ハイスクールG×E   作:フリムン

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第21話

 俺に向かって勢い良く飛んでくる光の槍。

 その的である俺は、癒されたとはいえ、光で両足を焼かれ、動くことはできない。

 

「なに!?」

 

 だが、突如として、その光は撃ち砕かれた。

 

「…………何をしているのさ、堕天使」

 

 その声は、ここから少し離れた場所から聞こえてきた。

 

「バカな!? その距離から撃ち抜いたとでも言うの!?」

「この距離を当てられなくて、スナイパーは名乗れないね」

 

 この声は…………ハルだ!

 

 あいつ、なんで逃げてねぇんだよ!?

 

「この、人間風情が!」

 

 レイナーレが頭上に手をかざし、光を集め始める。

 だが、大きな音がハルの方から響いた瞬間、その光は霧散した。

 

「アルジェントさんを離せ。次は当てるぞ」

 

 その声は酷く低くて、重くて、俺の知っているハルの気配では無かった。

 

「くっ…………」

 

 なんとか体をずらし、ハルの姿を見るとそこには、怒りのオーラを纏ったハルが、神機を手にレイナーレを睨み付けていた。

 

「あらぁ? 良いのかしら?」

 

 だが、レイナーレはそれに怯えること無く、アーシアの首筋に手を添える。

 

「私を撃てば、もしかしたらアーシアに当たるかもよ?

 それでも良いのかしら? まぁもっとも、あなたが引き金を引くよりも早く、私はアーシアの首を落とせるわよ?」

「なん…………!?」

 

 その言葉に、俺とハルは絶句し、動きを止める。

 

「アーシアを殺されたくなかったら、動かないことが懸命ね」

「卑怯な!」

「あははは! なんとでも言いなさい? 帰るわよアーシア。

 イッセーくん、今回は彼とアーシアに免じて殺さないでおいて上げるわ。感謝なさい」

 

 

 そして今度こそ、堕天使レイナーレは、アーシアを抱えて飛び去ってしまう。

 

「待てよ、堕天使………アーシアァァァア!!」

 

 俺は手を伸ばし、アーシアの名を呼ぶ。

 

 

 

 

 だけど、後に残ったのは黒い羽根と、俺達三人が楽しそうに写っている写真だけだった。

 

 

 ――――また何も、できなかった。

 

 

 

 ちくしょう…………ちくしょう…………。

 

 

「ちくしょぉぉぁぉおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 俺達以外誰もいない公園に、俺の声が響き渡った。

 

 

 

 ああ、ハルの気持ちが良く解ったよ。

 

 弱いのは嫌だ。

 誰も守れないのが、ただ見てる事しかできないのが嫌だ。

 

 

 

 

 ―――――ああ、強くなりてぇなぁ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 部室に、乾いた破裂音が連続して響いた。

 発生源は僕とイッセー兄ちゃんの頬。

 

 叩かれた。僕たちはグレモリー先輩に平手打ちをされた。

 

「何度言えばわかるの? ダメよ、あのシスターの救出は認められないわ」

 

 あの後僕たちは、事の顛末を皆に話した。

 話した上で、アルジェントさん救出を提案した。

 

 当然、悪魔と堕天使の問題で、部長はそれに関して、手を出すな、と言った。

 

 それが納得できない僕たちは、何度も何度もお願いをし、その結果が今のビンタだ。

 

「これは下手をすると、悪魔と堕天使の戦争にまで発展しかねない問題なのよ? それを私達のみで決める事なんて…………」

 

 そうか。そう言うことなら。

 

「なら、僕が行きます」

「ハルト?」

「僕はこの中で、唯一の人間です。僕なら、何も問題は無いでしょう?」

「あるわよ!」

 

 悪魔と堕天使で問題が発生すると言うのなら、僕が。

 

 しかし、それも先輩に却下されてしまう。

 

「いくら貴方が規格外でも、相手は大勢いるのよ? それにあなた、命を奪えないじゃない!」

 

 そうだ。確かに僕は殺すのが怖い。

 でも、それでも僕は行かなきゃいけないんだ。

 

 アルジェントさんが、僕の友達が待ってるんだから。

 

 

