先程から、グレモリー先輩による、オカルトチックなお話が繰り広げられている。
やれ悪魔天使堕天使の三つ巴戦争だの、地獄が悪魔と堕天使の二分割だの。
そして、僕は今、動ける状態では無い。
まず、僕はソファーの真ん中に座っている。
右側に姫島先輩。左側に小猫ちゃん。
う、動けない…………ってか近い近い近い! なんで二人ともそんなに近いのさ!? 小猫ちゃんも姫島先輩も、女の子特有のいい匂いがするし、姫島先輩は色々と男子には堪らないし!
助けてイッセー兄ちゃん!
「くそう…………ハルが羨ましい…………」
あ、ダメだこれ。イッセー兄ちゃんが血涙を流している。
ならば木場先輩………は、なんか我関せずな態度で優雅に紅茶を飲んでいる。イケメンはなんでも絵になるなぁ…………。
ってそうじゃなくて! なんか緊張と恐怖で僕どうにかなってしまいそうだよ!
「へー、これがオカルト研究部の活動なんですね?」
イッセー兄ちゃんがそんなことを言ってくる。
違うんだよ。ホントなんだよ。て言うか目の前のこの人が悪魔本人なんだよぉ…………。
帰りたい。
「―――天野夕麻」
不意に、グレモリー先輩が口にした名で、兄ちゃんの目が見開かれる。
「どこでその名前を?」
「どこでもなにも、イッセー兄ちゃん覚えてないの?」
「ハル、お前、覚えてるのか?」
「…………覚えてるも何も、アイツがイッセー兄ちゃんを殺しかけた張本人だから」
あの日を、僕が忘れる日は来ないだろう。
あの日の悲しみと、怒りを。
「でも、みんな忘れていた」
「でしょうね。上手く証拠を消されていたわ。でも、彼女は確かに存在するわ。
何せ彼女は堕天使。私たちの敵だもの。そして、貴方は一度殺された」
「殺された!? イッセー兄ちゃん、死んでたの?」
それには驚いた。てっきり治療が間に合ってたと思ってたから。
「なぜアナタが驚くのかしら? 現場にいたでしょう?」
「いや、一回死んでるとは思わなくて…………」
「そして、一度殺したハズのアナタが生きているとなれば、また狙ってくるでしょうね」
すると、イッセー兄ちゃんが声をあげる。
「な、なんで俺なんだ! なんで俺が狙われなきゃいけないんだよ!」
確かにそうだ。身に覚えが無いのに命を狙われると聞いて、冷静でいられるはずがない
「それは、あなたの身に、
「セイクリッド・ギア?」
今度は、兄ちゃんではなく、僕の口から疑問が漏れる。すると答えたのは、木場先輩だった。
木場先輩が、僕にも分かりやすく説明してくれる。
…………なるほど、つまり世界的アスリートや大統領クラスの人達もその
いいなー、格好いいなー。僕にもあれば良いのに。
あ、でも神器じゃなくて神機ならあるや。
木場先輩の台詞を、グレモリー先輩が引き継ぐ。
「そしてその
イッセー、手を上にかざしてちょうだい」
イッセー兄ちゃんはその言葉に言われるがまま、左腕を上にかざす。
あれ? イッセー兄ちゃんってば、左利きだっけ? 右じゃなかったっけ?
「あなたの中で、一番強いと感じる何かを心の中で想像してみてちょうだい」
「一番強い…………ド、ドラグ・ソボールの
えー、よりによってそれ?
いや、別にあの作品が嫌いって訳じゃないんだけどさ、なんと言うか、あのアニメって、バトルシーンの映像の使い回しが多くて、兄ちゃんと一緒に見たけど、僕途中で飽きちゃった。
確かに名作なんだけどさ。
「そして、その人物が一番強く見える姿を真似るの」
空孫悟の強いシーン…………多分、ドラゴン波かなぁ…………あれをやるのか。ここで。
頑張って! 僕は必死に笑いを堪えるから!
