僕が自分の悪魔恐怖症の理由を話してから、数日がたったある日の事。
僕は、大変な物を目撃してしまったのかも知れない…………。
「……イッセー兄ちゃん、とうとう…………お巡りさーん! この人です! この変態です!」
「ちょ!? ハル!? いきなりなんだ!」
事案! 事案だぁぁぁあ!!
「イッセー兄ちゃん! なに? 誘拐なの!? 事案なの!? お巡りさーん!」
「ちょ、違うから!」
だって、イッセー兄ちゃんが金髪美少女のシスターさんを引き連れているのだから!
「
その金髪シスターさんが何か言っているが、僕にそんな英語能力を求めないで下さい。
「落ち着けハル! ほら、アーシアも落ち着いてって言ってるし!」
「…………え? 兄ちゃん英語できるの? うっそだー」
まさか、そんな嘘だ。
これまで兄ちゃんが成績で僕に勝った試しなんか無い。保健体育を除いて。
そんな兄ちゃんが、英語、だと…………?
「ちょっと何に驚愕してるかわかんないけどさ、あれだからな? 別に俺が英語できるようになった訳じゃないからな?」
「あ、そうなの?」
するとイッセー兄ちゃんは、僕にコソッと耳打ちをする。
「どうやら悪魔の能力らしくてな、ありとあらゆる言語が使えるらしい」
「え、なにそのチート。裏山」
正しくは、相手にとって慣れ親しんだ言語に聞こえるんだと。
「んでこの子、ここの教会に赴任してきたらしくてさ、今から案内する所なんだ」
「じー」
「…………なんだよその目は」
「よし、僕もいこうか」
「え? なんで? 別に良いけどさ」
「だって、イッセー兄ちゃんだけだとこの人が危ないから」
僕がそういうと、イッセー兄ちゃんの肩がガックリと落ちる。
「俺って、信用無いのな」
「自分の胸に手を当てて考えるといいよ」
「うぐ………」
「ほらイッセー兄ちゃん。この人に僕もついていくって言ってよ」
「わかったよ、ったく」
兄ちゃんが僕も案内する事を伝えると、そのシスターさんは華やかな笑顔でこう言った。
「
うん、なんて言ってるかはわからないけど、最初の『
「ありがとうございます、だってさ」
「うん、何となく今のは通じたよ」
その後、イッセー兄ちゃんの同時通訳によって僕たちは自己紹介を済ませる。
ふむふむ。アーシア・アルジェントさんね。よろしく。
って言うか、
「…………ねぇイッセー兄ちゃん。悪魔とシスターが教会に行くって、大丈夫なの?」
「……………………あー」
この人、絶対深く考えてなかったな。
多分アレだ。アルジェントさんがあまりに美少女なもんだから、本能の赴くままに案内役を買って出たんだろうな。
間違いない。
「はぁ、まあ、それが兄ちゃんだしね。仕方ないか」
困っていたらどんな人でも手を伸ばしてしまう。
それが、僕の兄貴分なんだ。
◆◆◆◆◆◆
教会へ向かう途中、公園の前を横切ると、子供の泣き声が聞こえてくる。
目を向けるとそこには、膝に怪我を負った子供と、それをあやすその子の母親がいた。
多分、あの子が転んだのだろう。
僕はポケットに手を伸ばし、絆創膏を取り出して、その子供の所に向かう。
すると、僕とほとんど同時にアルジェントさんも動き出す。
一瞬目が合ったが、言葉が通じないので、互いに微笑むだけ。
そのまま僕たちは少年の目の前に行き、まずは僕が少年に声をかける。
「大丈夫、ちょっと転んだだけじゃないか。ほら、絆創膏貼ってあげる」
優しく声をかけながら、傷口の血をティッシュで拭き取り、大きめの絆創膏を貼ってやる。
今度はアルジェントさんがその膝に両手をかざす。
シスターのおまじないか何かかな?
僕がそう思っていると、アルジェントさんの両手の両手から淡い緑の光が溢れ、少年の膝を照らした。
え、なにあれ? 魔法? 回復魔法? ケ○ル的な?
いや、でも魔法は悪魔と悪魔に通じてる人にしか使えないんだよな、確か。
聖職者が悪魔と繋がってる訳じゃないし…………。
あ、もしかして、
「
まるで思考がリンクしたかのように、僕の疑問をイッセー兄ちゃんが尋ねた。
いつの間にか少年は泣き止んでおり、アルジェントさんの手の光も収まっていた。
少年は、どこか不気味なものを見るような目を向けつつ、頭を下げている母親に手を引かれながら歩いていく。
「ありがとう! お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
きっと母親の方は、あの光の正体が分からなくて怯えたんだろうな。その分、子供は無邪気だなぁ。
イッセー兄ちゃんが子供の言葉をアルジェントさんに通訳してあげると、アルジェントさんが嬉しそうに顔を綻ばせた。
あと、やっぱりあれ
教会まで送ると、イッセー兄ちゃんが途中で足を止める。
…………あー、そういや悪魔って、こう言うところ入れないんだったっけ?
仕方ない。
「兄ちゃん、通訳お願い」
「ん?」
「ゴメンね、アルジェントさん。僕ら今から向かうところがあるんだ。だから悪いけど、ここまでで大丈夫?」
それを通訳してもらうと、アルジェントさんがなぜか慌てたように頭を下げる。
「お忙しいところご迷惑を掛けました、だって」
「そんなこと無いよって通訳して」
「おう」
そして僕らは、アルジェントさんに手を振り別れを告げた。
うん、言葉は通じなかったけど、いい人だったなぁ。
また縁があれば会えるだろうな。
――――グゥゥゥ…………。
「兄ちゃん、お腹すいたからどっか食べに行こうよ」
「ん? ああそうだな。もうそんな時間か」
最近、また少しずつお腹が空いてきた。
おかしいなぁ。一旦治まってたんだけど…………。
そういや、いつから治まってたっけ?
多分確か、神機を初めて使った辺りからか。あの時僕、軽くアラガミ化してたし。
…………アラガミ化? 強烈な空腹?
まさかね。多分僕の思い過ごしだ。
バトル…………バトルが書きたいんじゃぁぁぁ…………。
じゃないと、GE設定が使えない。