最初はただ、彼をからかうことだけを楽しむつもりだった。
何となく、悪戯心というか、いじめっ子心を擽るような雰囲気をまとった彼は私にとって、とても良い
ええ、後輩を、ましてや悪魔が人間を玩具呼ばわりするのはひどく傲慢で、悪しき事なのだと理解はしていますわ。でも、そう思わずにはいられませんでした。
だから、彼が
すると、彼は怖いものが苦手なのか、若干涙目になりながら逃げてしまいました。
それだけで、もうダメでした。
それ以降、私は彼を見かける度に勧誘して、からかって、悪戯をしたのです。
それがいけないことなんだと、頭では理解していました。でも、彼の顔を見るとどうしても、その欲求が押さえきれなくて、どうしようもなくなって。
正直、私は彼に嫌われていると思っていました。憎まれているとすら。
だって、彼が嫌がることを何度も何度も何度も繰り返して、本来なら嫌われたあげく憎まれてしまってもおかしくありませんでした。
初めて、彼を愛おしいと感じたのはいつでしょうか?
恐らく、私たちが全員悪魔だと知った彼が錯乱して暴れて、そのあとイッセーくんに慰められて、私達に謝罪をしてきた時だろうか?
私、あの表情は反則だと思うのです。
本来なら悪戯心が湧き出てくる筈の私ですら、母性を擽られ、守りたいと思ってしまうのですから。
だから、彼が小猫ちゃんと仲良くしてる所に乱入していたのは、もしかしたら嫉妬心だったのかも知れません。
愛おしいと感じた彼が、誰かと楽しそうにしている。
私との時は、怯えている。
自業自得だって、解っています。でも、私と話すときも、楽しそうにしてほしい。
そう願ってしまう。
ああ、醜い。
なんて度し難くて、傲慢で、醜い感情なのだろうか。
そう思っているのに、やっぱり彼の怯えた顔を見たくなってしまう辺り、私はグレモリー眷属にあるまじき醜さを持っていて、どうしようもなく救えない。
でも、それでも私は気付いてしまった。
自分の想いに。
身勝手な、感情に。
吊り橋効果なのかも知れない。でも違うのかも知れない。
私は彼に酷いことをしていた。怯えているのに怖がらせたり、沢山迷惑をかけたり。
だというのに、私は、
――――彼が、神結悠斗が、好きだ。
自分で確認して、自己嫌悪する。
今すぐ自分を縊り殺してしまいたい。
私にそんな身勝手が許される訳が無いだろう。
彼を苛めて、それを楽しんで、彼を傷付けて、その挙げ句が彼を好きですって?
本当に愚かしくて救えない。
そもそも、
堕ちた翼を片翼にもつ、穢れた私などが。
そもそもだ。
彼を襲ったのも、彼の憧れだと言うイッセーくんを殺したのも堕天使で、私の
だから、私は彼を好きになってはいけなかった。
いつものように悪戯をして、余裕のお姉さんぶって、そう接しなければならない。
だというのに、この胸はこんなにも苦しくて、
こんなにも張り裂けそうで、
涙が溢れそうで、
――――こんなにも、彼が愛おし過ぎて。
身勝手で傲慢で、我儘で自己中心的だって、自覚しています。
だから口にはしません。おくびにも見せません。
でもあなたの事、好きになっていても良いですか?
こんなに醜くて、どうしようもなく救えない女だけれど、この想いはもう誤魔化せないから。
だから、好きになっていても良いですか?
ハルトくん。
苦悩の朱乃さん。
完全陥落。