんだよ。
「さ、用事も済んだみたいだし、行こうか」
「そう言えば聞いてなかったけどよ、どこに行くんだ?」
「旧校舎だよ。あそこで部長が待ってる」
木場がそう言った途端、ハルの肩が跳ね上がった気がした。
そういやアイツ、異常なまでにホラーとかオカルトが苦手だったな。
そら、旧校舎なんてホラーの定番地が怖いわけだよ。
◆◇◆◇◆◇◆
来た。
来てしまった。
怖いな…………帰りたい。
何故僕はここにいるんだろう? 何故ここに来てしまったんだろう。何故こんなことになってしまったんだろう。
さっきまでの様にイッセー兄ちゃん達をシバき倒してる方が良いじゃないか。
何事も平和が一番だよ。世界平和最高」
「口に出てるぞハル。ってか、なんでそんな大事になってんだよ!?」
「怖いものは怖いんだよ! しまいにゃ泣くよ!?」
「なんで!?」
「ふふふ、君達は面白いね。ほら、ここが部室。ここで部長が待ってる」
そう笑いながら、木場先輩がドアをノックする。
「部長、二人を連れてきました」
『ええ、入ってちょうだい』
木場先輩の呼び掛けに、中から答える声が聞こえる。
あの人、美人だったけど、悪魔なんだよなぁ………。
木場先輩が戸を開け、僕達はそれに続いて室内に入る。
ちょっとチビりかけた。
だって! だって!
部屋は薄暗いし、床、壁、天井の至るところに謎の文字が書き込まれてて、しかも! 部屋の真ん中にでっかい魔方陣が描かれてるし!
「かーえーるー!!」
「お、落ち着けハル!」
すぐさま回れ右をして走り出そうとした僕の腕を、イッセー兄ちゃんが掴んでくる。
「むーりーやーだーこーわーい!!」
「お前の怖がりはホント筋金入りだな!」
それを振り払うべく、ジタバタもがいてみる。
あれ? イッセー兄ちゃんの力が強くなってる?
でも
「あっはは、大丈夫大丈夫。24時間ほど家でゴロゴロしてくるだけだから!」
「それ帰ってるから! 一日経ってるから! 24時間だったら明日の学校サボってることになるから!」
「はーなーしーてー!」
「うおおおお!? 引き摺られる!? なんでそんな力強ぇんだよ!」
もちろんだ! これが僕の全力だ! あと二段階の変化が残っているぞ!(錯乱)
「…あの、木場先輩」
「ああ、そう言えば君も初対面だったね。紹介するよ」
「…その前にアレ、止めなくて良いんですか?」
「いやぁ、僕にはどうしようも…………」
後ろでそんな会話が聞こえる。
一つは木場先輩。もう一つは女の子の声。聞き覚えがあるような無いような…………。
それでも僕は後ろを振り返らない! だって怖いから! 怖いから!
だけど、もう少しでイッセー兄ちゃんを振りほどける、という時に、
「あらあら、うふふ。来たのね?」
―――
「…………これはいったい何の騒ぎ?」
ついでに、悪魔(本物)の声も聞こえてきた。
え? 僕がどうなったかって?
「きゅう。あばばばば…………」
「ハル! おいハル! …………ハルゥゥゥゥ!」
気絶しました。
目の前が真っ暗です。
今朝ビビりました。
気がつけばお気に入りの130件超え。
アイエェェェエ! ナンデ!? マジで!
アリガトウゴザイマス!
アイエェェェエ!