「なんかハルの視線が無性に腹立つけど…………ドラゴン波!」
すると、なんと言うことだろうか。イッセー兄ちゃんの左腕が輝きだし、そこに赤い籠手が装着される。
「うぉぉぉ!? なんだこれ!?」
「それがイッセー、あなたの
「イッセー兄ちゃんなにそれカッケー!!」
「あぁ! なんかヒーローの変身アイテムみてぇだ!」
その赤い籠手をみて、僕とイッセー兄ちゃんのテンションはスゴいことになっていた。
「あなたはそれを危険視されて、堕天使―――天野夕麻に殺されたの」
「ッ! …………」
しかしそのテンションも、グレモリー先輩の言葉によって落とされてしまう。
「でも、俺生きてますよ?」
イッセー兄ちゃんがそういうと、グレモリー先輩は僕の方にも視線を送りながら、優しく微笑む。
「その点に関しては彼にもお礼を言いなさい。彼が私とあなたを守ってくれたから、あなたは今ここにいるのよ?」
「え? ハルが?」
…………そんな目でみられると、恥ずかしいな。
「彼の神器が咄嗟に発動してくれたお陰で、私達は助かったの。アレは強力だったわ」
僕の神器? ああ、神機か。
「あらあら、それは気になりますわね。私達にも見せて下さらない?」
姫島先輩が横から僕に体重を預けるようにもたれて来る。
そしてそれを見た小猫ちゃんが何故か対抗するようにもたれて来る。
まってつぶれる。
二人とも重くは無いけどさ、僕の精神が潰れる!
「わ、わかりました! 見せます! 見せますから二人とも離れて下さい!」
「あら、連れないのね。うふふふ」
「…ごめんなさい」
僕は二人から離れ、右手を前にかざす。
「来い! 神機!」
途端、右腕を光が多い、腕輪と神機が同時に現れる。
「良い剣だね」
意外なことに、木場先輩が真っ先に反応した。剣とか好きなのかな?
「それがあなたの
そう言って嘆息するグレモリー先輩に、僕は訂正を入れる。
「違いますよ。これはセイクリッド・ギアじゃなくて、神機って言うです」
「じんき?」
おっと、どうやらここにいる全員がその存在を知らないようだ。
仕方ない。語るか。
「神機ってのはですね―――…………」
◆◆◆◆◆◆
「―――って言うゲームなんですけど、ご存じないですか?」
長々と語り終え、最後にその質問をするが、誰一人として頷かず、更には首を傾げる始末。
「それで、そのゲームの武器が何故か僕の手元にあるんですよ」
僕はその最後に、イッセー兄ちゃんに質問する。
「兄ちゃんなら、ゲームのタイトルくらいなら聞いたことあるよね?」
「いや?」
だが、帰ってきたのは否定だった。
…………あれ? 僕、イッセー兄ちゃんの前でプレイしたことあるし、有名なゲームだよ?
「え? ホントに知らない? 僕結構やってたよ?」
「いや、まずお前がゲームをしていた記憶が無いんだけど?」
―――え? つまりどう言うこと?
どこかおかしい現状に、僕は黙り混み、頭を悩ませる。
すると、グレモリー先輩が両手をパンッとならし、空気を変える。
「とりあえず、本題ね」
そいうと、先輩達は立ち上がる。
「私がアナタに召喚されたとき、イッセーは死ぬ寸前だった。というか、私が手を施した時点で、あなたは死んでいたわ。だけど、私はあなたの命を甦らせることにしたの
―――――悪魔としてね」
ホワッツ? 今なんて?
目の前のこの悪魔は今なんて言った? うん? 悪魔?
あ、クマか。
「イッセー、あなたは私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったわ。私の下僕悪魔として」
その瞬間、この部屋にいる全員から、コウモリのような翼が生えた。
………………………………。
……………………――――。
「――――…………」
イッセー兄ちゃんが声をこっちを恐る恐る振り替える。
その期待に答えましょう。
僕は息を吸う。
腹式呼吸を使って目一杯。
そして、
「きゃぁぁぁぁぁあああああああーーーーーッッッ!!!!!」
旧校舎に、僕の悲鳴が響き渡った。
Q.主人公の悲鳴はなんですか?
A.「きゃぁぁ」です