「なら、俺は『はぐれ』になります」

「イッセー!?」

「グレモリーの眷属から、悪魔の社会から外れて、俺達だけでも向かいます!」

「ダメよ! そんなの、私が許さないわ!」

「なら部長は俺に、俺達に、友達を見捨てろっていうんですか!?」

「あなた達は死んだら、生き返れないのよ!!」

 

 イッセー兄ちゃんとグレモリー先輩が激しく言い争う。

 

「家族を、友達を、仲間を愛して、敵を消し飛ばすのがグレモリー眷属じゃなかったんですか!?」

 

 イッセー兄ちゃんのその言葉に、グレモリー先輩は黙り混み、静かに睨み合いが始まる。

 

「…………あの子は私には無関係の子よ。イッセー、彼女の事は忘れなさい。ハルト、あなたもよ。あなたが死んだら、悲しむ人たちが沢山いるの」 

 

 そこへ、姫島先輩がやって来て、グレモリー先輩に耳打ちをする。

 姫島先輩から何かを聞いたグレモリー先輩は、部室にいる僕たち全員を見渡すように言った。

 

「大事な用事ができたわ。私と朱乃は少し外へ出るわね」

「部長、話はまだ―――!」

 

 踵を返した先輩を兄ちゃんが追いかけると、先輩はクルリと振り返り、兄ちゃんの口元に人差し指を当てる。

 

「イッセー、あなたに話しておくことがあるわ」

 

 グレモリー先輩がイッセー兄ちゃんに教えたのは、兄ちゃんに使われた駒、【兵士(ポーン)】の特性、プロモーション。

 

 そしてもう一つ。

 

 

「イッセー、神器(セイクリッド・ギア)は、宿主の想いに応えるの。だから想いなさい。強く、強く、心のそ底から。

 強い想い、強い意思こそが、神器(セイクリッド・ギア)の力の源。いい?」

 

 

 それだけ言うと、グレモリー先輩は踵を返して部屋から出ていってしまう。

 

 

 …………今のは、もしかして?

 

 

 そう思って、ドアの所へ視線を向けると、まだ部屋から出ていない姫島先輩と目が合う。

 

 すると、姫島先輩はニッコリと笑い、素早くウインクをして部室から出ていってしまう。

 

 

 

 …………やっぱり、そう言うことか。

 全く、グレモリー先輩のツンデレめ!

 

 

 

「行くよ、イッセー兄ちゃん」

「おう」

 

 

 僕と兄ちゃんがドアへ向かうと、二つの人影に遮られる。

 

「待つんだ、二人とも」

「退いてくれ木場、小猫ちゃん! 俺達は行かなきゃいけないんだ!」

「…殺されますよ? 相手ははぐれとは言え、悪魔殺しのプロ達ですから」

「それでも行くさ」

「いい覚悟、と言いたいけど、やっぱり二人じゃ無謀すぎるね」

「だったら、いったいどうしろってんだ!」 

 

 痺れを切らせて怒鳴るイッセー兄ちゃんに、木場先輩は優しく微笑む。

 

「僕は、『二人じゃ』って言ったよ? 僕らも行く。ほら、これで四人だ」

 

 木場先輩がそう言って笑う。

 …………ちぇ、イケメンはなんでも絵になるなぁ。

 

「僕らはアーシアさんを良くは知らない。けれど、キミ達は僕らの仲間だ。だからこそ、僕はキミ達二人の意思を尊重したい」

「木場…………」

「それに、個人的に神父や堕天使は嫌いだからね」

 

 そこで、僕の裾がクイ、と引っ張られる。

 

「…それに、部長も言ってました。教会は敵地だって。なら、先輩はプロモーションできます」

「あ」

 

 イッセー兄ちゃんもようやく気付いたようだ。

 

「さ、行こうか。キミ達の友達の、アーシアさんを助けるために!」

「…出発」

 

 あぁ、 なんて頼もしい人達なんだろう、この悪魔たちは。

 

 嬉しいなぁ。

 

 ね、イッセー兄ちゃん。

 

 

 

「ああ、行こうぜ! 待ってろよ! 今助けに行くからな 、アーシア!」

 

 

 

 イッセー兄ちゃんのその号令で、僕たちは部室を飛び出した。

 

 

 

 

 

 




前話も含め、少し寝惚けながら書いていた部分もあるので、もしかしたら変な部分があるかも知れません。

気づき次第訂正しますが、何かお気付きになられた方はご連絡下さい。
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