ハイスクールG×E   作:フリムン

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第13話

 

 イッセー兄ちゃんが眷属になって幾日かたったある日、兄ちゃんが僕に質問してくる。

 

「なあ、ハル」

「なに? イッセー兄ちゃん」

「思ったんだけどよ、お前のあの怖がり方、ちょっと異常だぞ? なんであんなに怖がるんだ?」

 

 イッセー兄ちゃんのその質問に、部室中にいる皆の視線が僕に集中する。

 

 そう、僕はあの後、結局なし崩し的に部活に所属することになった。

 まだ悪魔は怖いけれど、優しくしてくれる皆の事は好きだから、なるべくこの部室に来て、少しでも早く馴れるように努力している。

 

 そんなとき、イッセー兄ちゃんの質問が来たんだ。

 

「そうね。確かに気になるわ」

「ホラー映画のトラウマってだけにしては、異常なくらいだったしね」

 

 グレモリー先輩と木場先輩も便乗してくる。

 

 怖がる理由か…………。

 うん、今なら信じて貰えると思うな。

 

「あれは確かね、まだ猫の方の小猫を拾う前だったかなぁ…………――――」

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 そのころに僕さ、傷だらけの女の人を助けたことあるんだ。確か、顔はあんまり覚えて無いけど、黒い着物を着た綺麗な人を。

 

 まあ、助けたって言っても、子供の僕にできる事なんて、秘密基地を隠れ場所として提供して、食べ物とか絆創膏を持って行ってお話しするだけなんだけどね。

 それでも、感謝されたのは覚えてる。

 

 え? 秘密基地? ほらあそこだよイッセー兄ちゃん。小学校の近くにある雑木林。あそこに僕と兄ちゃんと元浜先輩達の四人で作ってたでしょ?

 

 でもね、今なら分かる。あの女の人、多分悪魔だったんだよ。

 そして、何かに追われてた。

 

 だからね、一緒にいる僕も悪魔に襲われたんだ。

 凄く怖かった。

 僕は殺されかけたし、実際、女の人が助けてくれなかったら僕、死んでたかも知れない。

 

 しかも襲われたのがさ、イッセー兄ちゃんとホラー映画を見た後だったんだ。

 だから、その時の恐怖が残っててさ。

 

 怖かったんだ、ホントに。

 僕に襲いかかってくる炎、雷、氷、それ以外にも、沢山の化け物(お化け)

 

 助けてくれた女の人には悪いけど、僕はその人も怖かったんだ。

 だって、その人が何かした瞬間、辺りが真っ赤になったんだもん。

 

 今、整理しながら話してるし、皆がいるから落ち着いて話していられるけど、本当は僕、今でもこの記憶は怖いんだ。

 

 だからあの時、僕は取り乱したし、女の人に多分、酷いことを言ったんだと思う。

 でもね、後で振り返って見るとさ、その人、僕に泣きながら謝ってたんだ。

 詳しいことは覚えて無いけど、ひたすらに「ゴメンね」って。それだけは、しっかりと記憶に焼き付いてる。

 

 そしてその次の日から、僕はその女の人に会わなくなったんだ。

 ううん。会わなくなったと言うより、会えなくなった、かな。

 次の日、僕が秘密基地に言ったら、どこにもいなくてさ、書き置きがあったんだ。

 

 綺麗な字でさ、「ゴメンなさい」って一言だけ。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

「だから、僕にとって悪魔は今でも怖い存在だけど、そのきっかけになった出来事は、後悔でもあるんだ」  

「…後悔?」

「うん、そうだよ小猫ちゃん。あの人は僕を助けてくれた。それなのに僕はあの人に酷いことを言って傷付けてしまった、後悔の記憶」

 

 僕が語り終えると、部室内に重い沈黙が訪れる。

 

「…でも、その人は追われてたんでしょ? だったら、ハルトはそれに巻き込まれたんだから、その人のせいとも言えるんじゃない?」

「そういう事じゃないんだ、小猫ちゃん」

 

 小猫ちゃんの言葉に、僕は否定を返す。

 

「その人のこと、僕大好きだったんだ」

「…――――ッ!」

「今思えば、アレが初恋だったのかもしれない。僕はそんな人に、酷いことを言った。そんな後悔なんだよ」

「…そう」

 

 僕にとって、この記憶はとても複雑な物だ。

 凄く怖くて、切なくて、悲しい記憶。

 

 誰にも信じてもらえないから、これまでずっと抱え込んでいた記憶。

 僕は今、それを初めて他人に話した。

 それだけでなんだか、身軽になった気がした。

 

 

 

 

 

 

 これで少しは、この恐怖症も、マシになるかな?

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 姉様だ。

 

 今のハルトの話に出てきた女の人、それは多分、黒歌(姉様)の事だ。間違いない。

 

 まったく。

 姉妹揃って同じ人に、同じように救われるなんて、なんて似た者姉妹なんだろうか。

 

 姉様の事は嫌いだし苦手だけど、やっぱり家族なんだなって思ってしまう。

 

 

 ―――姉様は、ハルトのこと、どう思っているのかな?

 

 

 もし姉様と再会したらハルトは、どんな反応をするのかな?

 

 顔は覚えてないってハルトは言っていた。でもきっと、もう一度会えばハルトは思い出す。

 だって、姉様はハルトにとって初恋の相手だから。

 

 

 

 もし、もしそうなったとき、私はどうするんだろう。

 怖いな。

 姉様とハルトが再会するのが。ハルトに、私の気持ちを伝えるのが。

 

 

 

 

 

 ねぇ、ハルト。

 ううん、ご主人様。

 

 もし私が、あなたの小猫(飼い猫)だったって教えたら、あなたはどんな反応をしますか?

 喜んでくれる? それとも怖がる?

 

 

 あなたに救われた二匹の猫は、黒歌(片方)はどこかに行ってしまったけれど、白音(小猫)は今、あなたの隣にいます。

 

 今はまだ勇気が無くて伝えきれないけれど、いつか、いつの日かあなたに伝えます。

 

 

 

 

 

 

 

 本当の事を。

 

 

 

 私の想いを。

 

 

 

 

 

 

 

 だから、待っててね、ハルト。

 

 

 

 

 姉様には、負けないんだから。

 

 

 

 

 




猫は餌付けされて懐く。
姉妹揃って餌付けされていた事実。

そしてちゃっかり彼女にもフラグを建てている辺り、流石オリ主。


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